契約書翻訳

英文契約書の一般条項(その4)「契約の譲渡制限に関する条項」について

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今回は、英文契約書の一般条項、いわゆる「General Terms」の「契約の譲渡に関する条項」について簡単に触れてみました。一般条項については、以前、英文契約書の一般条項(その1:定義条項、期間)、(その2:(最終性条項)、(その3:修正条項)としてとりあげたことがあります。例文は、法律文を除き、当方で作成したものです。

英文契約書の一般条項、いわゆる「General Terms」は、ご存じのように、その契約で使われる用語の定義、契約上の地位、債権・債務の譲渡について、契約解除、損害賠償額の予定と免責、契約期間、契約の更新、守秘義務、準拠法、裁判管轄、その他契約全体の事柄、不随的事柄を記載した内容です。なを、一般条項の項目を列挙していますが、一般条項にどのような項目を入れるか、または独立した条項とするかは、特に、政府機関や特定の企業、団体等の内部規定で指定されている場合を除き、起草者の判断です。

1. 譲渡に対応する単語

英文契約書や法律文書で「譲渡」に対応する単語は、「transfer」、「assignment」、「alienation」、「conveyance(主に不動産)」、「negotiation(手形)」、「譲渡する」に対応する単語は、「assign」、「transfer」、「alienate」、「hand(make )over)」などがありますが、最も目にするのが、「assignment」、「assign」、「transfer」です。

ここで取り上げるのは、「契約の譲渡制限」につての例文です。相手方の同意なしの単に譲渡を制限するものから、契約を他者に譲渡した場合でも譲渡人は免責されない等を規定します(この部分は例文では省略)。

Supplier must not assign this Agreement in whole or in part without Purchaser’s prior written consent. (サプライヤーは、買主の事前の書面による承諾なしに、本契約のすべてまたは一部を譲渡することはできない。)

Supplier must not transfer the whole or in part of this Agreement to any third party without Purchaser’s prior written consent.(サプライヤーは、買主の事前の書面による同意なしに、本契約の全部または一部を第三者に譲渡してはならない)

  1. 譲渡の意味

「譲渡」の意味を調べてみると「権利、財産、法律上の地位等を他人に移転すること」とあります。「移転」に意味を調べると「移転=移動:人または物の位置などを変えること。法律で、権利の主体が一方から他方へ移ること。また、移すこと」とあります。和英辞典で「譲渡」を見ると最初に出てくるのが「transfer」、その次に、「assignment」等がありますが、「移転」を見ると「transfer:権利などの譲渡」とあります。

  1. 英文契約書に求められる、明確性と網羅性

以下の例文のように英文契約書の構文でassign or transferまたはassign and/or transferと表記されることがよくあります。このほかの言葉にも多く見られますが、同じ意味の文言をべつの単語で繰り返す理由の1つとしては、異なる地域と文化の間で締結される英文契約書に求められる、明確性と網羅性からです。

None of the parties under this Agreement may assign or transfer any of its or their rights or obligations under this Agreement. (いずれの当事者も、本契約に基づく当事者、もしくは各当事者の権利と責任を譲渡または移転することはできない。)

ここでは、assign or transfer、assign or transferを成句としてまとめて「譲渡」とだけ訳す場合もあります。

Neither Parties may assign or transfer whole or part of its or his rights or obligations under this Agreement, without the prior consent in writing of the other Party. (両当事者は、相手方の事前の書面による同意なしに、本契約に基づく、各々の権利もしくは義務のすべてもしくは一部を譲渡または移転することができない。)

The Contractor shall provide to the Client with all documents, information, and assistance requested for the assignment or conveyance to Client of all right, title, and interest in the services under this Agreement.(請負業者は、本契約に基づくサービスのすべての権利、権原、および利益をクライアントに移転または譲渡するために求められるすべての文書、情報、および支援をクライアントに提供するものとします。)

ちなみに、法令用語日英標準対訳辞書では、譲渡の意味では、原則的にtransfer、財産権一般の譲渡をassignmentとしています。その他、不動産譲渡:conveyance、遺言による財産譲渡:disposition、証券の譲渡:negotiationとされていますが、実際に目にする英文契約書では、個人的な経験として、英文契約書では「譲渡」、「移転」の意味では、これを1つの単語で表す場合「transfer」よりも「assignment」、「assign」のほうが多く使われている感があります。なを、証券の譲渡と不動産譲渡あたりは、それぞれnegotiationとconveyanceが使われているようです。

一般条項を最初にとりあげたのは、2015年7月から同年9月と大分時間が空いてしまいましたが、一般条項については不定期ですが、順次取り上げてゆきたいと思います。社会の変遷に連動して契約書の内容もそれに合わせて変化している部分もありますが、一般条項は、一般に定型的な内容が多く、覚えておくと便利です。

参考図書:

法律用語辞典(有斐閣)
デジタル大辞泉(小学館)
研究社新英和辞典(研究社)
ランダムハウス英和大辞典(小学館)
カレッジライトハウス和英辞典(研究社)
法律英単語ハンドブック(自由国民社)

契約書翻訳

英文契約書の単語・用語 「履行」、「~を履行する」の表現について(その2)

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前回の「英文契約書の単語・用語 「履行」、「~を履行する」の表現について」の続きです。改めて、「履行」、「~を履行する」に意味を辞書で確認してみると、「決めたこと、言ったことなどを実際に行うこと」と一般的に使われる意味のほかに、「債務者が債務の内容である給付を実現すること。履行は債権の効力の面から、弁済は債権の消滅の面からとらえていう語」とあります。契約書や法律文書では、いずれの意味としても使われます。

前回は、「履行」、「~を履行する」を表す言葉として「performance」、「perform」、「fulfillment」、「fulfill」、「carry out」、「execution」、「execute」、「implementation」、「implement」をとりあげました。

辞書で「履行」という言葉を調べると上記以外にも、「履行」という言葉に対応する様々な英単語が出てきますが、調べてみると、それらの言葉が実際に「履行」を意味する言葉として使われるケースはほとんど見かけません。

ただし、経験的なものも含めて、いつくかの言葉は、前後の文脈からその言葉が「履行」とするのが適切であると判断した場合に「履行」、「~を履行する」とする場合もあるようです。例えば、以下のような言葉があります。

accomplish: 成し遂げる、遂行する、成就する、達成する

complete: 完了する、終える、仕上げる

satisfy:(義務などを)果たす

これらは、実際には、「履行」または「履行する」以外の言葉として使用または訳出する場合がほとんどですが、まれに文脈的に「履行」または「履行する」とすることもあります。そこで今回は、これらの言葉について「履行」、「~を履行する」以外の「普通の使われ方」と文脈上「履行」または「履行する」と解することができる場合を、これらの言葉の持つ本来の意味とともに調べてみました。いずれも作成した例文を通して見てみます。

