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8月25日から9月30の間にご注文いただいた場合

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英文契約書の単語・用語   一見すると問題がないような訳文にある落とし穴「~に先立ち」の例ほか

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和文英訳について最近気になったことを2点ほど書いてみました。

1.一見すると問題がないような訳文にある落とし穴

上記の例として、「~に先立ち」を英訳する場合、機械的に「prior to」にしてしまいませんか。そうでない場合もあるんです。これはなぜか人間でもAIによる翻訳でも以外と目につく事柄です。とくに長文を英訳する際に顕著にみられます。

例えば、長文の一節で「xxxをAに先立ちBに支払う」という場合、対応する英文が「xxx is paid to B prior to A」とすることがあります。この文章が入っている原文が長いと、翻訳文も長くなり、語句を挿入する必要もあって、人間やAIを問わず、機械的に「prior to」と訳す例が見られます(あくまで個人的な感想です。もちろん正しく訳されている場合もありますが)。

なるほど、「prior to」は「~に先立ち、~より前に」という意味合いですので、「~の前に、~に先立って」と時間的な順序、ある出来事が他の出来事よりも前に行われたことを表しているため、問題はないように思われます。

短い文章でしたら、間違えることはないと思いますが、上記の原文の「~に先立ち」は、「A」より「B」を優先して「xxx」を支払うという意味の「in preference over」が正しい解釈です。

「先立ち」の訳は、「in preference over」と「prior to」はどちらも、「~より前に」ですが、日本語では、文脈によりその意味合い、その使い方が異なっています。

「in preference over」は、選択肢を比較して、比較対象を明確にし、どちらを好むか、どちらを優先するかを表す際に使う「~を好んで、~よりも優先して」であり、どちらをより重視するかを強調する表現です。

「in preference over」の例:

I prefer mathematics in preference over physics. (I prefer mathematics to physics.)

In the mornings, I drink coffee in preference over tea.

We decided to walk in preference over taking a taxi.

一方、「prior to」の場合は、選択肢の比較ではなく、単に時間的な順序、時間的な先行性、ある出来事や行為が他の出来事や行為よりも「前」に起こったことを示します。

「prior to」の例:

Prior to the meeting, we had dinner.

We should prepare that everything is ready prior to the meeting.

Do we have enough time for tea or something prior to departure?

2.文節をどこで切るかにより誤訳を生じる例

以下に示す例も間違いやすい文章です。

「給付を受けた金銭以外の財産の給付があった日における当該財産の価額(会社計算規則第14条第1項第2号)」

今回は、論点がわかりやすいのでこの例を使用させていただきます。

さて、質問ですが、「金銭以外の財産」は、これを翻訳する際にどこで区切るのでしょうか?

この場合の文節を区切る場所は、「金銭以外の//財産」または「金銭//以外の財産」のどちらでしょうか?

金銭以外の/財産(金銭でない財産(例、切手、古銭等の現物資産で形のある実体を持った資産))にするか、金銭/以外の財産(金銭を除く財産(預貯金、株式、債券等の金融資産でない財産))にするかで、意味が大きく異なり、これに従って、翻訳は大きく異なります。とどのつまり、ここでは、英語の翻訳以上に日本語の解釈が非常に重要な要素になります。

区切り方により、その訳は、Non-monetary assetsまたはassets other than moneyとなり、内容が、全然、違ってきます。

これも人間やAIを問わず、「Non-monetary assets」と訳すケースが多々あります。

契約書の主たる目的は、後々の金銭的なトラブルを回避し、契約の目的を履行することです。契約内容、特に、金銭面をもれなく、明確に、誤解を生じることがないように記載することです。

契約書翻訳のなかでも特に和文英訳の場合、日本語の意図、文脈を正しく把握し、適切な訳語(この場合英語)を使用するために、その英語が日本語の意図、文脈を正しく体現していることを確認することが求められます。

