英文契約書の用語・単語 exclusion、exclusiveについて

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今回は、「exclusion」、「exclusive」について英文契約書で使われる場合の使われ方や意味について、作成した例文を通して(法律の条文を除く)契約書翻訳の観点から見て見ます。いずれも英文契約書でこれらの単語は単体で用いられほか、他の語と組み合わせて成句として登場します。ここ最近も書いたことがありますが。このブログの目的は、1つの単語に様々に意味を持つ傾向がある英単語が英文契約書で使われる場合、契約書・法律文書で使われる特有の意味を持つことがあります。このブログではその単語が英文契約書で使われる場合のその単語の意味と使われ方を手っ取り早く理解し、英文契約書を読んだり、書いたり、また、時として、和訳したり、英訳するするための一助になればとの考えから英文契約書で使われる、英単語をとりあげています。英文契約書の構成、法律的な意味や解釈については、専門書を参照してください。

1. Exclusionについて

Exclusion 免責、除外。動詞は「exclude」

多くの場合、義務や責任を免除したり、除外したりする場合に見られる表現です。

This exclusion shall not apply to the liability for the breach provided for in the Master Contract. (本適用除外は、基本契約に規定の違反の対する責任には適用されない)

Any right of the parties hereto shall exclude or limit if such exclusion or limitation of the right would be lawful.(そのような権利の除外または制限が適法な場合、本契約の当事者の権利は排除され、または制限される)

Nothing in this Agreement excludes or limits either party’s liability for fraud or fraudulent misrepresentation.(本契約のいかなる条項も、詐欺行為または虚偽表示に対するいずれの当事者の責任も排除せず、または制限しない)

2. Exclusiveについて

Exclusive 独占的な、排他的な、唯一の、exclusive dealing(排他的条件付き取引)、exclusive distributor(独占的販売店、総代理店)、exclusive jurisdiction(専属管轄権)、*exclusive license(独占的ライセンス、独占的実施権、専用実施権)、*独占的ライセンス、独占的実施権としてありますが、排他的ライセンス、排他的実施権とすることもあります。

以前にもとりあげたことがありますが。、英文契約書ではポピュラーな単語の1つです。上記のように他の語との組み合わせで様々な成句を作ります。

The Seller shall appoint the Distributor as its exclusive distributor in the Territory for the Products upon the terms and conditions herein set out. (売主は、本契約に規定された条件に基づき、本製品に関する本販売区域の独占的販売代理店として販売代理店を任命する。)

The Supplier is the exclusive owner of the Intellectual Property regarding the Products. (サプライヤーは、製品に関する知的財産の排他的な所有者です。)

A holder of a utility model right or an exclusive licensee may not exercise his/her utility model right or exclusive license against an Infringer, etc. unless he/she has given warning in the Report of Utility Model Technical Opinion regarding the registered utility model. (実用新案権者又は専用実施権者は、その登録実用新案に係る実用新案技術評価書を提示して警告をした後でなければ、自己の実用新案権又は専用実施権の侵害者等に対し、その権利を行使することができない。)(実用新案法

If this Agreement and the separate contract has mutually exclusive provisions, the provisions of this Agreement shall take precedence. (本契約と個別契約に相互に排他的な規定がある場合、本契約の規定を優先されるものとする)

mutually exclusiveは、「相互に排他的」という意味のほか、「共存しない」、「一方のみが」、「互いに矛盾する」、「相容れない」などと文脈上から訳すこともあります。

「Exclusive」が作る成句になかでも特に「exclusive jurisdiction」は、ほぼ大部分の英文契約書に記載があります。これは特定の裁判所のみがその契約にかかわる案件につき裁判権を有することです。

例えば、Any dispute arising out of this Agreement shall be submitted to the exclusive jurisdiction of the Tokyo District Court of Japan for the first trial. (本契約に起因する紛争は、第一審に関して日本国の東京地方裁判所の管轄権に服する)