1.  Accomplish(accomplishment 名詞形)

Accomplish(accomplishment 名詞形)の意味は、(使命・目標・計画・仕事等を)成し遂げる、完成(完遂)する、果たす、遂行する、成就する、達成する、遂げる、仕上げる等の意味があります。

a. 普通の使われ方:

I set the goal last year.  However, I couldn’t accomplish it yet even in July.(去年、目標を設定したんだが、まだ、七月になっても達成できていない。)

He has finally accomplished his long-cherished dream.(彼は、長年の夢を果たした)

All legal acts shall be performed in order to accomplish the purposes of this Agreement under the provisions of the applicable laws and regulations. (すべての法的行為は、適用される法律および規制の規定に基づいて、本契約の目的を達成するために行われる)

b. 文脈上「履行」または「履行する」と考えられる場合:

All legal acts shall be performed in order to accomplish the obligations of this Agreement under the provisions of the applicable laws and regulations. (すべての法的行為は、適用される法律および規制の規定に基づいて本契約の義務を履行するために行われる)

accomplishと同じように「成し遂げる・達成する」を表す言葉に「achieve」があります。「accomplish」は、仕事や業務の必要事項を達成する場合に使われます。I accomplished my responsibility in my duties.(自分の職務において、義務を果たすことができた。)「achieve」は、努力して、自分の目標や夢などを成し遂げた時に使われ、努力の結果により達成したというニュアンスが含まれています。For career advancement, I will achieve this goal.(キャリアアップのために、私は、この目標を達成します。)achieveの意味のひとつとして「履行する」をあげている辞書もありますが、例えば、He achieved his obligation(彼は彼の義務を果たした(履行した))となりますが、ただし、経験的に契約書の中で「履行する」の意味で使われることはないようです。

2.  Complete(completeness 名詞形)

Complete(completeness 名詞形): 完了する,終える,仕上げる、完成させる

completeは、完璧であり、完全に揃っていることを表現する言葉で、日本語でも、収集物がすべてそろっている場合、「コンプリートする」と表現することがあります。一方、perfectも完全であると言う意味がありますが、Completeとの違いは、コンプリートは必要ものがすべてあるという意味に使われるのに対し、perfectは、完全、無欠、完璧かつ優れているという意味で使われます。

a. 普通の使われ方:

The company shall use its best efforts to complete negotiations and execute the Contract as promptly as practicable.(会社は、交渉を完了し、できる限り速やかに契約を締結するための最善の努力を行う。)

Employees must satisfactorily complete all training provided under the clauses of this Agreement:(従業員は、「本契約」の条項に基づき提供されたすべてのトレーニングを修了しなければならない。)

The Company will endeavor to complete the 20xx Audit by October 31, 20xx.

会社は、20xx年10月31日までに、20xx年監査を完了するように努める。

We completed the bridge construction.(橋の建設が完了した)

We completed the bridge construction agreement.( 橋梁建設契約を締結した)

b. 文脈上「履行」または「履行する」と考えられる場合:

We completed the obligations set forth in the bridge construction contract.(橋梁建設契約に定められた義務を履行した)

We completed the bridge construction as contracted.(橋の建設を契約通りに履行した。(完了したでも可))

3. Satisfy(satisfaction名詞形)(義務などを)果たす

a. 普通の使われ方:

She satisfies all the requirements for the job.

彼女は仕事のすべての要件を満たしています。

He satisfies a creditor his obligation.(彼は債権者に彼の債務を果たす(履行する))

b. 文脈上「履行」または「履行する」と考えられる場合:

These obligations may be satisfied by directing the Company to withhold all or a portion of any Shares that would be issued to the Option.(本オプションに発行される株式のすべてもしくは一部を徴収するように会社に指示することにより、これらの義務の履行が可能となる。

The Company shall not be required to issue any Shares until such obligations are satisfied.(会社は、当該義務が履行されるまで、株式の発行を要求されることはない。)

今回とりあげた言葉は、「履行」、「履行する」というニュアンスで出てくることはあまりありませんが、まれに例文のように、文脈的に「履行」、「履行する」というニュアンスで使われる場合もあるようです。なを、今回取り上げた言葉に加え、これらの言葉と他の言葉が組み合わされた成句もあり、機会を改めてみてみたいとおもいます。

参考図書:

法律用語辞典(有斐閣)

デジタル大辞泉(小学館)

研究社新英和辞典(研究社)

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

契約書翻訳

英文契約書の単語・用語 「履行」、「~を履行する」の表現について(その1)

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今回は、「履行」、「~を履行する」の表現について契約書翻訳の関連から見てみます。

「履行」、「~を履行する」という表現(例えば、契約を履行する、義務を履行する、債務をする等)は、契約書に書かれる定番の文言です。「履行」の意味を国語辞典で見ると、「決めたこと、言ったことなどを実際に行うこと。実行」とあります。法律用語辞典を見ると、「一般用語では、広く「一定の義務を実行すること-中略-債務者が債務の内容を実現すること-中略-弁済と同義であるが、弁済は債務の消滅の面からとらえているのに対し、履行は債務の効力の面からみたもの」となっています。

日本語で「履行」という漢字2文字で表されるこの言葉の、英文の場合、文脈上「履行」、または「履行する」と解される単語や成句がいくつもあります。そこで、履行」、または「履行する」を意味する英単語や英単語の組み合わせを少し調べてみました。

和英辞典やいくつかの法律関連の書籍を見ると英語で「履行」や「履行する」を意味する主な言葉としては、「performance」、「perform」、「fulfillment」、「fulfill」、「carry out」、「execution」、「execute」、「implementation」、「implement」が多く見受けられました(これらの言葉以外にも、文脈上「履行」、または「履行する」と解される言葉がありました)。

例えば、「契約の履行」や「彼は契約を履行する」を調べてみると、the execution of a contract; fulfillment of a contract; the performance of the contract. He performs a contract; He fulfills a contract; He completes the contract; He implements a contract; He carries out a contractなどと、少し調べただけで様々な言葉が使われています。

ここでは、これらの中でも、英文契約書で文脈上「履行」や「履行する」の意味で、比較的多くみられる「performance」、「perform」、「fulfill」、「fulfillment」、「implementation」、「implement」についての使われ方を見てみます。なを、英単語の例にもれず、これらの単語は、「履行」や「履行する」以外にも多くの意味をもっています。

