英文契約書における「and/or」

投稿日 ブログ


最近、気になったand/orという表現について書いてみました。

 英文契約書では「and/or」という表現が良く使用されます。(もちろん英文契約書に限らず他の分野でも使用されます。)

and/orは、字義通りに訳するなら、「and/orは、「および/または(および/もしくは)、(両方とも,またはいずれか一方)」となります。

ただし、現実にはさまざまな分野の文章で「and/orを、単に、「および」と一括りにして訳す場合もあります。むしろ「and/orは、「AおよびB」や「AとB」のように訳されている場合が一般的ではないでしょうか。また、そのように訳しても一見問題はないようです(実際、ほとんどの場合、問題ありません。)。

これについて、英文契約書の翻訳という観点から見た場合は、どうでしょうか。

上記のように「A and/or B」の文章は、「A and B」と「A or B」の2つの文章から構成されています。

「A and B」の場合、AとBの両方の意味になります。

「A or B」の場合、AまたはBである(Aであり、Bでない、またはAでなく、Bである=AまたはBのいずれか一方)の意味になります。

簡単な例文を作成してみました。

The order is placed by phone and/or written document.「注文は、電話および/または文書で行われる。」

すなわち、「注文は、電話と文書で行われることもあるし、電話または文書かのいずれか一方で行われることもある。」言い換えれば「注文は、電話と文書を使用して行われることもあるし、電話だけの時もあり、文書だけの時もある」となり、少なくとも3通りの状況があるとしています。

ところが「and/orを、「および」のみとしてしまった場合、「注文は、電話と文書で行われる」の意味になり、「注文は、電話だけの時もあり、文書だけの時もある」の部分が排除されてしまいます。

そのため「注文は、電話および文書で行われる。」とのみ訳された契約書では、仮に「注文が電話だけで行われた場合」、注文は成立しないことになります。

これは、当然、翻訳された契約書の内容が契約書の起草者の本来の意図と相違します。

これにより契約の当事者(または翻訳を依頼されたお客様)が不利を被る可能性も一概に否定できません。とくに、「A and/or B」のA、Bの各部分が単語ではなく、複雑な文章(または長文)で構成されている場合、「and/or」=「および」と一括りに訳すと、さらに問題は複雑になります。

英文契約書の「and/or」の使用と訳し方については、人によりさまざまのようですが、少なくとも、「A and/or B」は、「Aおよび/またはB」とするのが無難と思われます。

Comments are closed.