This Agreement shall be governed by the laws of Japan and any dispute in relation to this Agreement shall be brought in the Tokyo District Court as the exclusive competent court for the first trial. (本契約は日本法に準拠し、本契約に関する紛争の第一審の専属管轄裁判所は、東京地方裁判所とする。)

なを、裁判に勝っても相手方がその裁判地に資産等を持っていない場合等、この規定についてその有効性が問題となることもあるようです。傾向的には契約書を起草した当事者や契約の主導権を握っているような当事者は、やはり自社の本拠地を裁判地に指定することが多く見られます。

参考図書:

カレッジライトハウス和英辞典(研究社)

研究社新英和辞典(研究社)

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

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英文契約書の用語・単語     evidence、 exceptionについて

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今回は、「evidence」、「exception」について見てみます。いずれも英文契約書でこれらの単語が単体で用いられほか、他の語と組み合わせて成句として登場します。このブログの目的は、英語の性質上、英語の1つの単語は様々な意味を持つ場合が多く、特にその単語が使われる分野が異なると、その単語はその分野特有の意味を持つことが多くなります。このブログではその単語が英文契約書で使われる場合のその単語の意味と使われ方を手っ取り早く解説します。いずれも作成した具体的例文(法律の条文を除く)を通して契約書翻訳の観点から見てゆきます。

  1. Evidenceについて
evidence 証拠、証言、しるし、形跡、reliable evidence(信頼に足る証拠)、enough evidence(十分な証拠)、documentary evidence、evidential document(証拠書類)またはdocumentary evidence(証拠書類)、evidential document(証拠文書)

一般的には、「事実・真実を明らかにする根拠となるもの」ですが、法律文では時として「立証を必要とする事実の存否について裁判官が判断を下す根拠となる資料」。

Subcontractor shall provide written evidence of such approvals, consents, permits or licenses to the satisfaction of the Contractor, on demand. (下請業者は、要求に応じて、請負業者が満足する当該承認、承諾、許可または免許についての証拠書類を提供する)

An accounting audit shall include the evidential documents for the amounts stated the financial statements. (会計監査には、財務諸表に記載された金額の証拠文書を含める)

The parties hereto shall immediately report the evidence of fraud if such evidence is discovered. (本契約の当事者は、詐欺の証拠が発見された場合、直ちに報告する)

The administrative determination on the merits must clarify the facts of a marine accident and the details of intentional or negligent conduct in which the examinee engaged in the course of their duties, and also state the reason for the finding of facts based on evidence;(本案の裁決には、海難の事実及び受審人に係る職務上の故意又は過失の内容を明らかにし、かつ、証拠によつてこれらの事実を認めた理由を示さなければならない)(海難審判法)http://www.japaneselawtranslation.go.jp/transDB/kwic/?re=01

  1. Exceptionについて
Exception (裁判に対する)異議、但し書き、除外条項、

「except for」、「except that」として使用される場合が多く見れられます。まずは「exception」を使った例文。

Either party hereto may assign or transfer all or part of obligation under this Agreement without a written consent of the other party. With the exception that the parties hereto may assign or transfer it to a party’s affiliates or members. (本契約のいずれの当事者も、相手方の事前の書面による承諾なしに本契約のすべてもしくは一部の義務を譲渡または移転できない。ただし、例外として、本契約の当事者は、本契約のすべてもしくは一部の義務を当事者の関係者または構成員に譲渡または移転することができる)

例文として作成したのでいささか冗長な文章になりましたが、「except that」などを使うと上記の例文よりもすっきりしたものになります。

Either party hereto may not assign or transfer all or part of obligation under this Agreement without a written consent of the other party except that that the parties hereto may assign or transfer it to a party’s affiliates or members.

この文章は、以下のようになることもあります。

Either party hereto may assign or transfer all or part of obligation under this Agreement to a party’s affiliates or members, however, provided, that a prior written consent of the other party is obtained.