1. 「performance」、「perform」

見ての通り、performanceは名詞、performは動詞です。「履行(実行)」や「履行(実行)する」という意味では、一般的な表現で、和文英訳などの場合も、無難につかうことができるようです。作成した例文を通してみてみます(法律文を除く)。

In performing its obligations under this Agreement, the Contractor shall perform the duties specified in this Article .(本契約に基づく義務を履行するにあたり、請負業者は本条に規定された義務を履行する)

“Site Manager” shall be the person nominated by each party (and notified to the other party) and shall perform the duties specified in this Agreement.(「サイトマネージャー」は、各当事者によって指名された(および相手方に通知された)人物であり、本契約で指定された職務を遂行する)

If a person who has received a testamentary gift with burden does not perform the duty imposed thereby, an heir may demand performance of that duty fixing a reasonable period to do so.(負担付遺贈を受けた者がその負担した義務を履行しないときは、相続人は、これを行うために相当の期間を定めてその義務の履行の催告をすることができる。)(民法

If either of the parties fail to perform its respective obligations, such party shall take responsibility for that failure and compensate the other Party. (いずれかの当事者がそれぞれの義務を履行しなかった場合、当該当事者はその不履行に対して責任を負い、相手方に補償する)

「perform~」の場合 “Acceptance Tests” means the tests and procedures that shall be performed in accordance with the Equipment Specifications.

(「検収(受け入れ)試験」とは、機器の仕様に従い施される試験および手順を意味します。)

The performance by the Contractor of all its obligations under this Agreement shall be an essential requirement thereof. (本契約に基づくすべての義務の請負業者による履行は、本契約の必須要件)

2. fulfll、fulfilment

「履行」という意味で見ると辞書では(義務・職務などを)果たす,遂行する;fulfill one’s promises:約束を果たす(履行する)などと書かれています。

The Contractors shall be required to maintain the working capital and net worth to fulfill its responsibilities under this Agreement. (請負業者は、本契約に基づく責任を履行する(果たす)ために運転資金と純資産を維持することが求められる)

Licensor may not fulfill its duty for any loss or damages due to force majeure. (不可抗力による損失または損害については、ライセンサーはその義務を果たさない場合があります。)

Any non-fulfillment of duties under this Agreement may become the ground of the termination of this Agreement. (本契約に基づく義務の不履行は、本契約の解除事由となることがある)

上記1.「performance」、「perform」で触れたように「履行」の意味で使われていても、一律に「履行」とはせず、文脈的に適切な言葉を置きかえることも多くあります。

The Company shall reserve sufficient production capacity and maintain sufficient inventories to promptly fulfill the requests by the customers(お客様の要望に迅速に対応できるよう、十分な生産能力を確保し、十分な在庫を確保)

The Company shall reserve sufficient production capacity and maintain sufficient inventories to promptly fulfill the orders placed by the customers

(お客様からのご注文を迅速に処理するために、十分な生産能力を確保し、十分な在庫を確保)

  1. implement、implementation

上記と同様に「履行」という意味で見ると辞書では(契約・計画)を履行する,実行する,実施する、(要求・条件・不足などを)満たす等が書かれています。

With regard to implementation of this Agreement, the Company shall not violate any laws and regulations to implement this Agreement.(本契約の履行に関して、会社は、本契約を履行するための法令に違反しない。)

The Contactor make every effort to maintain and implement the safety procedures of the network security.(請負業者は、ネットワークセキュリティの安全手続きを維持じ、履行(実施)するためにあらゆる努力を行う)

参考図書:

法律用語辞典(有斐閣)

デジタル大辞泉(小学館)

研究社新英和辞典(研究社)

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

契約書翻訳

英文契約書の単語、用語 fileについて

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今回は、fileをとりあげてみました。「file」という単語からまず思い浮かべるのは、書類を整理したり、綴じたりした「ファイル」やまとめた書類の束やワードとエクセルのファイルのこととして、日常的には日本語として使われています。あるいは、「file」の動詞として使い方の中の1つで、「やすりをかける、削る」などがあります。このほか「file」の意味については、英単語の例にもれず様々な意味があります。その中でも今回も主に契約書や法律文書で主に使われる意味を中心に、契約書翻訳の視点からとりあげてみます。

契約書や法律文書に多く使われる「file」の用法の1つは、動詞としての「提出する」、「申請する」、「出願する」の意味です。その意味では、「file」は、契約書や法律文書等の必須単語の1つです(日常的な言葉としても使われます)。

  1. 「提出する」、「申請する」、「出願する」を意味する「file」の使い方の例

He files an application for approval for the blue return. (彼は青色申告の承認を申請します)

The party concerned shall be responsible to file all Tax Returns that it was required to file. (関係者は、提出が要求されたすべての納税申告書を提出する責任を負うものとします。)

The Company shall prepare and timely file, or cause to be prepared and timely filed, all tax returns, reports or other filings of the Company due before the closing day.(当社は、決算日までに期日が到来する当社のすべての納税申告書、報告書、その他の申告書を作成し、適時に提出するか、または作成して適時に提出させるものとします。)

When a shareholder who has given notice of non-possession of share certificates applies for the issuance of share certificates, the shareholder shall file an application in the form designated by the Company. (株券不所持の申出をした株主が株券の発行を請求するときは、当社所定の請求書を提出するものとする。)

A person who makes an application for the registration of transfer of title to shares shall file the application in the form designated by the us together with the share certificates.(株式の名義書換を請求する者は、当社所定の請求書に株券を添えて提出する。)

An inventor plans to file a new patent application for a new business model of renewable energy. (発明者は、再生可能エネルギーの新しいビジネスモデルについて新しい特許出願を行うことを計画しています。)

  1. 「提起する」、「申し立てる」

The parties of this Agreement shall agree that filling of suit arising out of or related to this Agreement shall be submitted to the Tokyo District Court as the agreed exclusive competent court for the first trial. (本契約の両当事者は、本契約に起因する、または関連する紛争につき訴訟を提起するときは、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とすることに合意する。)

The both parties hereto agree that Lawsuit may be filed based on the legal grounds.(両当事者は、法的根拠に基づいて訴訟が提起される可能性があることに同意します/両当事者は、法的根拠に基づいて提訴される可能性があることに同意します。)

