英文契約書の単語・用語 due、 due to

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単語「due」は、英文契約書に限らず、様々な分野で使用され、様々な意味を持ちます。そのため、契約書では様々に訳されるため、ある意味つかみどころのない言葉です。「due」の用法についてもその語源も含めて様々な解説がされていますが、今回は英文契約書における「due」の使われ方のうち、とりあえず知っておけば便利な使い方に絞って、主なものを契約書翻訳の観点から作成した例文を通して見てみます。

1. dueの語源

「due」の語源については、様々な説明があります。

とりあえず、Oxford Dictionary of Englishにある「due」の語源(Origin)を見ると、「Middle English (in the sense of “payable”): from Old French deu “owed”, based on Latin debitus “owed”, from debere “owe”とあります。

「中世英語(「支払うべき」の意味):ラテン語のdebitus「owed(:支払い義務を負う/(義務を)負った)」に基づき、debere「owe(支払い義務を負う/義務を)負っている)」に由来する古期フランス語のdeu「owed(支払い義務がある/(義務を)負った)」です。

さらに意味を確認してみると、以下のように記載されています。

形容詞としての用法

(1) Expected at or planned for at a certain time. Of a payment required at a certain time. (特定の時期に予定され、または計画されていること。特定の時期に必要される支払い。)

(2) of a proper quality or extent. Adequate(適切な品質または範囲。適切。) driving without due care and attention. (細心の注意(相当な配慮と注意)を払わずに運転する。)

名詞としての用法

(1) one’s dueの場合。a person’s right(人が持つ権利)

(2) duesの場合。an obligatory payment(義務的としてなすべき支払い)、a fee(料金)

2. dueの主な意味

様々な意味を持ちますが、ここではあくまでも英文契約書で使われることが多い「due」の意味を中心に見てみます。(上記のように「due」は、形容詞、名詞、副詞として使われますが、ここでは文法に関する説明は行いません。実務的にはこのようなものであると理解すれば十分です。なを、以下の用例以外にも様々な意味があります。)

a.「当然支払われるべき」、「支払期日が到来した」、「満期の」等

b.「正当な、」、「当然の」、「相応の」等

c.「~のために、~に帰すべき:「due to」として」

d.「当然与えられるべき「due toまたはdue」として」

e.「~する予定で」

3. 英文契約書で見られるdueを使った用語のいくつかの例

すでに述べたように様々な意味と用法があります。due単体でも使用されますが、多くの場合、他の単語と組み合わされて、「句= phrase」として使用されます。*例えば、以下のような語句があります。

due act 正当な行為:legitimate act
due care 相当な注意:a good deal of care, (all) reasonable care, due attention
due date 支払期日、満期日:the date on which something falls due, especially the payment of a bill.(何かが期日を迎える日付、特に請求書の支払い。)
due diligence 相当な注意:reasonable steps taken by a person in order to avoid committing an offence, especially in buying or selling something.(特に何かを売買する際に、犯罪を犯さないようにするために人がとる合理的な措置)
due process (of laws) 法の適正手続き、適正な手続き:fair treatment through the normal judicial system通常の司法制度による公正な扱い)
due reason 正当な理由

*上記以外にも、適宜、他の語と組み合わされ、または単体で使用される場合が多くあります。これらも含めいずれも文脈・内容により適用される意味が異なります。契約書等で長い条文の中で使われている場合など、文脈・内容を把握して意味を確定します。

4. dueを使った例文

以下に、主に上記の「due」の用例を使った例文を作成してみました。

The train is due in Tokyo at 6:25 p.m. (列車は午後6時25分に東京に到着の予定)

He is due to graduate in June. (6月に卒業することになっている)

This accident was due to a system error. (事故はシステムエラーに起因した。)

the money due to him. (彼に支払うべき金)

Any amounts which are not paid within the due date will be subject to interest of one percent (1%) per month, which will be immediately due and payable.(支払期日までに支払われない額は、1ヵ月当たり1%の利子が科せられ、即時に支払期日が到来する。)

Prior to the due date for filing by the Company of any Tax return, report or other filing that relates to a tax period beginning before the Closing Date and ending after the Closing Date…. (会社が、クロージング日前から開始し、クロージング日後に終了する課税期間に関連する納税申告、報告書、またはその他の提出物の提出期日に先立ち….)

There are no Tax liens on any of the assets of the Company, except for liens for Taxes not yet due.まだ期限が到来していない税に対する先取特権を除き、会社の資産のいずれに関しても、税の先取特権は存在しない。

The Company shall be timely paid over such taxes or other amounts to the appropriate governmental authorities to the extent due and payable.(会社は、適時、かかる税または他の額を納付すべき範囲まで当該政府機関へ支払うものとする)

 

Each party agrees to exercise due care in protecting the Confidential Information from unauthorized use and disclosure. (各当事者は、不正使用および不正開示から機密情報を保護するための相当な注意を払うことに同意する。)

 

Some of the key issues already identified to be investigated further during the due diligence process exist. (デューデリジェンスプロセス(適性評価)中にさらに調査する必要があるとすでに特定されている重要な問題がある。

5. その他のいくつかの用例

become due (fall due) (満期になる)

the honor due (to) him(彼に与えられるべき名誉)尊敬・称賛などが〉(人に)当然与えられるべき((to …))toが省かれる場合がある。

以下は、「当然の」、「正当な」、「それ相当の」、「十分な」の意味です。

with (all) due respect(十分に敬意を表して)

in due form(正式に)

in due time(そのうちに)

会費、組合費、料金、手数料、税金を表して(通例~s)

club dues(クラブ会費)

harbor dues(入港税)

ざっと見ただけですが、英文契約書に記載されているか、否かにかかわわらず、単語「due」の使い方は、難しいものがあります。理由のひとつは、冒頭に述べたように他の単語と組み合わされ場合、それが使われた文脈により、日本語の訳が変わるためです。ネイティブからすれば「due」はあくまでも「due」です。単語「due」慣れるためには、やはり多くの文例に接する必要があるようです。

 

参考図書

The New Oxford Dictionary of English (Oxford University Press)

Business English (BARRONS)

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

法律英単語(自由国民社)

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