では、猛暑が続きますが、この暑い夏を乗り切りましょう。

本ブログは筆者の覚え書きのメモとして書かれてています。本ブログの内容を参考にされる場合は、辞書・専門書をご確認の上、ご自身の責任でお願いします。無断転載はご遠慮ください。
その他AI翻訳による翻訳文を原文と対比して校正するポストエディットも承っております。

参考図書:

ラダムハウス英和辞典(小学館)
日本法令外国語訳データベースシステム他

英文契約書の単語と用語 ― 「~に起因する」およびこれと同様な意味を持つ言葉に対応する表現

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「~に起因する」同じような意味を表すいくつかの言葉には「~から生じる」、「~に原因する(~が原因で~が起こる)」、「~が原因で」などがあります。

日本語から英語に訳す場合、辞書を見てその言葉にぴったり対応する単語を使用することは間違いではありませんが、実際には文脈、本文に内容、それが書かれた目的など勘案して適切な訳語を選択する必要があります。また、英語から日本語への翻訳も同様です。今回は、「~に起因する」という表現をとりあげましたが、このことは英文契約書を含む多くの翻訳作業においても考慮する必要がある事柄です。

これらの言葉に対応する英文は、ざっとあげてみても、例えばto originate from、is caused by、due to、be attributed to、be attributable to、arising out of、arising fromなどがあります。

Earthquakes are caused by the “shifting” of rocks underground, specifically when the boundaries of underground plates move.

上記は「岩盤のずれに起因する」でも「岩盤のずれにより起こる」とされますが、意味としてはいずれ同じです。この文章は、例えば、Earthquakes are due to shifts in rocks underground.でも同じような意味になります。そのほかEarthquakes originate from the “shifting” of rocks underground, ……Earthquakes arise from the “shifting” of rocks underground,…/ Earthquakes arise from underground rock movement. …なども同じような、または類似の意味になります。同様に「be attributed to」、「be attributable to」についても、「主語 + be動詞 + attributable to + 原因」でEarthquakes are attributable to the “shifting” of rocks underground.

これらの言葉について英文契約書での使用例を作成した例文で見てみます。

The quality control procedures set forth in the Exhibit to this Agreement are intended to improve the quality of the Products and contribute to the reduction of their manufacturing costs. These procedures may specify the liability for the compensation in the event of a claim arising from a defect of delivered product. 「arising from」は「due to」も可ですが、「arising from」のほうがフォーマルであるという意見もあります。実際には、「due to」も多く使われます。

The product assurance under this Agreement shall not apply to any malfunction, failure, or damage to the Product resulting from misuse, modification, alteration, remodeling, or conversion of the Product.

In no event shall the Contractor be liable for any indirect, incidental, special, or consequential damages, or for any damages whatsoever arising out of the use of or inability to use the software.

AAA Enterprise expressly disclaims all liability for any damages or injuries arising from, or in any way related to, activities involving this Product.

The liability of ABC Corporation for any loss or damage arising from or related to the use of such software programs is strictly limited as set forth in the Software License Agreement.

追記(口語的な表現):

ところで上記の例は、最初の「地震は岩盤のずれにより起こる」を、これを試しに会話文にすると、ほんの一例ですが「As you know, earthquakes usually happen when rocks under the ground move — especially when tectonic plates shift at their boundaries.」会話文としは硬さがのこりますが、とりあえず作ってみました。

ところで「~に起因する(~から生じる、~に原因する(~が原因で~が起こる)、(~が原因で)は、これらの口語的な表現は、sinceやbecauseを使って、「〜だから」と原因を表す表現を「そう言う事だから」、「そう言う理由だから」と表現することができます。

Sinceの方が、Becauseより若干フォーマルな印象ですので、契約書に入れても許容範囲かもしれません。Becauseを使っても原因や理由を説明できますが、ビジネスシーン向きではありません。

Sinceの例:

It’s not surprising that our performance isn’t very good, since other companies aren’t doing well either.