ここでは、「assign」を譲渡、「transfer」を移転としましたが、和訳の際に「transfer」を「譲渡」としたり「assign or transfer」を一括して「譲渡」または「移転」として訳出することもあり、いずれも文脈から判断します。経験的には、英文契約書の場合、「assign」のみが書かれている傾向がままあるようで、文脈的に「assign」を「譲渡」として訳出するケースが多いように感じます(あくまでも経験です)。

次回は、「exclusion」、「exclusive」について見てみます。

参考図書:

ビジネス法律英語辞典(日経文庫)

研究社新英和辞典(研究社)

日本法令外国語訳データベースシステム他

英文契約書の用語・単語 損害と損害賠償と表現(その2)

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前回の「単語 損害と損害賠償と表現(その2)」に続き「損害」と「損害賠償」という言葉が英文契約書でどのように使われているかを契約書翻訳の視点から概説します。今回は、「damage」と「damages」以外または他の言葉による「損害」と「損害賠償」の表現について見てみます。

1. 損害(または損害を与える、害する)を意味する「damage」以外の言葉

英文契約書の中で使われる場合の例。

(1) loss:損失、喪失、ロス、欠損、損害

“Losses” means all losses, liabilities, damages, costs, expenses and charges arising from or in connection with any act or omission of a party under this Agreement.(「損害」とは、本契約における当事者の行為または不作為に起因するまたは関連するすべての損失、負債、損害賠償、費用、経費、料金を意味する)

(2) injury:(身体的な損害を含む)損傷、傷害、負傷、怪我、損害、被害、侵害

Any breach of any of the provisions of this Agreement will cause irreparable and substantial injury to the Business and money damages would not provide an adequate remedy to the Business.(本契約のいかなる条項に対する契約不履行も、本ビジネスに対する回復不能および実質的な侵害を生じること、また、損害賠償金では本ビジネスに十分な救済を提供できない)

Lessee shall be responsible for any act that causes injury or damage to persons or building. (賃借人は、人もしくは建物に対する傷害または損害に対するあらゆる行為に対して責任を負うものとします。)

(3) loss or damageとして、慣用句的として使われる場合があります

If any loss or damage is occurred to this machine due to the reasons attributable to Party B, Party B shall indemnify such loss or damage to Party A.(当事者Bの責に帰すべき事由により本装置に損害が発生した場合、当事者B は当事者Aに対し損害の賠償を行う)

If the handling of any hazardous materials in the Building by Tenant results in loss or damage to person(s) or property,(賃借人が本建物内において危険物の取扱いを行った結果として、人員もしくは財産に対する滅失もしくは毀損が発生した場合、)

 2. 損害賠償を意味する「damages」以外の言葉

(1) Compensation for damage(損害賠償)

In the case where the amount of compensation for damage is scheduled, if the amount is extremely inappropriate, the parties concerned may request increase or decrease it.(損害賠償の額が予定された場合において、その額が著しく不相当であるときは、当事者は、その増減を請求することができる)(鉱業法

「Compensation for damage」は、状況に応じて、compensation for lack of business and any other loss or damage(事業の損失およびその他の損失または損害に対する補償)の様に、forの後に、実際に発生した損失を記載することができます。

(2) Compensatory damages(補償的損害賠償)

In some cases, compensatory damages have been paid with interest as well.(一部の場合、補償的損害賠償も利子付きで支払われる)

(3) Indemnity(損害賠償)

In the event that the foregoing indemnity is unavailable or insufficient to hold other indemnified parties harmless,(前述の補償が、他の被補償当事者を免責するために得られない、もしくは十分でない場合、)

Indemnifyは、Indemnityの動詞形です。

If either party commits a breach of any provision hereunder, the party who commits such breach shall indemnify the affected party for loss or damage. (いずれかの当事者が、本契約の条項に違反した場合、当該違反を行った当事者は、損害を受けた当事者に当該損害を補償する)

(4) claim for loss(損害賠償要求、損害賠償)

The liability of your company to the clients in respect of any claim for loss, damage or expense of whatsoever nature and howsoever arising whether directly or indirectly,(いかなる性質および直接的または間接的を問わずどのように発生した場合であっても、損失、損傷、費用の損害賠償に関する御社のクライアントに対する責任は、…)

