英文契約書の単語・用語 例外、除外、否定の意味を表す言葉のいくつか(その1)

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契約書翻訳にかかわらず英語には、いくつもの「例外」、「否定」の意味を表す単語・用語があります。英文契約書においてもこれらの単語・用語が使われています。今回はとりあえず、「例外」、「否定」の意味を表す英語の単語・用語の代表的な言葉をリストアップして、改めてそれらの意味と簡単な使い方を確認し、それらの中でも、英文契約書での使われ方について作成した例文(簡単なもの)を通して、契約書翻訳の視点からみてみます(思いついたものに関しては英文契約書以外の使われ方も含めます)。
なを、とりあげた言葉の意味と用法については、このブログの趣旨である英文契約書について「覚えておくと便利」という趣旨に合わせて、限られた意味と用法のみをとりあげています。訳文はすべて暫定訳です(法律文を除く)。

否定の意味を表す単語・用語

1. but:  主に「しかし」「ただし」「けれども」の意味で、文中で二つの対立する事柄や、前述の内容と対照的な内容をつなぐ役割を果たします。前置詞としても使われ、「~以外の」にという意味を表します。副詞として「ほんの〜だけ」の意味を表すこともあります。

He is a newcomer, but he is a promising youth; He is a newcomer but he is a promising youth. It is not red, but black.

「but」は、口語的な意味合いが強いことばのせいか、「しかし」「ただし」「けれども」等の意味としては、英文契約書ではあまりお目にかかりません。(「but」よりも「however」とか「although」とか「though」が使われます(後述))。英文契約書で「but」を使った定番のフレーズの1つとして「including, but not limited to」があります。

Residuals means information in non-tangible form; which may be retained by persons who have had access to the Confidential Information, including ideas, concepts, know-hows or techniques contained therein, but not limited thereto.(残存記憶情報(残滓情報)とは、無形の形態による情報で、これらは、機密情報に含まれるアイデア、概念、ノウハウ、または技術を含み、これらに限定されない機密情報にアクセスした人物が保持する可能性があるものを意味する。)

“parent company” means any entity which is prescribed by Ministry of Justice Order as a corporation who controls the management of a stock company, including, but not limited to, a company which has a stock company as its subsidiary company;(会社法

なを、日~英の翻訳で、日本語の助詞の「が」を「but」で置き換えることもあります。

2. however:「however」は英語の接続詞で「but」に相当します。日本語では「しかし」、「だが」、「ただし」などと訳されます。文脈により「どんなに〜でも」「しかしながら」などとも訳されることもあります。

英文契約書では、前文の内容に対する条件や例外を示す際に単体で使用されるほか、同じ条項の本文の例外を示す際に接続詞として「本文但し書き」として使用されます。この場合、「provided, however, that」の形式で使わる場合が良く見かけられます。このフレーズの後には基本的に権利または義務を規定する文章が記載されます。先行する文章の間はセミコロン(;)かカンマ(、)で区切ります。

The effective period of this Agreement shall be for three (3) years starting from February 01, 2023; provided, however, that the effective period may be extended or shortened prior to the expiration date hereof based on a consultation among the parties hereof. (本契約の有効期間は、2023年2月1日から3年間有効とする。但し、有効期間満了前までに甲乙丙協議の上当該期間を延長又は短縮することができる。)

なを、「provided, however, that」と似た「provided that」のパターンがあります。本来、「~を条件とする」の意味ですが、文脈的に「ただし、(~を条件とする)」のように訳すことがあります。()部分は特に強調したい場合を除き訳さない場合もあります。The Contractor shall be responsible for all services under this Agreement provided that the Contractor shall completely perform the services in accordance with the specifications attached to this Agreement.

そのほか、「provided that」の「that」を書略して「provided」が単体で使われて、但し書きとして「ただし… である場合に~」の意味で使われることもあります。

なを、「however」を単体で使用する場合の例としては、The Contractor shall be responsible for any and all services under this Agreement. However, the Contractor’s liability hereunder shall in no event exceed the fees stipulated in this Agreement.(コントラクターは、本契約に基づくすべてのサービスに責任を負うものとします。ただし、本契約に基づくコンストラクターの責任は、いかなる場合も、本契約に規定された料金を超えないものとする)

「除外」を表す用語・単語として「unless otherwise」と「except」等がありますが、これらについては、後述します。

3. although、though

「although」は、文と文をつなぐ接続詞で、「~であるにもかかわらず」「~だけれども」「~であるが」、「しかし」、「~だが」という意味があります。「although」は書き言葉として使われ、英文契約書でも多く見受けられます。「though」は、「although」に比して口語的です。ちなみに上記の「He is a newcomer, but he is a promising youth.」は、「Although he is a newcomer, he is a promising youth.」とすることもできます。「although」は、文頭と文尾のいずれにも置くことができます(thoughが文末にくるときは、「、」を付けます)。

Although the Products sold to the customers may not returned to the Company, the supplier may return the Products safely retained in supplier’s warehouse to us if any defect is found in the Products prior to delivery to the customer.(顧客に販売した製品は当社に返品することはできませんが、顧客への引き渡し前に製品に欠陥が発見された場合、サプライヤーはサプライヤーの倉庫に安全に保管されている製品を当社に返品することができます。)

4. in spite of、despite

前置詞の働きをする「in spite of」と「despite」は、いずれも「~にもかかわらず」と訳されますが、辞書をみると「in spite of」は「…に反して」という積極的なニュアンスを含み、「despite」は「…と関係なく」という消極的なニュアンスを持つとされています。

これらは英文契約書では、基本的には文中で使用されます。

The Contractor shall remain responsible to Customer for the performance of its obligations despite any subcontract and shall be responsible to the Customer for acts, defaults, and negligence of the subcontractors as if they were the acts, defaults or negligence of the Contractor.

(請負業者は、下請け契約にかかわらず(外注した場合でも)、引き続き顧客に対しての責任を負うものとし、その義務の履行について引き続き顧客に対して責任を負うものとし、下請け業者の行為、不履行、過失については、あたかも請負業者の行為、不履行、過失であるかのように、顧客に対して責任を負うものとします。)

契約書では、見たことがありませんが、例えば、レポートの類では「despite」を文頭にもってきて強調構文として文章を作り上げる例をずいぶん見てきました。

文頭で「~にもかかわらず」とする場合(すなわち「上記にかかわらず」)は、例えば「Notwithstanding the above」、「Notwithstanding the foregoing」、「Notwithstanding anything to the contrary in xxx」などが使用されます。

Notwithstanding anything to the contrary in this Article, either party may terminate this Agreement at any time on 30 days prior written notice to the other party.

思いつくままに書いてきましたが、ほかにもいつくか取り上げたい単語・用語があります。

あまり長くなっても「ブログ」としてはいかがなものかと思い、それらについては次回にゆずりたいと思います。なを、例文もその時々で思いつくままに書いています。内容を参考にされる場合は、辞書・専門書をご確認の上、ご自身の責任でお願いします。

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