We’ll talk about it another time, since we don’t have enough time right now.

I can’t go out with you, since I have to prepare paperwork before the meeting.

Becauseの例:

I would like to make my presentation persuasive because I want to do well in my job interview.

I asked him to leave early because he looked pale.

It’s worrisome because my grandmother lives alone far away from my house.

今回も思いつくままに書いています。作成した文例、特に契約書はとりあえず「知っておくと便利」という観点からのもので、実際にある事例とはかけ離れた内容もあります。内容を参考にされる場合は、辞書・専門書をご確認の上、ご自身の責任でお願いします。なを、かってながら無断転載はお断りします。

参考図書:
カレッジライトハウス英和辞典(研究社)
英和大辞典(研究社)

英文契約書の用語。単語「~の場合(は)」、「~のとき(は)」、「~に際して」、「~にあたって」などの表現(その1)と雑記帳

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上記のタイトルにある表現は、契約書の翻訳、契約書の日本語から英語の翻訳で体験することが多い、契約書にある基本的な構文「ある条件、状況(もしも)の場合、~する等」に必須な表現です。もちろん、契約書の英語から日本語の翻訳でも、これらの言葉が文脈に合わせて訳語として適宜使用されます。翻訳はやればやるほど奥が深いと感じる昨今ですが、今回も、当ブログの主旨である「とりあえず知っておくと便利」という趣旨に沿って、主に作成した訳文など(法律文を除く)通して簡単にみてみます。

契約書や法律文にある基本的な構文の中でも、もっとも使用される表現のひとつではないでしょうか。言葉の意味としては、例えば「~の場合(は)」は、国語辞典をみると「もし、ある事が起こったとき。そうなった折。「万一の—に備える」または「…に関して。…について言えば。」の意味になります。

では、これらには、ニュアンス的にどんな違いがあるのでしょうか?

文章を作って、その違いを見てみましょう。

What should you do if it rains? これは、仮定を表す最も一般的な表現です。

What should I do when it rains? 主に、起こると予定される状況を表します。

You should bring your umbrella in case it rains? もしも起きた場合の備えてのニュアンスがあります。

You should bring your umbrella in the case it rains? 上記の表現と同じですが、「the」がついているため、起きる可能性が大きくなります。

他には、in case of、in the case ofなどがあり、これらの場合は、その後には名詞が来ます。

In case of system failure, we must prepare how to process it beforehand.

In the case of misunderstanding, we need to discuss this matter.

以下、これらの言葉について契約書や法律文で使われる場合について作成した「if」を使った文例を通じて簡単にみてみます。

This Agreement is legally binding on you if you sign it.

Employees shall perform duties specified in this Agreement if requested by the Company.

If the Contactor has performed the Services under this Agreement, the Contactor shall immediately prepare a work report in the prescribed format each time and submit it to the Customer. (コントラクターは本解約に基づくサービスを実施した場合、その都度、速やかに所定の書式により作業報告書を作成し、カスタマーに提出する。)

If the Licensee fails the payment based on this Agreement, Licensee shall pay to the Licenser the delay damages at an annual interest rate of 15% from the day after the payment date until the payment is fully paid. (ライセンシーが本契約に基づく支払いを怠った場合、ライセンシーは、支払日の翌日から支払いが完了するまでの期間につき年利15%の割合による遅延損害金をライセンサーに支払う)

In advance of any meeting of shareholders, the Board of Directors may, if they so elect, appoint inspectors of election to act at such meeting or any adjournments thereof.

Either party may terminate this Agreement in case of force majeure. (不可抗力の場合、いずれの当事者も本契約を解除することができる。)

The period of the Service under this Agreement may shortened in a case of emergency.

In the event that either party fails any duty under this Agreement and if a breach of this Agreement is not cured even the other party demands to cure such breach within a reasonable period of time, the other party may terminate this Agreement.