上記の場合は、claim for loss(損害賠償)の対象をdamage、expenseまで広げた形の文章です。

(5) Restitution(〔損害などの〕賠償,返還)

We would like to make some kind of restitution for the damage.(その損害になんらかの賠償をしたいと思います)

If user suffers damages from using these services, this company will not issue restitution for these damages.(ユーザーが本サービスを利用したことによりユーザーに損害が生じた場合でも当該損害の賠償は致しません)

以上、「damage」と「damages」以外または他の言葉による「損害」と「損害賠償」の表現について見てみてきましたが、いずれもその単語が英文契約書で使われる場合のその単語の意味と使われ方を手っ取り早く理解するという趣旨に沿って解説してみました。

参考図書:

法律英単語ハンドブック(自由国民社)

カレッジライトハウス和英辞典(研究社)

研究社新英和辞典(研究社)

日本法令外国語訳データベースシステム他

ご挨拶

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2022年 あけましておめでとうございます。

契約書翻訳のアイエヌジーエスでは、英文契約書を読んだり、書いたりするために役立つ情報をブログで配信しています。このブログの目的は、英語の性質上、英語の1つの単語は様々な意味を持つ場合が多く、特にその単語が使われる分野が異なると、その単語はその分野特有の意味を持つことが多くなります。このブログではその単語が英文契約書で使われる場合のその単語の意味と使われ方をに絞って解説します。その単語が英文契約書で使われる場合の意味と使われ方を手っ取り早く理解し、英文契約書を読んだり、書いたりするための一助になればと考えています。いずれも作成した具体的例文(法律の条文を除く)を通して契約書翻訳の観点から見てゆきます。なを、翻訳に主眼を置いており、英文契約書の構成、法律的な意味や解釈については、専門書を参照してください。

本年が皆様とって良い年であることをお祈り申し上げます。

英文契約書の用語・単語 「利益」を表す言葉-profit、benefit、 proceed, interest、return、revenueについて

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本年もよろしくお願い申し上げます。

前回は、損害賠償について書いたのでのですが、新年の初めということもあり、英文契約書にある「利益」という言葉について、主に契約書翻訳の視点から見てみました。いわゆる「利益」を表す代表的な英単語は、profitですが、これ以外にも利益または利益に相当する意味を持つ単語は様々なものがありますが、そのなかでも今回は、profitに加え、benefit proceed、interestreturngainを作成した例文を通して取り上げてみました(法律の条文を除く)。もちろん英単語の常としてこれらの単語は、利益または利益に相当する意味以外にも様々な意味をもちます。

1. Profitについて

Profit (利益、利得、益、もうけ)例えば、gross profit(総利益)、net profit(純利益)などして他の語組み合わせで様々な種類の利益を表します。

The project under this Agreement shall include prepare a business plan and projections for profit and cash flow.

“Financial Statements” shall collectively refer to a profit and loss statement and a balance sheet. (「財務諸表」とは、総称的に損益計算所と貸借対照表をいう。)

The net profit to be shared shall be determined base on consultation between the parties hereto for purpose of profit sharing. (分配される純利益は、利益分配を目的とした本契約の当事者間の協議に基づいて決定される)

2. Benefitについて

Benefit (利益、有利、利得)、benefits (給付、手当)

The provisions of this Agreement shall inure to the benefit of and be binding upon the successors and assigns of the other party. (本契約の規定は、相手方の承継人および譲受人の利益のために効力を生じ、拘束力を有する)

Employees shall be entitled to holidays, vacations, disability insurance, pensions or retirement plans, or any other benefits provided by the Employer. (従業員は、休日、休暇、障害保険、年金または退職金制度、または雇用主が提供するその他の給付を受ける権利を有する)

3. Proceedについて

Proceed  (売上、収益、収入、利益)

It is anticipated that primary sources of liquidity will come from the proceeds in the future generated from operating activities. (流動性資産の主な源泉は、営業活動から生み出される将来の収益によるものと予想される)

The net proceeds under this project shall be used for working capital and general corporate purposes. (本プロジェクトの純収入は、運転資金および一般的な営業目的に使用される)

