英文契約書の用語と構文 (その24) 「有効」「無効」等について

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「有効」「無効」という用語

前回、英文契約書に限らず、契約書の中で目にする用語「正当」「適切」これらに類する用語について、それらの意味と使われ方について契約書翻訳の観点から見てみました。これらのほかにも、契約書でよく使用されている用語として、「有効」、「無効」があります。これらは日常において使用される用語であるとともに、契約書またはその他法律文書において重要な役割を担っています。なお、例によって、個々の意味を深く掘り下げるのではなく、これらのことばを表すのに、英文契約書(または法律文書)では、具体的どのような単語を用いて、どのように使用されているかを簡単に確認してみます。まずは、それぞれの意味を簡単に確認してみます。

 「有効」とは。

効力、効果のあること。役に立つこと。

(一般に、効力は、一定の働き、効果を及ぼすことができる能力)

例:資源の有効利用。

* 効力に関連して「法の効力」、「効力規定」等の概念がありますが、ここでは触れません。

「有効」の意味を表すのに使用される主な単語(主に契約書・法律文書)

有効な:「effective」、「valid」、「efficacious」、「available」、「effectual」など

有効になる:「become effective」、「come into effect」、「take effect」など

発効する:「become effective」、「come into effect」

有効である:「be effective」、「be valid」、「be available」など

ここにあるのは、主に契約書・法律文書に使われることが多いものですが、その他にも、「有効」の意味をあらわす言葉はいろいろとあります。

 「無効」とは。

効力・効果のないこと、効力・効果のないさま。

法律行為がその効力発生に必要な要件を欠くために,意図した法律効果が発生しないこと。取り消しの場合と異なり、何人の主張がなくとも当然に効力を生ぜず、追認や時の経過によっても有効とならない。

参考図書:法律用語辞典(有斐閣)他

「無効」の意味を表すのに使用される主な単語(主に契約書・法律文書)

「無効」の:「ineffective」、「invalid」、「unavailable」、「ineffectual」、「null and void」

「無効になる/失効する」:「become ineffective」、「become null and void」

「expire」、「lapse」(主に期間の満了の意味で)

「無効にする/失効する」:「annul」、「nullify」

ここにあるのは、主に契約書・法律文書などに使われることが多いものです、「無効」についてもその他いろいろな言葉があります。

辞書を見ると、例えば、「有効」、「無効」を表す「effective」と「ineffective」は、一般に「望んだ効果が得られる」意味で用いられ、同じく「valid」、「invalid」は「法的に効力がある」、「法的に効力がない」に意味で用いる、とありますが、実際には、さまざまに使用されています。

以下の例は、契約書ではありませんが、わかりやすい例として、法律文で使用されている「有効」、「無効」の例を見てみます。

「有効」の例:

第一項の規定により提示した旅券がその効力を失い、又は当該旅券に記載された有効期間が満了したとき。

(iii) The passport presented pursuant to the provision of paragraph (1) has lost its validity or the valid period entered in the passport has expired. (出入国管理及び難民認定法施行規則)

許可の有効期間が満了したとき。

If the valid term of the license has expired.(職業安定法施行規則)

介護支援専門員証の有効期間は、申請により更新する。

The effective period of a Long-Term Care Support Specialist Certification shall be renewable by the submission of an application.(介護保険法)

 申込みの有効期限があるときは、その期限

(iii) where there is a time limit for application, such time limit;(特定商取引に関する法律施行規則)

「 無効」の例

前各項の規定に反する特約で申込者等に不利なものは、無効とする。

Any special provisions that run counter to the provisions of the preceding paragraphs, which are disadvantageous to the Purchasing Party, shall be invalid.(特定商取引に関する法律 )

消費者契約の条項の無効 (消費者契約法)

Nullity of Consumer Contract Clauses

ただし、相手方が表意者の真意を知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。(民法)

provided, however, that, in cases the other party knew, or could have known, the true intention of the person who makes the manifestation, such manifestation of intention shall be void.

「有効」、「無効」も他の語と組み合わさって、例えば以下のような意味の用語となります。(他にもいろいろあります。)

有効期間:valid period / effective period / valid term

「有効」、「無効」に関連する用語として「発効」、「失効」があります。意味としては、例えば「発効」の場合:「法律や規則などの効力が発生すること」のように説明されていますが、契約書でもよく使われることあり、これらも含めて、以下に例文を作成してみました。

This Agreement shall be effected on the commencement date thereof.

「本契約は、本契約の日に発効する」

This Agreement shall be effective as of the date of execution of this Agreement.

「本契約は、本契約の署名日の時点において発効する」

Terms and conditions of this Agreement shall become invalid upon the conclusion of the new agreement.

「本契約の条件は、新しい契約に締結とともに失効する」

なお、冒頭でも述べましたが、「有効」、「無効」とういう言葉は、多方面で使われています。個人的には、よく目にする例として、コンピューターやソフトウェアの機能を「有効にする」、「無効にする」という場合、それぞれ、「enable」、「disable」が使われます。

「有効」、「無効」については、このほかにも、いろいろな例や内容をもつものがあり、機会があれば、それらを見てみたいと思います。

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