なを、基本的には大体の場合、これらは「if」で代替できます。

should, when

Should any provision under this Agreement be deemed invalid or unenforceable by a competent court, the remainder shall continue in effect as if this Agreement did not contain such invalid or unenforceable portion or provision. (本契約のいずれかの条項が管轄裁判所によって無効または執行不能と判断された場合、残りの条項は、本契約に当該無効または執行不能な部分または条項が含まれていなかったものとして引き続き有効とするものとする。)

All notices provided by either party to other party shall be deemed to have been given when received. (いずれかの当事者が他方当事者に提供したすべての通知は、受領されたときに(時点で)通知されたものとみなされる)

作成した文例についてはとりあえず「知っておくと便利」という観点からのもので、実際にある事例とはかけ離れた内容もあります。

本ブログの内容を参考にされる場合は、辞書・専門書をご確認の上、ご自身の責任でお願いします。

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ところで「ポストエディット」が必要とされる理由の1として以下の理由があるようです。

AIは、瞬時に訳文を生成してくれますが、契約書や法律文については、AIが生成した翻訳文を読む人に相当程度の英文についての知識がないと、生成された翻訳文が正しいものであるか、どうかについて判定することは、現時点では難しいものがあります。例えば、一文が非常に長く、文章が複雑な場合など、AIは時として文章の重要部分を中抜きし、これを前後の文章のみを極めて巧みにつなぎ合わせ非常になめらか、かつこなれた文章として訳出することがあります。また時として不適格な訳語を使用したり、単語の統一性がなかったりするがあります。いずれも現時点で経験した事柄であり、このあたりがAIにより生成された訳文の人間による校正が現時点で求められている理由の1つのようです。

参考図書:S

カレッジライトハウス英和辞典(研究社)
英和大辞典(研究社)
ビジネス法律英語辞典 日経文庫
アメリカの法律と歴史 増補版 自由国民社

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英文契約書の単語と用語―雑記帳 債権、債務またはこれらに相当する語

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以前、「「履行」、「~を履行する」の表現について」というブログを掲載したことがあります。その中で、「履行」、「履行する」、「履行される」の対象となる様々な要素があります。その中でも「債権」と「債務」は、契約書において「履行」密接にかかわっている言葉です。

「債権」と「債務」とこれらにかかわる単語をいくつかあげてみました。

債権: a claim(claims); credit; receivables)
金銭債権:monetary claim)
貸付債権:loan claim)
不良債権:bad debt; a bad nonperforming loans; a bad credit
制限債権:claim subject to limitation
金銭債権:monetary claim
被担保債権:secured claim
債権者:creditor


債務:debt; liability; responsibility; *obligation
債務者:debtor;obligor
債務の責に帰すべき事由:case imputable to be accused of the obligor
債務の消滅:acquittance
債務整理:arrangement
債務超過:insolvency;liability exceeding assets
債務の引き受け:assumption of the obligation

* 「obligation」を辞書(英和辞典)で調べてみると「obligation」には債務や義務といった意味のほかに「債権」、「債権(債務)関係」、契約(agreement)(法律用語)という意味も記載されています(債務の意味しか記載されていない辞書もあります。)これはclaimやreceivableなどが債権者の権利のみを表すのに対して「obligation」には、債権(権利)と債務(義務)の両方が含まれているからです。言いかえれば「obligation」は、債権と債務を含むその法的関係全体=を表す言葉です。英文契約書では債権譲渡はassignment of an obligation、債権法はthe law of obligationsとされています。これについては英米法と大陸法(日本法)との違いという点もありますが、ここでは触れません)。英文「the law of obligations」を債権法をとするのも、債権法が債権・債務関係を規律する法律である点から「obligation」が使われるのもうなずけます。英文契約書に「obligation」がつかわれている場合、文脈的に判断する必要がありますが、基本的には文脈上、債務、負債、義務等とする場合がほとんどであると思われます。