4. Interestについて

Interest (通例interestsとして、利益、権益、得、持分)例えばsecurity interest(担保権)beneficial interest(受益権)などとして他の語組み合わせで様々な意味を表します。

The Board shall be, in its discretion, entitled to determine to be what is the best interests of the Company for making decision whatever. (取締役会は、その裁量により、新しいプロジェクトについて決定を下すために会社の最善の利益となるものであると決定する権利を有するもの)

単数で「interest」と記載されている場合は、「所有権」とか「株式」の意味もあるので文脈から判断します。

5. Retrunについて

Return (投資などからの利益、収益、利潤、利ざや)

Party A shall immediately inform Party B of the return from the investment in the project after the investment is successfully made. (当事者Aは、投資が成功した後、直ちに当事者Bにプロジェクトへの投資からの収益を通知する)

6. Revenueについて

Revenue (収入、収益、収入源)

The Revenue of the Company shall be calculated based on the Company’s current accounting method. (会社の収益は、会社の現在の会計方式に基づき算出される)

The latest report forecasts marketing expenses to remain at a level of 25% of revenue for the foreseeable future. (最新のレポートは、予測可能な将来に対して、販売費が、収益の25%のレベルにとどまると予測しています)

The fee set forth in the preceding paragraph and paid to an Association shall be the revenue of said Association.(前項の手数料で協会に納められたものは、当該協会の収入とする)(金融証券取引法

これらの他にも、例えば、Gain(gainsとして、収益、利益、報酬)などがあります。

どのような状況でどの単語を使用するのが良いのかという点については、今回は触れていませんが、すぐに使えるという意味で英文契約書の内容を理解したり、また自分でドラフティングをする場合、また、和訳、英訳にかかわらず翻訳をする場合など、いくばくかの参考になればと思います。

参考図書:

ビジネス法律英語辞典(日経文庫)

研究社新英和辞典(研究社)

日本法令外国語訳データベースシステム他

英文契約書の用語・単語 損害と損害賠償の表現(その1)

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英文契約書の定番用語の1つに「損害」と「損害賠償」があります。今回は、これらを表す言葉のいくつかを中心に見てみます。なを、ここでは「損害賠償」という言葉が英文契約書でどのように使われているかを契約書翻訳の視点から概説します。

1. 「damages」を使った表現

「damages」は、見た通り「damage」の複数形です。「damage」は、(人や物の価値を減らす)損害、被害、ダメージ、損傷を表しています。これを複数形にした「Damages」は、損害賠償、損害賠償金、損害賠償額の意味で使用されます。ただし、「damages」となっていても例えば文脈的に「損害箇所が複数個所に渡る場合」を表す場合は、単なる「損害、被害」等を意味する場合あります。

Cambridge Dictionaryでは「Damages」を以下の様に定義しています。

Damages(名詞の複数形):money that is paid to someone by a person or organization who was responsible for causing some injury or loss.(怪我や損失を生じた責任を有する個人または組織により誰かに支払われる金額。)

They were awarded $500,000 in damages. (彼らには500,000ドルの損害賠償が支払われました。)

冒頭に、「damage」は、「損害」の意味で使われ、「damages」は、「損害賠償」の意味で使用されるとしましたが、経験的には文脈的に「damage」が損害賠償の意味で使用されていることもあります。理由の1つとしては、英文契約書といってもネイティブ以外のさまざまな国の人々が契約書を起草することが一因かもしれません。以下に、「damage」と「damages」を使った例文を作成してみました(法律の条文を除く)。

 (1) 例文:単なる「損害」を表す「damage」

(a) 普通の文章で使われる場合の例です。

The roof broke due to the typhoon. It’s lot of damage. It caused lot of severe damage here and there.(台風で屋根が壊れた。大変な損害だ。あちこちで甚大な被害に見舞われた)

Too much drinking alcohol may damage your body.(たくさん飲むと健康に良くない)

The typhoon that hit Japan in 2019 damaged houses a lot, causing trees to be knocked down. (2019年に日本を襲った台風は、家々に損害を与え、木々をなぎ倒した)