If either party files a petition in bankruptcy, civil rehabilitation proceedings or corporate reorganization proceedings, etc., or if a petition in bankruptcy, civil rehabilitation proceedings or corporate reorganization proceedings, etc. is filed against it.(いずれかの当事者が破産、民事再生、会社更生等の申し立てをし、又は受けたとき)

If the bankruptcy, civil rehabilitation, corporate reorganization, corporate rehabilitation, etc. is filed against or by the party itself.(破産、民事再生、会社整理、会社更生等の申立てを受け、もしくは自ら申し立てた場合)

「file」について、英文契約書多く目するに使われ方のいくつかついてつれづれに書いてみました。実際には、さらに多くの使われ方があり、構文的にも複雑な内容に出会います。

例文に訳文が付いている場合、それらの訳文は暫定訳です。
本ブログの内容を参考にされる場合は、辞書・専門書をご確認の上、ご自身の責任でお願いします。

弊社では、豊富な経験と知識に基づき原文に忠実かつ適格な翻訳を適正価格でお届けします。英日翻訳、日英翻訳のいずれにも対応しております。

参考図書:

研究社新英和辞典(研究社)

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

契約書翻訳

英文契約書の単語、用語 false、fault、failureについて

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今回、false、fault、failure等をとりあげてみました。意味については、主に契約書法律文書で主に使われる意味をとりあげています。

  1. false: 主に「虚偽の」、「偽りの」等の意味で形容詞として使われます。成句としては、false accusation(誣告罪、濡れ衣)、false charge(冤罪、false description;false indication(虚偽表示)、false matter(不実の事項)、false personation(氏名詐称)、false statement(虚偽表示、虚偽陳述)、false testimony(偽証)などがあります。

Franchisee shall not make any false or misleading representations with respect to products or services to be sold to the customers. (フランチャイジーは、顧客に販売される製品もしくはサービスに関して、虚偽または誤解を招く表現を行わない)

The Supplier shall not provide inaccurate, misleading or false information to the Buyer. (サプライヤーは、買主にて不正確な、誤解を与えるまたは虚偽の情報を提供しない)

  1. fault: 「短所」、「落ち度」、「過失」、「義務の不履行」、「瑕疵」、「欠陥」、「故障」等の意味で使われます。

成句としては、fault in common(過失相殺)、fault in explanation(説明の誤り)、fault in calculation(計算の誤り)などがあります(ほんの一部です)。この言葉は、障害、故障、 漏電等の意味で技術文書でも良く使われているのを見かけます。例:The preventive maintenance described in this manual is useful for avoiding faults such as disconnection, short circuit, and poor contact.(本マニュアルに記載の予防保守は、断線、回路のショート、接触不良などの障害を回避するための有用です。)

“Critical Fault” means a fault specified as a ” Critical Fault” in this Agreement or any other Non-Compliance with laws and regulations.(「重大な過失」とは、本契約で「重大な過失」として指定された過失、または法律および規制に対するその他の重大な違反を意味します。)

Any claim for breach of contract, any fault or negligence or otherwise whatsoever arising out of or in connection with this engagement shall be brought to the Audit Commission.(契約違反、過失または怠慢、あるいは、それ以外の場合、この契約に起因または関連して発生したものすべては、監査委員会に提起されるものとします。)なお、「fault or negligence」をまとめて「過失」とする場合のあります。

The information shall not be categorized as the Confidential Information if it was in the public domain at the time of its disclosure or later became part of the public domain through no fault of the Receiving Party.(その情報が開示の時点で公有であった場合、または後で受領者の過失によらず公有の一部となった場合、その情報は機密情報として分類されないものとします。)

  1. failure: 契約書、法律文では、主に「不履行」、「破産」、「倒産」、「支払い不能」等の意味で使われます。日常語では「失敗」とされる場合が良く見られ、技術文書では、「故障」、「不具合」、「機能不全」等の意味で使われます(例:failure of engine (エンジンの故障))例えば、製品等の売買に関する契約などでは、技術的な意味で「failure」が使われること多く見受けられます。ネガティブな意味を持つこと言葉ですが、使い勝手の良い言葉です。

なを、文脈的に「fault」と置き換えることもできる場合があります。The preventive maintenance described in this manual is useful for avoiding any failure such as disconnection, short circuit, and poor contact. (本マニュアルに記載の予防保守は、断線、回路のショート、接触不良などの障害を回避するための有用です。)

If the failure is not corrected within fourteen (14) days after a written notice specifying the nature of the failure is given to other party who has failed to fulfill its obligations under this Agreement, (本契約に基づく義務を履行しなかった相手方に不履行の性質を明記した書面による通知が行われてから14日以内に不履行が是正されない場合、)

The Buyer shall be deemed to have accepted the Products upon shipment, unless Buyer immediately notifies the Seller in writing that Buyer rejects a particular unit of the Products for failure to conform to the specifications. (買主は、仕様書に準拠していないために製品の特定のユニットの受け入れを拒否することを購入者が書面で直ちに販売者に通知する場合を除き、出荷時に製品を受け入れたと見なされる)

Systemic Failure” means, in relation to the Equipment, a significant material defect (meaning a defect that prevents the Equipment from being used) (「システムの不具合」とは、装置に関連する重大な具体的瑕疵(装置の使用を阻害する瑕疵の意味)を意味する)。

なを、以前からこのブログの目的は、1つの単語に様々に意味を持つ傾向がある英単語が契約書・法律文書で使われる場合、特有の意味を持つことがあります。このブログではその単語が英文契約書で使われる場合のその単語の意味と使われ方を手っ取り早く理解し、英文契約書を読んだり、書いたり、和訳したり、英訳するための一助になればとの考えからつれづれに書いています。そのため法律的な意味や解釈については、専門書を参照してください。

余談ですが、2020年4月1日から民法の改正におり、請負契約で「瑕疵(かし)」と呼んでいた法律用語が廃止され、売買契約で規定した「契約不適合」という言葉に置き換わっています。そのためか、最近、日本語から英語への翻訳でも、契約により「契約不適合」という言葉を見かけるようになりました。ところで「fault」と並んでも文脈上「瑕疵」を意味する単語は「defect」です。個人的には、「defect」方が使い勝手(特に和文英訳)の良さを感じます。

 

参考図書:

研究社新英和辞典(研究社)

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

カレッジライトハウス和英辞典(研究社)

契約書翻訳

英文契約書における「義務」と「責任」の主な表現 (その2)

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前回の英文契約書における「義務」と「責任」についての主な表現についての続きです。今回は、「義務」についての主な表現です。このブログを書いていて思い出したのですが、以前、「英文契約書の時制と権利・義務を規定するスタイルについて」というブログを書いたことがあり、その中で、「権利・義務を定める文章の例」をとりあげていました。内容的には、英文契約書の時制との関連で、権利・義務を定める文章について簡単にとりあげたものです。

