口頭排除の原則(Parol evidence rule)と最終性条項(Entire Agreement)

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1. 書面重視の考え方

英文契約書では、口頭排除の原則(Parol evidence rule)、最終性条項または完全なる合意といわれる(Entire Agreement)における書面重視の考え方、習慣等から、一般に、その内容は厳格かつ網羅的になる傾向(考え得るすべての事項を可能な限り取り決める)があります。契約書翻訳の視点から簡単に見てみます。

そのため、契約書作成に至るまでの文書、口頭における当事者間の了解事項は、すべて契約書に集約され、当事者間の最終的な合意を記載した唯一ものとして契約書が作成されます。

2. 書面重視の考え方の一例

「Entire Agreement」に関する記載の様式は、様々ですが、以下は、基本的な一例です。

This Agreement constitutes the entire agreement between the parties with respect to the subject matter hereof.
(本契約は、その主題に関して両当事者間の最終的合意を形成する。)

また、以下の例文は、口頭排除の原則(Parol evidence ruleを確認する記載のある1例です。

This Agreement constitutes the entire agreement between the parties pertaining to the subject matter hereof, and supersedes in its entirety any prior or oral agreements between the parties.

(本契約は、本契約の主題に関して、両当事者間の最終的合意ならびに了解を形成し、あらゆる種類の、口頭もしくは書面によるいかなる表明、条件、了解もしくは合意も、本契約に明示的に規定される以外、両当事者を拘束することはない。)

3. 当事者間の合意による変更

当然、これを変更する場合、当事者間の書面による合意が必要です。その場合、1例として通常、下記のような内容が追加されます。

No modification of this Agreement shall be binding unless executed in writing by both parties.

(本契約のいかなる変更も、両当事者の署名のある書面によりなされない限り、拘束力を有しない。)

上記については、各契約により、また起草者により書き方は様々ですが、基本的な考え方は同じです。

参考図書:法律用語辞典(有斐閣)、英和大辞典(研究社) コンパクト六法(岩波書店)、Trend (小学館)、Oxford Dictionary of English、Collins Consise Dictionary   ビジネス法律英語辞典 他

 

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