(b) 英文契約書の中で使われる場合の例。

Seller shall be responsible for and shall bear risk of loss and damage to the Goods, or portions thereof until they are delivered to and are accepted by Buyer. (売り手は、商品またはその一部が買い手に納品され、受領されるまで、その商品またはその一部の損失および損害についての責任を負い、その危険を負担する)

Seller shall indemnify and hold Buyer harmless against any loss or damage resulting from any claim made by end users. (売主は、エンドユーザーの請求に起因する損失または損害に対して買主を補償し、免責する)

(2) 例文:損害賠償を意味する「damages」

If Party A suffers any loss or damage due to a violation of provisions of the Agreement by Party B that it discloses the Confidential Information to any third party without a written consent of Party A,  Party A may demand all damages to Party B.(当事者Aが、当事者Bが機密情報を当事者Aの書面による同意なしに第三者に開示するという当事者Bによる本契約の条項に違反により、損失または損害を受けた場合、当事者Aは当事者Bにすべての損害賠償を請求できる)

In no event shall 1st Party be liable for indirect, special, incidental, punitive or consequential damages, including, but not limited to, lost profits(いかなる場合も、第一者は、利益の損失を含むがこれらに限定されない、間接的、特別、偶発的、懲罰的、または結果的な損害に対して責任を負わない)

In no event will Party B be liable for damages cause by Party A’s fault.( いかなる場合も、当事者Bは、当事者Aの過失によって生じた損害について損害賠償責任を負わない)

The parties hereto shall accept a liability for damages to the other party to a required extent. (本契約の当事者は、必要な範囲で相手方に対する損害賠償責任を負う)

The parties may agree on the amount of the liquidated damages with respect to the failure to perform the obligation. (当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。)(民法)http://www.japaneselawtranslation.go.jp/kwic/?re=01)

Unless other intention is manifested, the amount of the damages shall be determined with reference to monetary value. (損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める)(民法

2.「損害賠償を請求する」、「損害賠償の訴訟を起こす」の表現の表現について。

「損害賠償を請求する」は、claim [demand] damagesですが、claim for [demand] damagesでも同じ意味になります。

「損害賠償の訴訟を起こす」は、go to law (against somebody) for damages      sue somebody for damages等となります。.

  1. 「damage」の動詞としての使われ方

これまで見てきた「damage」と「damages」は、いずれも名詞としての使われ方でしたが、「damage」は動詞としても使われます。例えば、購入した製品を組み立てる場合、マニュアルのインストラクションに以下の注意書きが入っていることが良くあります。

Please be careful not to damage any parts when you assemble the product. (製品を組み立てる際は、部品を傷つけないようにご注意ください)

Be sure to align the connector in the proper orientation so that you do not damage the pins on your motherboard. (マザーボード上のピンの損傷を防ぐため、コネクタを正しい方向で接続するよう注意してください)

This does not damage the common interests of the company’s shareholders, but rather contributes to their interests. (これが、当社の株主の共同利益を損なうことはなく、むしろその利益に貢献します)

参考までに日本の法律ですが、「損害」と「損害賠償」の意味を法律用語辞典で見ると、「損害とは、債務不履行や権利の侵害等により受ける不利益。損害賠償のという法律効果を生じさせる要件の1つ。以下省略」。「損害賠償とは一定の事由に基づき他人に与えた損害を填補して損害がなかったのと同じ状態にすること。-中略-代表的な例は、民法規定の債務不履行または不法行為に基づくもの(民法415条以下、709条以下)-以下省略」とあります。

参考図書:

法律用語辞典(有斐閣)

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

カレッジライトハウス和英辞典(研究社)

研究社新英和辞典(研究社)

日本法令外国語訳データベースシステム

英文契約書の用語・単語 establishとestate

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今回は、英文契約書で使用されるestablishestateについて作成した例文その他を通して契約書翻訳の視点から英文契約書での使われ方の一例を作成した例文(法律の条文を除く)その他を通して見てみます。いずれの言葉の英語の常として1つの言葉がいろいろな意味を持ちますが、英文契約書で使用される頻度の高いものいくつか取り上げています。

establish (事業、組織などを)立ち上げる、創立する、設立する、築く、(制度、法律などを)制定する、(~を)立証する。名詞形は「establishment」

