英文契約書の用語・単語

英文契約書の条項「一般条項」その2

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英文契約書 - 一般条項

前回に続き、英文契約書の条項の中でも、それぞれの契約の種類にかかわらず、各契約において、一般的に規定される契約条項*の中でも代表的ないくつかを契約書翻訳の視点から簡単にみています。前回は、英文契約書に記載の文言を定義する「Definition(定義条項」と契約の期間を定義する「Term(期間)」条項についてみてみました。特に、期間に関する条項は、事業の成否に大きくかかわる要素をはらんでいます。

今回は、以前にも「口頭排除の原則、最終性条項または完全なる合意」に関する記事にあったEntire Agreement」についてみてみます。上記のように、「最終性条項または完全なる合意」と称されます。

3. 「Entire Agreement」(最終性条項)

英文契約書における書面重視の考え方を体現した条項です。英文契約書を、ある物事についての契約を行う場合、その契約書作成に至るまでの文書、口頭における当事者間の了解事項は、すべて契約書に集約され、当事者間の最終的な合意を記載した唯一ものとして位置づけます。

書き方は、さまざまですが、内容的には、上記の趣旨を体現したものです。以下に、1つの例文をつくってみました。

「Entire Agreement」(最終性条項)の一例

「This Agreement constitutes the entire agreement, and supersedes, whether orally or in writing, all prior agreements and understandings of the parties hereto with respect to the subject matter hereof, and cannot be amended or otherwise modified except in writing executed by the parties hereto.          (本契約は、最終的合意を構成し、口頭・書面によるものを問わず、本契約の主題に係わる本契約の両当事者間のすべての以前の合意と了解に優先し、また、本契約の両当事者が署名・捺印した書面による場合を除き、修正、または他の方法により変更することはできない。)この中で、「and supersedes, whether orally or in writing, all prior agreements and understandings of the parties hereto with respect to the subject matter hereof,」の部分が、口頭排除の原則(Parol evidence rule)を確認する文言です。繰り返しになりますが、書き方はさまざまです。

とことろで、上記の例文の中で、「本契約の両当事者が署名・捺印した書面による場合を除き、修正、または他の方法により変更することはできない。」とありますが、これは、契約の内容は、例えば当事者間の了解により変更されることがあるということです。この変更の内容は契約に記載の担当者や当事者の事業所の変更から契約の解除、不可抗力事由が発生したことによる変更などさまざまな事柄があります。これらに共通することは、これらの出来事が発生した場合、相手方にその出来事についての通知を行う必要があることです。これを規定するのが、「Notice(通知)」条項です。

4. 「Notice(通知条項)」

各契約では、通常、特に、「Notice(通知条項)」が設けられていない場合でも、通知を行うことを求められる事柄が規定されています。「Notice(通知条項)」には、以下に記載するようにさまざまな内容が盛り込まれていますが、基本的な部分についての例文を作ってみました。

「All notice and other communications in connection with this agreement must be in writing.」(本契約に関連するすべての通知およびその他の伝達は、書面によるものでなければならない。)

通知が求められる内容は、上記の他に、契約ごとに定められた事柄があり、また、通知の相手方への*送達時期(通知発送後、xx日(暦日(calendar day)または営業日(business day))または時期を指定せず、可能な限り速やかに等)や通知を行う方法(郵便、その他の文書、メール、ファックス、手交等)、通知先(住所、部署、担当者等)、その他が定められています。(*送達時期の指定がない場合もあります。この場合、一般に準拠法によります。)

特に、通知がメール、ファックス等で行われた場合、通知を受け取った、受け取っていないの紛争を回避する目的で、例えば「provided that a confirming copy of such facsimile or e-mail shall be sent by air mail」(当該ファックスまたはE-メールの確認用のコピーが航空郵便で送付されることを条件とする。)等の一文を設けることもあります。

その他、「Notice shall be deemed to have been received if …….」(…….の場合、通知は受領されたと見なされる。)のように、通知を行った時点で、相手方に送達したとみなすように規定する場合も見受けられます。

参考図書:

カレッジライトハウス和英辞典(研究社)

研究社新英和辞典(研究社)

英文契約書の書き方(日経文庫)

 

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