今回は、そのあたりも参考して「義務」についての主な表現を契約書翻訳の視点からみてみたいと思います。

前回も触れましたが、改めて「義務」の意味を確認してみます。

*「義務」とは:規範によって課せられる拘束または負担のこと‐中略‐法律上の概念としては、債券に対する債務というように、権利に対応するものとしてとらえられ、また、義務違反に対しては、強制が加えられる。義務には、作為義務と不作為義務がある。

*(法律用語辞典(有斐閣))

  1. 義務を定める表現のいくつか(「義務を負う」、「義務を負担する」、「義務を課する」等

今回は、前回に続き主に名詞(duty、burden、obligation)を使用した表現を中心に見てゆきます(一部、動詞、形容詞あり)。前回とりあげた権利を定める表現と同様にここでとりあげる以外にも多くの表現があります。

He fulfills his obligation.

He assumes an obligation to participate in meetings of the board of directors every month.

You must not neglect your duty.

*Parents have a duty [an obligation] to bring up their children.

*You have an obligation to pay our taxes.

He is imposed to an extra duty that is not originally assigned to him.

* (研究社和英中辞典から)

  1. 英文契約書に見られる義務を定める表現のいくつか

簡単な例文を作ってみました。ここでとりあげる以外にも多くの表現があります。考えてみたら、とにかく様々な表現があります。とりあえず今回は、以下の例としました。

If the Buyer finds a defect, it shall be obliged to report such defect immediately to Seller in writing. (買主が瑕疵を発見した場合、当該瑕疵を直ちに書面で売主に報告する義務がある。)

Obligations specified in the above paragraph must be appropriately executed by the parties.

(両当事者は、前項に規定する義務を適切に履行しなければならない。)

Employee shall have an obligation to immediately report an occurrence of loss or damage due to power failure to his/her supervisor. (従業員は、停電による損失または損傷の発生を直ちに上司に報告する義務がある。)

Duty of the performance of required services shall be in compliance with the Statement of Works. (必要なサービスの履行義務は、作業範囲記述書に準拠する)

Employee’s duties shall be described in position description attached to employment agreement。(従業員の職務は、雇用契約に添付の職位記述書に記載されているものとします。)

Licensor may not fulfill its duty for any loss or damages due to force majeure. (不可抗力による損失または損害については、ライセンサーはその義務を果たさない場合があります。)

または、Licensor have no liability to Distributor under this Agreement for any loss or damages due to force majeure. (不可抗力による損失または損害については、ライセンサーは責任を負わない。)と書くようなこともあります。

We have the burden to comply with the laws and regulations.(法令を順守する義務がある。)

この文章も、「burden」が、義務・責任の負担という意味があり、文脈的に「法令を順守する責任がある」とすることもあります。
前回の「英文契約書における義務の表現」もそうでしたが、テーマとして範囲が広く、今回のような簡単なブログ程度では収まりきれないようです。機会を改めて、整理し、duty、burden、obligationを使った表現以外の表現や慣用句なども収録したものを作ってみたいと思います。

参考図書:

法律用語辞典(有斐閣)

デジタル大辞泉(小学館)

研究社新英和辞典(研究社)

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

Japanese Law Translation

契約書翻訳

英文契約書における「義務」と「責任」の主な表現 (その1)

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「義務」と「責任」という言葉は、契約書の定番ですが、「義務」と「責任」を表現する文章には日本語にしろ、英語にしろ、いろいろな表現の種類があります。例えば、「責任を持つ」という表現でも、これを「責任を負う」、「責任を負担する」などと表現する場合も日常的にあります。今回は、このあたりの「義務」と「責任」についての主な表現について、英文契約書での使われ方を、作成した例文を通して(法律文を除く)契約書翻訳の観点から見てみます。

まずは、「義務」と「責任」という言葉の意味について改めて辞書を見て確認してみたいと思います。

責任:多義的な言葉であるが、一般には、自己の行為の結果について、何らかの義務、不利益、制裁を負わされること-中略-単に義務の意味で用いられることもある。

義務:規範により課せられる拘束または負担のこと‐中略‐法律上の概念としては、債券に対する債務というように、権利に対応するものとしてとらえられ、また、義務違反に対しては、強制が加えられる。義務には、作為義務と不作為義務がある。

(法律用語辞典(有斐閣))

1. 「責任」と「義務」の意味を持つ英単語(名詞)

まずは、「責任」と「義務」の意味を持つ英単語の中から主なもの(名詞)だけを改めて辞書から拾い出してみます。なを、これらの単語は、英語の常として「責任」と「義務」の意味のほかにも文脈により様々な意味で使われます。

責任 : burden、charge、responsibility、liability、culpability

義務:duty、burden、obligation

ここに抜き出したのは、名詞ですが、動詞も含めると主なものでも、「責任」と「義務」にっいてさらに様々な単語があります。

今回は、主に名詞を使用した表現を中心に見てゆきます(一部、動詞、形容詞にあり)。

2.「責任を持つ」、「責任を負う」、「責任を負担する」の主な表現

Our company shall not assume the full legal and financial responsibility for the project. (当社は、プロジェクトの法的および財務的責任を一切負わない。)

Manufacture shall bear the full responsibility for the accuracy of the data. (メーカーは、データの正確性については、全責任を負う)

If either of the parties fail to perform its respective obligations, such party shall take responsibility for that failure and compensate the other Party. (いずれかの当事者がそれぞれの義務を履行しなかった場合、当該当事者はその不履行に対して責任を負い、相手方に補償する)

The Seller shall bear the responsibility for any breaches of confidentiality by its employees, agents, contractors and consultants. (売主は、その従業員、代理人、請負業者、およびコンサルタントによる機密保持の違反について責任を負う)

The receiving party have a responsibility to protect the confidential information of the customer learnt through the performance of the service. (受領当事者は、サービスの履行を通じて知徳した顧客の機密情報を保護する責任がある)

The Seller shall be responsible for communicating the resolution of failure of device sold by the Seller to the Customer. (売り手は、売り手が販売したデバイスの故障の解決策を顧客に伝える責任を負う)

The Supplier shall assume the responsibility to the Purchaser for quality assurance of parts and raw material delivered by the Supplier to the Purchaser. (サプライヤーは、サプライヤーが購入者に提供した部品および原材料の品質保証について、購入者に責任を負う)