ここで、「Credit」についての英語独特の概念を思い出してみたいと思います。
例えばAがBに商品を販売し、その代金を後払いにした場合、Aは、Bに対する売掛金(債権)を有し、BはAに対する買掛金の支払い義務(債務)を負います。
この売買代金は、A(債権者)の立場では、「my credit to B」、一方、B(債務者)の立場では、「my credit from A」と表されます。このようにcreditは双方向で用いられることがあります。そのほか以下のような表現もあります。

A(債権者):
Accounts receivable from B
I have a receivable from B
I have extended credit to B(Bに信用を与えた)
B owes me(口語)

B(債務者):

Accounts payable to A
I have credit from A(Aに信用を与えられている)
I owe A(口語)

詳しい説明は省きますが、会計用語としての「credit」は、文脈により「債権」、「債務」のいずれをも指します。英文契約書で使われている場合は、この言葉が記載されている文脈上、特に注意が求められます。

このブログは、個人的な覚え書きやその時の思いついた内容をそのまま記載しています。詳細については、専門書等を参照してください。説明も含め内容を参考にされる場合はご自身の責任でお願いします。

参考図書:
ランダムハウス英和大辞典(小学館)
新英和中辞典(研究社)
日本法令外国語訳データベースシステム

英文契約書の単語と用語―雑記帳  日本語と英語の読み方・発音に違い―人名と固有名詞の一例

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今回は、天体の運行を通して、人名と固有名詞についての日本語と英語の読み方の違いを見てみます。

天体の運行に関する分野(例えば星術)では、多くの偉人・賢人の名前が出てきます。

その中に、「Ptolemy=プトレマイオス」の名前があります。

「Ptolemy」とは、*ウィキペディア(Wikipedia)によると、「クラウディオス・プトレマイオス(古代ギリシャ語: Κλαύδιος Πτολεμαῖος, ラテン語: Claudius Ptolemæus, 83年頃 – 168年頃)は、数学・天文学・占星学・音楽学・光学・地理学・地図製作学など幅広い分野にわたる業績を残した古代ローマの学者。英称はトレミー(Ptolemy)。エジプトのアレクサンドリアで活躍した。」となっています。

バイリンガルの人は、発音から来た名称そのまま「タレミー」と訳してしまいますが、日本語では「プトレマイオス」となります。

日本語のプトレマイオスは、ラテン語の「Ptolemæus」を一字一字読む「プ・ト・レ・マイ・オス」から来ています。では、英語の場合は、Claudius Ptolemyの「Ptolemy」を古代ギリシャの読み方の「ˈtɒləmi」と発音します。

発音的には、Wikipediaには「トレミー」となっていますが、「タレミー」の方がより近いと思います。実際には、「ト」と「タ」の間ぐらいの発音です。

翻訳物に「タレミー」と書いても、日本人には「タレミー」ではなじみがなく、一体誰のことは分かりません。反対に、外国人に「プトレマイオス」と言っても分からないので、Spellingを表示する必要があります。

ドイツの哲学者Emmanuel Kant(エマヌエルカント)(1724‐1804)が、1781年の著書、純粋理性批判(Critique of Pure Reason)の中でCopernican Revolution(コペルニクス革命)-Copernican turn(コペルニクス的転回)と名付けた地動説の提唱者のCopernicus(コペルニクス)の場合は、どのように発音するのでしょうか?発音は、「コウペルニカス」となります。

名前の読み方について「プトレマイオス」を例にとり、日本語と英語での違いを見ましたが、天体の運行についての話題にもどります。

Copernican theory(コペルニクス理論)におけるコペルニクス的転回とは、物事の見方が180度変わってしまう事を比喩した言葉です。あるいは、既物事を根本的に転換させた視点で考察する際の表現で、コペルニクスは、アリストテレスが提唱した天動説(geocentric theory)を捨てて地動説(heliocentric theory)を唱えたことに喩えています。コペルニクスが提唱した宇宙は、「中心火宇宙」であり、これは、「中心火」すなわち太陽を中心にした宇宙を考えたわけです。ここで初めて地球は、平面でなく、球体と考えられるようになりました。以前の考えを真っ向から反対し、全くの反対となったことが革命であり、急転回と言われる所以です。