This Agreement shall not establish between Party A and Party B any partnership, joint-venture, employment relationship, confidential relationship, fiduciary relationship or any other type of relationship.(本契約は、当事者Aと当事者Bとの間にパートーナーシップ、ジョイントベンチャー、雇用関係、信頼関係、信任関係、もしくはいかなるその他の種類の関係も構築しない)

The Seller shall not establish any branch or maintain any depot for the distribution of the Products outside the Market.(売主は、市場外に製品を流通するための支店を設立せず、または倉庫を維持しない)

The Supplier and the Distributor have agreed to enter into this Agreement for the purpose of establishing a supply and distribution agreement between them for the Products in Territory. (サプライヤーとディストリビューターは、販売区域内の製品の供給および販売契約を設定する目的のために、本契約を締結することに合意した。)

In order to establish a Certified Administrative Procedures Legal Specialist Corporation, the Certified Administrative Procedures Legal Specialists who are to become members thereof must adopt the articles of incorporation in cooperation with each other.(行政書士法人を設立するには、その社員となろうとする行政書士が、共同して定款を定めなければならない。)(行政書士法

 

estate 地所、財産,所有財、財産権、不動産権、所有権、遺産、受益権、(財産などの)承継人、personal estate(動産)、real estate(不動産)

「estate」単体で使われる場合もありますが、やはり「real estate:不動産」として使われることが多いようです。

“Real Estate Taxes” shall mean the sum of the real estate taxes and assessments and special assessments imposed upon the Building and the plot of land on which the Building stands (the “Land”).(「固定資産税」とは、本建物およびそれが立っている土地の区画(「本土地」)に課される固定資産税、賦課金および特別賦課金を意味する)

Lessor shall keep a copy of tax bill of taxing authority imposing Real Estate Taxes on the Land or the Building as evidence of the amount of Real Estate Taxes.(賃貸人は、固定資産税の額の証拠として、土地または建物に固定資産税を課す税務当局の課税請求書のコピーを保管する)

A written petition for a ruling of the division of an estate must state the following particulars, and an inventory of property must be attached thereto:(遺産の分割の審判の申立書には、次に掲げる事項を記載し、かつ、遺産の目録を添付しなければならない。)(家事事件手続規則)http://www.japaneselawtranslation.go.jp/kwic/?re=01

ついでに「estate」かかわる言葉で、「e」から始まるevacuation(立ち退き)があります。

動詞は「evacuate」。余談ですが、以前いた米国のとある事務所で仕事中に非常ベルが鳴りだし(電子レンジからの煙)、誰かが「evacuate! evacuate!」と叫んで退避をうながされた経験があり、そのためかevacuationというと不動産賃貸契約で時に使われる「立ち退き」よりも、「避難」というイメージが先行します(辞書により「evacuation=避難」が最初に書いてあるもののありますが)。このときは自分も含め部屋にいた全員が言葉の意味を理解しても、なぜか自分を含め、その場にいた方たちも身体がついていかなかったことを思い出します。やはり避難訓練は大事です。ついでなのでテナント契約などでたまにみかける避難計画について定めた例文を作ってみました。

The lessee shall establish measures such as evacuation and rescue plans and shall implement fire and/or earthquake exercise once a year for the safety of its employees.(賃借人は、従業員の安全のために避難計画や救助計画などの対策を講じ、年に1回、火災および/または地震訓練を実施する。)

例文にもありますが、Lessor(賃貸人)とLessee(賃借人)は、不動産貸借契約などでの必須単語の一部なので覚えておくと便利です。なを、不動産にかかわる契約は、その国ごとあるいはその国の地域の法律により、その国や地域ごとに様々な特色があり、翻訳の難易度が高くなることも多くあります。

参考図書:

法律英単語ハンドブック(自由国民社)

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

日本法令外国語訳データベースシステム