A Stock Company is liable for damage caused to third parties by its Representative Directors or other representatives during the course of the performance of their duties. (株式会社は、代表取締役その他の代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。)(会社法

今回は、ここまでとします。次回は、「責任を持つ」、「責任を負う」、「責任を負担する」の動詞を使った主な表現と、例えば、「責任を負わせる」、「責任を回避する」、「責任を回避する」、「責任を負わない」その他、責任という言葉の成句(例:責任能力など)等について見てみます。余裕があれば、当初、「義務」と「責任」の主な表現について、1回でまとめるつもりでしたが、書き始めたら、表面をなぞる程度の内容でもそれなりに文章量が必要なようです。

例文に訳文が付いている場合、それらの訳文は暫定訳です。
本ブログの内容を参考にされる場合は、辞書・専門書をご確認の上、ご自身の責任でお願いします。

弊社では、豊富な経験と知識に基づき原文に忠実かつ適格な翻訳を適正価格でお届けします。英日翻訳、日英翻訳のいずれにも対応しております。

参考図書:

法律用語辞典(有斐閣)

デジタル大辞泉(小学館)

研究社新英和辞典(研究社)

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

Japanese Law Translation

契約書翻訳

英文契約書の関係代名詞(その4)

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「前回の英文契約書の関係代名詞」の続きです。今回は、関係代名詞の「who」と「that」についてです。あくまで経験値ですが、英文契約書の和訳、日本語の契約書の英訳のいずれも、それらに使用する関係代名詞で一番使われるのは、「that」と「who」です。契約書翻訳の視点から見てみます。

まずは、関係代名詞としての「that」と「who」について一応復習してみます。いつものように細かい文法的説明は省きます。

1.whoについて

今更な感じですが、「who」は、例えば、We employ a man. He is an able person.

We employ a man who is an able person.などとなります。「who」をあえて取り上げた理由は、契約書に限らず、定款やその他法律文書でも頻繁に見かけるためです。なを、主格、目的格、所有格などについては触れません。

ここでは、最近よく目にして、記憶にある「who」や「whose」などを含む文書の例文をいくつか作ってみました。

We have five (5) directors. The term of office of the directors are three (3) years.

We have five (5) directors whose term of office are three (3) years.

The term of office of the directors who are elected as the substitute or additional director shall be the same as that of the remaining period of the term of the precedent director or other director.(補欠または増員の取締役に選任された取締役の任期は、前任取締役その他の取締役の任期の残りの期間と同じとする。)

2.thatについて

とりあえず、関係代名詞「that」の成り立ちを簡単に復習してみます。

This is my brand-new smartphone.    I was telling you about it.

上記の2つの文を1つにまとめると、以下になります。

This is my brand-new smartphone about which I was telling you

またはThis is my brand-new smartphone which I was telling you about.

この文章に「that」を使いますが、関係代名詞「that」の前には前置詞を置かないという決まりがあるため、「This is my brand-new smartphone that I was telling you about.」となります。

次に、英文契約書で関係代名詞「that」を使う例を作成した簡単な例文を通して見てみます。

You shall not use the Product in a manner that violates the privacy rights of an individual.

(個人のプライバシーの権利を侵害する方法で製品を使用しないものとします。)

restrictions on the goods or services that the Franchisee may supply:

(フランチャイジーが提供できる商品またはサービスの制限)

Confidential Information has the meaning given to that term in this Agreement.

(機密情報は、本契約においてその用語に与えられた意味を有する。)

“Optionee” shall mean an individual or estate that holds an Option.

(選択権保有者とは、オプションを保有する個人もしくは財産継承者を意味する。)

The mechanisms that cause these kinds of situations are not fully understood.

(このような状況を引き起こすメカニズムは完全には理解されていない。)

The owner of a dog or a cat must, when the owner finds that there is a risk that the animal would breed freely …(犬または猫の飼い主は、飼い主が、動物が自由に繁殖するリスクがあると判断した場合、…)(動物の愛護及び管理に関する法律

英文契約書で関係代名詞「that」を使う例を簡単に見てみました。関係代名詞については、これからも折に触れてみてゆきます。

参考図書:

研究社新英和辞典(研究社)

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

カレッジライトハウス和英辞典(研究社)

日本法令外国語訳データベースシステム

英文契約書の単語・用語 entrust(entrustment)による委託と受託(「まかせる」と「引き受ける」)の表現 (まとめ)

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契約書翻訳法律文書の翻訳をおこなっていると良くお目にかかるのが「委託」と「受託」という言葉です。

このブログは、以前書いた英文契約書の単語・用語 entrust(entrustment)による委託と受託(「まかせる」と「引き受ける」)の表現(その1)と(その2)に加筆、修正しものです。

まず、特に「entrust」とentrustの名詞形「entrustment」を使用した「委託」と「受託」の表現を中心に契約書翻訳の観点から見てゆきます。「委託」と「受託」は、下にも書きましたが、普通の言葉で言えば、「まかせる」と「引き受ける」ということです。これらの単語の主な意味としては、「entrust: 任せる、委託する、委任する、預ける、信託する」。「entrustment: 委託」です。「委託」に対応する言葉は、「受託」です。「委託」という言葉が使われる「業務委託契約」などは、翻訳依頼が多い契約の1つです。契約書翻訳の観点から見てみます。例文はいずれも当方で作成したものです(法律の条文を除く)。

「委託」と「受託」の意味を改めて法律用語辞典でみると、

「委託:一般的に法律行為または事実行為を他人または他の機関に依頼すること……。」

「受託:一般的に委託、委嘱、あるいは請託を受けること……。」とあります。

難しく考えなくても国語辞典を見ると、「委託:ゆだね任せること、人に頼んで代わりにやってもらうこと」、「受託:頼まれて引き受けること。」とあります。

ここではそれぞれに使用される単語の知っておいて損はない具体的な用例の一部をとりあげます。

1. 「entrust」と「entrustment」他を使用した「委託」の表現

「委託」や「委託する」を表す単語は、「entrustment」と「entrust」の他にも、trust、 consignment、charge、commission、delegate等多くの単語がありますが、これらについては後述します。

ここでは「entrust」を中心に作成した例文を通していくつかの用例を見てみます(法律の条文を除く)。

なを、「entrust」を使った「委託する」の表現のパターンは、例えば「A person entrusts someone with something」、「A person entrusts something to someone」などです。

I entrust my business with him.(自分の仕事を彼に委託する)

I entrust him to my business .(自分の仕事を彼に委託する)