ちなみに、あくまでも私見ですが、天動説は「geocentric theory」ですが、「geocentric」は「地球を中心とした」の意味で、直訳的には「地球中心説」となるようです。反対に、地動説(heliocentric theory)の「heliocentric」は「太陽中心の」意味があり、直訳的には「太陽中心説」となるようです。つまり、以下のように日本語と英語では、中心となる言葉が反転しています。

英語では、地球中心説(地球が円の中心と言っているのに)    日本語では太陽が回っている。

英語では、太陽中心説(太陽が円の中心と言っているのに)    日本語では地球が回っている。

天動説を採用している以上、当時の天文学においては、地球以外の惑星の動きがどうしてもランダムウォークになってしまいました。天文図では、他の惑星は地球を中心にらせん状に回って天体運航を行っていました。そのため、英語の「planet」は、語源がギリシャ語の「planetes」(「さまよう者」や「放浪者」)を意味しており、惑星が恒星に比べて天球上をランダムに動くように見えることから付けられた名前です。

一定の位置に留まっている恒星と異なり、天球上でほぼ、惑星は他の星々の間を移動するように見えます。そのため、地球から天体を見ると、地球と同一方向に移動する「順行(prograde motion)」(西から東)、地球と反対方向に移動する「逆行(re-prograde motion)」(東から西)と言うような見た目の現象が起こります。さらに、順行と逆行が切り替わる瞬間に、惑星が一瞬止まったような「留」という現象が起きます。つまり、「順行」-「留」-「逆行」を繰り返します。そのため、見た目上は、らせん状の天体運航になります。らせん運動と言う矛盾を是正するために昔の天文図では、他の惑星は地球を中心にらせん状に回って天体運航をしているように書いてあります。

観察用の器具もない時代に、その時々の知性が未知の事柄を解明していこう懸命に取り組んだことにより後に続く色々な発見に続いてきたと思うと感慨深いです。

さて、本来なら契約書に関わる事柄を述べなければならないのですが、小さな私的展開(革命的な転回は到底できません)になってしまいました。悪しからず!

なを、以前「英文契約書翻訳時における固有名詞(人名、組織名、役職名等)について」として、契約書翻訳時・作成時(日英いずれの場合も)に気配りが必要な「組織名」と「役職名」を取り上げています。

参考図書:

*「クラウディオス・プトレマイオス」(2005年8月21日 (日) 21:19 UTC)ウィキペディア日本語版。URL: https://ja.wikipedia.org

英文契約書の単語・用語 - ちょっとBreak !  Gotta Gotta

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いつもは、英文契約書の単語・用語等についての記事ですが、今回は、たまたま耳にした1980年代の歌-Ricky Martinの最大のヒット曲であるLivin La Vida Loca(リヴィン・ラ・ヴィダ・ロカ-クレイジーな生活を送っている)(初めて聞いたのですが)-について、耳に残ったフレーズについて少し書いてみます。

「Gotta gotta」の意味とは?

この曲は、upside, inside out(さかさま、裏表反対の意)she’s livin’ la vida loca(メチャクチャな生活を送ってる!)という軽快な歌詞の後、曲の最後になってGotta gotta Livin La Vida Locaで終わります。この「Gotta gotta」は、日本人が聞くと、多くの場合、ガタガタとかガッラガッラと聞こえるようです。ところで、このGotta gottaとはどういう意味でしょうか?

「Gotta」は何の略?

