英文契約書の用語

英文契約書の用語(単語編)cu-de(No.17)

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英文契約書翻訳に携わる中で経験上、よく目にしたり、よく使われたり、または知っておいて損はないと思われる単語と用語について、契約書翻訳の観点から簡単な例文を作成してその用例(一部ですが)を見てみます。


前回、「credit」について触れました。今回、「credit」と対になる「debit」について簡単に見てみます。

de facto (=from the fact)事実上の

de facto contract(事実上の契約)

de facto corporation(事実上の会社)

de facto dissolution (事実上の解散)

dead loan 貸倒れ、こげつき融資、無期限貸付金
deadline 期限、締切り

cf term:期限、期日、任期、勘定日

dealer 販売店、販売業者、ディーラー
deal
dealings
取引
debenture 社債、無担保債権
debit/debt

 

借方、債務、借金

cf credit:(貸方、債権)

1. debitとcreditについて

debitとcreditについては、以前にもブログ「英文契約書の用語、構文(その13

「CreditとLoan」」の中で書いたことがあります。これらの用語は、日本語としても使用されています。ただし、なじみのある言葉にしては、英文中に記載された場合、意味として分かりにくいことがあるようです。あらためて簡単に見てみます。

例えば、「売買契約」で、AがBに商品を販売する場合、その売買代金を、Bは、Aに対して、Bが商品を受領して後、10日後に支払うことを約したとします。

実際にAからBに商品が引き渡された時点で、Aは、Bに対する売掛金(債権)を有し、BはAに対する買掛金の支払い義務(債務)を負っています。

この状況-A(債権者)とB(債務者)双方の立場-を表すのに「Credit」が使われることがあります。

この売買代金は、A(債権者)の立場では、「my credit to B」、B(債務者)の立場では、「my credit from A」となります。

debtee/creditor(債権者)debtor/obligor(債務者)

その他債務は、obligation、liabilities等が使われます。また、債権は、claim等が使われます。詳しくは、辞書や専門書をご参照ください。

2. 実際の用例

実際の英文契約書ビジネス文書では、上記のように親切に記載されていることは、まず期待できません。契約書の内容、当事者間の関係、前後の文脈から判断します。

なを、英文契約書やビジネス文書のドラフティングを行う場合、慣れないうちは、creditとdebitの使用は、避けたほうが良いかもしれません。

deceit

 

詐欺

fraud、swindle

decision 決定、判決

decision of dismissal of prosecution(公訴棄却の決定)、decision to reopen of the proceedings(再審開始決定)、decision as to the principal matter(本案の裁判)

declarant 表意者
declaration 宣言、申告

declaration of invalidity(無効宣言)

declaration of provisional execution (仮執行の宣言)

declaratory judgment (宣言的判決)

declaration of intention 意思表示(manifestation of intention)
declare 宣言する、言明する、自分の立場を表明する、意思表示する、申述する
declare orally 口授する
decree 判決、布告

主に「credit」と対になる「debit」について簡単に見てきました。「credit」は、「クレジット」として日本語として使われているためか、単語「credit」が本来持つ多様な意味を理解しないまま、「credit」=「クレジット」(日本語として使われているもの)に単純に置き換えてしまうと、文脈上の本来に意味を見失うこともあり、注すべき単語です。

参考図書

  • 法律用語辞典(有斐閣)
  • 英和大辞典(研究社)
  • コンパクト六法(岩波書店)
  • Trend (小学館)
  • Oxford Dictionary of English他

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