Party A shall entrust Party B with the sales of Party A’s products (hereinafter referred to as “Products”) for areas designated by Party A. (当事者Aは、当事者Aが指定した地域での当事者Aの製品(以下「製品」という)の販売を当事者Bに委託する)

Payment date and method are entrusted with the Board of directors. (支払日と支払方法は取締役会に委任されている)

Party A shall not entrust all or part of Party A’s business related to this Project to any third party without a prior written consent by Party B.(甲は、乙の事前の書面による承諾無しに、本プロジェクトに関連する甲の業務の全部若しくは一部を第三者に委託してはならない。)

A trust company may entrust a third party with part of its trust services as regards trust property that has been placed in trust with it only if all of the following requirements are fulfilled:(信託会社は、次に掲げるすべての要件を満たす場合に限り、その受託する信託財産について、信託業務の一部を第三者に委託することができる。)(信託業法)

A prefectural governor, etc. may delegate custody of dogs and cats to an organization established for the purpose of animal welfare. (都道府県知事等は、動物の愛護を目的とする団体その他の者に犬及びねこの引取りを委託することができる。)(動物の愛護及び管理に関する法律)

The Seller shall entrust the customs clearance of the Goods to the local agent. (売主は商品の通関手続きを現地代理店に委託する)。

Entrustment of Business and Property Management(業務及び財産の管理の委託)

Entrustment agreement(業務委託契約)

「entrust」の代わりに「trust」を使用することもできますが、一般的には「entrust」が使用されています。

2. 「entrust」と「entrustment」他を使用した「受託」の表現

「受託」を1語で表す単語は、trust、requisition、contract等があるようですが、「entrust」使った「受託する」の表現は、例えば「be entrusted with something」等となります。この場合「受託する」は「~を任せられる・~を委託される・委託を受ける=~受託する」と表現されます。trustを使う場合は、「be given something in trust」。

例えば、 A person who is entrusted with the services under paragraph (1) may not entrust the entrusted services to another person.(第一項の規定により業務の委託を受けた者は、当該委託に係る業務を再委託することができない。)(金融商品取引法)

entrusting or becoming entrusted with one of the acts listed in the preceding items, or undertaking a request to brokerage such entrustment.(前各号のいずれかに掲げる行為の委託をし、又はその受託をし、若しくはその委託の取次ぎを受託すること)(商品先物取引法)(http://www.japaneselawtranslation.go.jp/kwic/?re=01)

The sales agent shall be entrusted with sales of the Products based on this Agreement within the sales territory. (販売代理店は、販売地域内での本契約に基づく製品の販売を委託される)

The executive officer (who is) entrusted with the day‑to‑day management shall be appointed by annually meeting of the board of directors. (日常の管理を委託された執行役員は、毎年、取締役会により任命される)

The Customer shall entrust the Service provieded for in this Agreement to the Contractor and the Contractor shall undertake it. (顧客は、本契約の規定のサービスを請負業者に委託し、請負業者はこれを受託する)

3. 委託者・受託者他の表現

1) 委託者・受託者について

「委託」と「受託」についての表現のいくつかを見てきましたが(上記のほかにも様々な表現があります)、次は、「委託者=委託する何かを頼む人」と「受託者=委託を受ける人」です。いずれも「人」や「会社」や「業者」あるいは「団体」である場合があります。いずれも適宜、それらに合わせた表現が求められます。

まずは、「entrust」から派生して「委託者」を表す単語は、「entrustor」、「受託者」を表す単語は、「entrustee」です。「trust」から派生した「trustor=委託者」「trustee=受託者」も多く使われます。

In case of an application for the indication of trust property with regard to shares or for the cancellation thereof, the trustor or the trustee shall file the application in the form designated by the Company together with the share certificates.(株式に関する信託財産の表示又はその抹消を請求するときは、委託者又は受託者は、当社所定の請求書に株券を添えて提出するものとする。)

2)委託・受託に関する言葉には、上記のほかにも例えば「委託先」、「委託先業者」、「委託先会社」、「再委託先」、「再委託先会社」等、日常的に使われますが、辞書にはあまり見当たらないような言葉があります。その中のいくつかについて見てみます。

まずは、「委託先」について、「~先」については、以前「英文契約書の用語・単語 日本語の「~先」の表現について(その1)」https://www.ings-web.co.jp/archives/5120でとりあげたことがあります。「委託先」もいくつかの表現がありますが、例えば、「a party entrust with business」とか「an entrusted party」、「an entrusted person」,「a party receiving entrustment of business」または単にすでに述べた「trustee」など考えられます。再委託は、「re-entrustment」、「further entrustment」などがあります。「委託先業者」、「委託先会社」は、「委託先業者」は、例えばですが、「the contractor to whom the business is entrusted」などはどうでしょうか。「委託先」は「a party that is further entrusted with business/ a party further entrusted with business」なども考えられます。これら以外にも多くの様々な訳があります。

if the relevant person has further entrusted bank agency services (limited to cases in which an entrusting bank agent that is itself a bank has further entrusted a person with the services), and changed the trade name or name and the location of the main business office or office of the secondary bank agent to which the services have been further entrusted.(銀行代理業を再委託した場合(銀行である銀行代理業再委託者が再委託した場合に限る。)であつて、当該再委託を受けた銀行代理業再受託者の商号、名称又は氏名及び主たる営業所又は事務所の所在地を変更した場合)(銀行法)https://www.japaneselawtranslation.go.jp/en/kwic

3)「entrust」と「entrustment」他を使用する以外の言葉による委託者・受託者の表現

まず、「委託者」を表す単語には、settlor、consignor、assignor等があります。この中で、consignorは、主に「販売・運送等の委託」、settlorは、「信託」、に関連するものに多く使用されるようです。そのほか、委託者とされても、例えば、assignorは「財産・権利当の譲渡人・委託者」とされます。

なを、例えば、client: 依頼人、customer:顧客、依頼人等も、「何らかの物事を依頼する人」という意味がある場合、委託者とされることがあります。その意味では「委託者」という言葉は、広い意味で使用されるようです。例:調査会社の顧客(調査会社に調査を頼む人=依頼人)=委託者。

面倒なのは、日本語で「委託」とい言葉が使われている存在でも、その内容を見ると「受託者」であることがあります。例:委託先(委託を依頼する相手)=受託者(委託をうける側=委託を受けた者)。英訳に際しては注意が必要です。

This Agreement stipulates the conditions that the person is entrusted with the food service on behalf of the food service provided by the Contractor.(本契約は、請負業者が提供するフードサービスに代わってフードサービスを委託した者(フードサービスの委託先)が行う条件を規定しています。)