少し文法的な説明になりますが、“gotta”は、省略表現「gotta」(have got to)の短縮形で、「〜しなければいけない」という意味です。これは、省略した表現であり、いわゆるスラングです。

また、これは洋画や洋楽で頻繁に使われる表現です。日常でも、「I gotta go.」(行かなくちゃ。)などと言うことがあります。そこで、この歌の歌詞に絡めて「gotta」を説明していきたいと思います。

「Gotta」の省略の仕組み

では、この「gotta」って何の略でしょう。答えは、「have got to(~しなければならない)」です。

英語を勉強しても、教科書には、このような使い方・略し方は教えてくれませんね。

日本語で考えてみても、話し言葉と教科書に載っている言葉・書き言葉は違っています。

~しなければなりません」は、「~しなくっちゃ」になるようなものです。

英語でもネイティブが使う言葉は教科書では教えていません。

「Gotta」の使用例

それでは、「gotta」についての例文をいくつか列記してみます。

  • So you gotta do what’s right. (とにかく正しいことすることだね。)
  • You’ve gotta have a little more passion. (もっと情熱を持たなきゃだめだよ。)
  • I don’t feel better. I gotta go to the hospital. (気分が良くないから、私は病院に行かなくちゃ。)

なぜ「gotta」になるのか?

日本語の場合で考えてみると、独立した一音一音で構成され、語と語をつなげて発音することができないため、「どうも、ありがとうございます」の場合、段々、端折られて「どうも、ありがとう」から「どうも」または「ありがとう」になりました。将来的には、「どっ」だけになってしまうのではないのでしょうか(あくまでも私見です)。実際、「どっも」なんていうのもあります。最後には、「ドッ」になるのでしょうか?(これも私見です-実際のところは専門書等を参照してください。)

ネイティブスピーカーは、「have got to(~ブ ゴット トゥ)」「got to(ゴット トゥ)」 と毎回話しているうちに、「どっも」のように「ゴッド トゥ → ゴッタ」「ゴッタ」と省略して語と語をつなげて発音していくようになりました。

「Gotta」を使う際の注意点

こうなってしまうと、「gotta」は非常にカジュアルで、友達や親しい人の間のくだけた表現であるため、フォーマルな場所では使わないようにしているようです。この表現を使う場合、使う場所や状況には気をつけた方がよいでしょう。

まとめ:「Gotta gotta Livin’ La Vida Loca」の意味

最後に、「Gotta gotta Livin La Vida Loca」は、クレイジーな生活を送らなきゃ、クレイジーな生活をお勧めするような意味になります。

今回は、冒頭に述べたように、息抜きもかねてちょっと気になったことを書いてみました。
今後共、弊社のブログ「英文契約書の単語と用語」をよろしくお願いします。

参考図書:

研究社新英和辞典(研究社)他

英文契約書の単語・用語 文頭の否定(まとめ他)

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契約書翻訳で良く目にすることがある、文章の冒頭におかれている否定形についてです、これは大分以前に(10年ほど前)何回かに分けて投稿した「英文契約書における文頭の否定」をまとめたものです。以前にも書いたことがありますが、英文契約書を見ると、定義条項が設定されており、重要な語句に一貫した意味を与えています。また定義条項に加え、さらに各条項に、文言が定義されている場合もあります。ただし中には慣れていないと「混乱」するような書き方の文章があります。その代表例の1つが文章の冒頭部分が否定文から始まるパターンです。目にすることが多い幾つかのパターンについて、契約書翻訳の視点から簡単な例文を作成してみました。

1. 「In no event shallIn no event will

In no event shall ABC Corporation be liable for any damages caused by or in relation to this Service. (いかなる場合も、ABC Corporationは、「サービス」に起因する、または関連する損害賠償に対して責任を負わない。)

「In no event shall」に導かれる長文では、熟読しないと、意味を取り違えるような書き方がされている文章もあります。

「In no event shall」に導かれる以下の例文を作成してみました。実務で目にする内容と比べると相当簡単なものです。

In no event shall」:

(A) ABC Corporation be liable for any damages caused by or in relation to this Agreement, (B) ABC Corporation’s liability in respect of any and all claims arising from or related to this Agreement exceed 1,000,000 Yen; and

(C) ABC Corporation’s liability for any claim extend beyond the period hereof.

