前回と前々回は、「英文契約書の一般条項」(その4)と(その5)を掲載しました。
本来、これらは2015年 7月に投稿した「英文契約書の一般条項」(その1からその3)の続きですが(書いたままで、出し忘れ)、(その1からその3)の投稿時期との間に相当期間が経過しました。そこで改めて、「英文契約書の一般条項」(その1からその3)に加筆・修正した内容を2回に分けて投稿させていただきます。1回目は、「Definition(定義)」と「Term(期間)」についての条項です。
英文契約書の一般条項についての内容ですが、改めて、一般条項がどのようなものかについて確認してみます。契約にはさまざまな種類があります。当然、その内容は、契約の種類によりそれぞれ異なり、例えば、売買契約、代理店契約・販売店契約、知的財産権に関する契約、ライセンス契約等、それぞれの契約ごとに、その主たる条項やその契約ごとの特別な条項が存在します。契約の種類にかかわらず、各契約において、*一般的に規定される契約条項が存在します。それらの中でも代表的ないくつかを契約書翻訳の観点から簡単にみてみます。
*「General Provisions」とか「General Terms」として、いわゆる「一般条項」、「一般規定」、「総則」と称されるもので、時として、「Chapter I – General Terms(第1章- 総則」のような形式で、大部分の条項が1つの章にまとめられることもあります。
政府機関、団体、または企業により、記載方法が厳密に定められている場合や、各契約条項が、多数の顧客や取引先と同一内容の契約を締結するために定型化された、普通契約約款と同じような形式を採用している場合も見られます。
1.「Definition(定義条項)」
契約書に記載の文言を定義します。書き方は、様々です。例えば、「”Products” means the Products listed in Appendix A.」(「製品」とは、付属書1に記載の製品を意味する。)、「“Confidential Information” shall be defined as any and all the proprietary, non-public information of either Party, including without limitation …(「機密情報」とは、いずれの当事者のすべての所有権を主張できる、非公開情報として定義され、)」とか、「”Property ” shall have the meaning as set forth in Article xxx」(「財産」とは、第xxx条に記載(規定)する意味を有する)等のようにさまざまに記載されます。「……… means xxx」といきなり、定義を開始する場合もありますが、
例えば、「The following words and expression shall have the following meanings unless the context otherwise requires:」(文脈上他の意味に解すべき場合を除き、下記の文言および表現は、以下の意味を有する。)として、その後で、
「A means xxx」、「「B means xxx」、「C means xxx」と順次定義してゆく場合もあります。
その他、特に定義条項を設けず、各条項の中で随時定義を行うものや、定義条項を設け、さらに各条項の中で随時定義を行うもの等さまざまです。「The Licensee shall use the Trademarks in the Territory (hereinafter referred to as the “Trademarks License”(ライセンシーは、本区域内においては、本商標(以下、「商標ライセンス」と称する)を使用する)」
2. 「Term(期間)」
契約の期間を定義します。記載方法は、さまざまですが、内容的には、おおざっぱに分けて(1)一定の期間が定まっているもの、(2)自動的に更新されるもの、(3)当事者間の協議によるものがあります。期間に関する条項は、事業の成否に大きくかかわる要素を内包しています。
(1)一定の期間が定まっているもの
「The effective period of this Agreement shall be from April 01, 20xx to March 30, 20xx.」(本契約の有効期間は、20 xx年4月1日から20 xx年3月31日までとする。)
「This agreement shall be effective from the 1st of January, 20xx and remain in full force for the period of xx years from that date, 」(本契約は20xx年1月1日から発効し、その日からxx 年間有効に存続する)なを、これらの場合(期間が定まっている場合)でも、例えば、「unless sooner terminated pursuant to the terms hereof (本契約の条項に従い中途で解除される場合を除き)」「unless sooner terminated as herein provided(本契約に規定の中途解除を除く)」等、中途で契約を解除できる一文を追加するのが一般的です。
(2)自動的に更新されるもの
これも記載方法は、さまざまですが、例えば、上記の例を使い、「The effective period of this Agreement shall be from April 01, 20xx to March 30, 20xx, unless sooner terminated pursuant to the terms hereof and thereafter shall automatically extend for one (1) year, …」(…その後、1年間ごとに自動的に延長される、…) この場合でも、例えば、「unless either party provides written notice to the other party of its intent to terminate this Agreement at least xx days prior to the expiration of the Extension」(ただし、いずれかの当事者が、延長期間が満了する少なくともxx日前に本契約を解除する旨の意思を相手方に書面による通知で行う場合を除くものとする。)のような一文が入るのが一般的です。
(3)当事者間の協議によるもの
「当事者間の協議によるもの」に多様な様態がありますが、一例として、上記「(1)一定の期間が定まっているもの」で作成した例文を使い、「This agreement shall be effective from January 01, 20xx and remain in full force for the period of xx years from that date, unless sooner terminated pursuant to the terms hereof and thereafter may be renewed for an additional xx years subject to mutual agreement in writing between the parties hereto.」(………………… その後、本契約の当事者間の合意に従い、さらにxx年間更新することができる。)
参考図書:
カレッジライトハウス和英辞典(研究社)
研究社新英和辞典(研究社)
ランダムハウス英和大辞典(小学館)
法律英単語ハンドブック(自由国民社)