文頭の文言「In no event shall」は、文章全体を否定するため、以下のように「肯定文」で書かれている文章 (A)、(B)、(C)の部分は、内容的に「否定文」になります。

(A)は、文面上では、責任を負う(be liable for):否定されているから→賠償責任を負わない。

(B)は、文面では、責任は百万円を超える(exceed 1,000,000 Yen):否定されているから→百万円を超えない。

(C)は、文面では、責任は、契約期間後も延長(extend beyond the period hereof):否定されているから→延長されない。

上記のような書き方をしなくても、自分で起草する場合、例えば、Aの文章の場合、

「ABC Corporation shall not be liable for any damages caused by or in relation to this Agreement.」 とすれば、わかりやすく、簡単です。(複数の項目を列挙するには、「In no event shall」:を使うのが便利かもしれません。)

2. 「Nothing~」

このタイプはかなり目にすることが多いフレーズです。

使い勝手が良いので和文英訳の際に良くお世話になっています。

・Nothing in this Agreement shall require ……….

(本契約のいかなる内容も、………を求めないものとする。)

・Nothing in this Agreement shall be construed as creating ……….

(本契約のいかなる内容も、………を生じると解釈されることはない。)

Nothing in this Agreement shall be construed to create any other relationship between the parties hereof.

3.「None of ~」

None of the parties hereto may assign or transfer any of its or their rights or obligations under this Agreement.(いずれの当事者も、本契約に基づく当事者、もしくは各当事者の権利と義務を、譲渡または移転することはできない。)

この例文もNone ofに導かれるその後の文章部分は、「~でない」の意味となります。この例文の中で「assign or transfer」は、これも良く使われるフレーズです。「譲渡または移転」としましたが、「assign or transfer」2語で「譲渡」とする場合もあります。また、「transfer」を「譲渡」とすることもあります。「assign or transfer」は契約譲渡制限に関する条項などに良く使われます。

上記の例文では、両当事者に対して契約譲渡制限が設けられていますが、一方のみが契約譲渡制限の対象となる場合もあります。

The Contractor shall not assign or transfer the whole or ay part of this Agreement without a prior written consent of the Customer. これも定番の文章です。

4. 「Neither」、「Neither~nor

Neither party has the authority to bind the other to any third party.(いずれの当事者も、第三者に対して相手方を拘束する権限を有しない。)

Neither the Licensor nor Licensee will be prevented from disclosing confidential information listed below; (ライセンスサーおよびライセンシーのいずれも、以下の機密情報を開示することを妨げられない)

5. 「No someone shall~」(いかなる(いずれの)当事者も~しない)」

No party shall be responsible for ~;No party shall be obliged to(いかなる(いずれの)当事者も~に責任を負わない)」

No party shall be obliged to provide further financial support to an excessive cost of the unexpected additional works by the contractor.

6. 「In no case ~; In no way ~ 」(いかなる場合も)…….決して~しない)

In no case may this agreement be transferred to any third party by the Contractor(いかなる場合も請負業者は、(決して)本契約を第三者に譲渡してはならない。)

いずれのケースもこれらの用語が文頭に置かれると、通常、その後に続く文章は、肯定文を記載します。ただし、文章全体としては、否定文になります。

日常的な例でもこのような表現は多く見られ、例えば掲示などの表現で、「No changes can be made to the tickets.」の様に表現することがありますが、「We can make no changes~」の様に、言い切ってしまうような感じでなく、No changes can be made~」の様に、「チケットの変更はできないことになっています」表現を使い、「決まりですので、ご了承の程、お願いします。」というニュアンスになります。

例文はその時の思いついた内容をそのまま記載しています。説明も含め内容を参考にされる場合はご自身の責任でお願いします。

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参考図書:
研究社新英和辞典(研究社)
ランダムハウス英和辞典(小学館)
カレッジライトハウス和英辞典(研究社)