The competent minister may have officials of the Ministry enter the office, factory, workplace, or warehouse of an automobile manufacturer, etc. or an entrustee and inspect the books, documents, and other objects pursuant to the provisions of Cabinet Order to the extent necessary for the enforcement of this Act, …………(主務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、その職員に、自動車製造業者等又はその委託を受けた者の事務所、工場、事業場又は倉庫に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。)(使用済自動車の再資源化等に関する法律)

Entrustee shall, at all times during the Term and thereafter of this Agreement, keep all of such confidential information in confidence and trust. (受諾者は、本契約の期間中ならびにその後においても常に、当該機密情報のすべてを機密として保持し、かつ保管するものとする。)

If Party A entrusts the business process related to this Agreement to any third party, the provision under this Article shall be applicable to the entrusted party.(甲が、本契約にかかわる業務処理を第三者に委託する場合においても、その委託先に対し本条の定めが適用されるものとします。)

2.「entrust」を使用する以外の「委託」の表現と「委託」に準じた表現を持つ単語

これまで「entrust」と「entrustment」他を使用した「委託」と「受託」や「委託者」、「受託者」等の表現について簡単に見てきました。ここからは、「entrust」を使用する以外の「委託」、「受託」の表現」について見ていみます。

和英辞典を見ると「委託」を表す単語は、「entrust」以外にも幾つかあります。調べたところこれらに共通しているのは、例えば、「委託」と訳される場合、冒頭に書いたように「委託:ゆだね任せること」から「ゆだねる」の意味を持って使われるときに「委託」と訳され、時として「委任」と訳されるようです。いずれも多義語で様々な意味もっています。その中のいくつかを見てみます。

1) trust

trustは、様々に意味を持つ多義語ですが、その中でも「信頼(安心)してまかせること」という意味合いで「保管」、「管理」をはじめ、ときとして「委託」の意味合いで使われることがあります。

He trusts the money to the bank. (お金を銀行に預ける)

I can trust you to do this work. (あなたにこの仕事を任せられます)

ただし、このような場合、普通は「entrust」が多く使われます。

He entrusts the money to the bank.

I can entrust you to do this work by yourself

This development was accomplished under the trust from the Government.(本開発は、政府から委託を受けて実施されました)

2) consign、consignment

Consignmentは、主に商品や貨物にかかわる委託:委託(販売)、託送、委託貨物、積送品、送り荷、委託販売品等にかかわって使用されるようですが、広義の「委託」として使われることもあるようです。

The company consigns the product.(会社は、商品を委託販売する)

Product Consignment Sales Agreement.(商品委託販売契約)

A document shall be delivered prior to conclusion of consignment contracts.(受託契約の締結前に、書面を交付するものとする)

3) commission

Commissionは、委託の意味で使われる場合、主に職権、職務、権限の委託・委任の意味で使われます。以下は、「~に権限を委託する」の動詞の例文です。

We commission him to negotiate on the matter.(その問題について彼に交渉を委託した)

Local government commissions the design of citizen hall to a private company.(地方自治体は、市民会館の設計を民間企業に委託している)

Committee members shall be commissioned by the Chairperson.(委員メンバーは、委員長が委嘱する)

4) delegate

Delegateは、委託の意味で使われる場合、多くはdelegation of authority: 権限の委任(または移譲)の意味で使用されます。

The Prime Minister shall delegate his/her authority under this Act (excluding that specified by Cabinet Order) to the Commissioner of the Financial Services Agency.(内閣総理大臣は、この法律による権限(政令で定めるものを除く。)を金融庁長官に委任する。)(銀行法)

This delegation is still pending approval.(この委任はまだ承認待ちの状態です)

5) mandate

We will mandate as an auditor of our company to you.(あなたを当社の監査役に任命します)

The delegation of authority shall be governed by the provisions on mandate.(権限の委譲は、委任に関する規定に従うものとする)

6) request、ask

A public safety commission may ask a company or other corporation to handle all or part of the administrative processes related to abandonment penalties as prescribed in Article 51-4 (other than checking and confirmation processes, payment orders, demands, and measures to collect arrear.)(公安委員会は、第五十一条の四に規定する放置違反金に関する事務(確認事務、納付命令、督促及び滞納処分を除く)の全部又は一部を会社その他の法人に委託することができる)(道路交通法)この文章に関して言えば、ask自体には、「委託する」の意味合いはないのですが、to以下の「to handle」(処理する、取り扱う)を加えて「~することを求める」=「委託する」という表現になっています。

Requestも同様な使い方をします。

ところで、これらの単語の意味として「委任」、「委託」に他に「付託」とか「負託」と書かれていることがあります。あらためて国語辞典で意味を確認してみると、例えば、「委任=仕事などを、他人にまかせること。委託すること」、「負託=責任を持たせて、任せること」、「付託=物事の処置などを任せること」とあり、「任せる」という点では共通しています。

「以上、entrust(entrustment)による委託と受託の表現と「entrust」を使用する以外の「委託」の表現と「委託」に準じた表現を持つ単語についてざっと大まかにみてみました。

自分で英文を作成する場合、なれないうちは基本的に「entrust」、「entrustment」を使うのが無難なようです。ただし、その場合でも文脈の流れや、言葉の前後の意味を吟味する必要があります。

参考図書:

法律用語辞典(有斐閣)

デジタル大辞泉(小学館)

法律英単語(自由国民社)

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

カレッジライトハウス和英辞典(研究社)

日本法令外国語訳データベースシステム他

契約書翻訳

英文契約書における文頭の否定(まとめ)

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これまで何回か、「英文契約書における文頭の否定」というタイトルのブログを掲載してきました。今回は、それらの要点を契約書翻訳の視点から改めてまとめてみました。

1. 文頭の否定とは

以前にも触れましたが、英文契約書の中には普通の文書にはあまり見られない文頭に例えばNoやNonなど、否定を意味する接頭語が始まる言葉が多々見られます。例えば、「In no event shall~」に導かれるその後の文章部分は、[~でない]の意味になります。例:In no event shall someone be liable for ……………(いかなる場合も(人は)…………に関して責めを負わない。)

「In no event shall」のほかにも、文章の文頭に否定を意味する語句が置かれると、その後に続く文章は、通常肯定文もスタイルとなりますが、文章全体としては、否定文になります。

このスタイルは英文契約書に限らず、英文において一般的に見られることです。今回も契約書翻訳の観点から見てゆきます。

口語英語でも、「No xxx, No life」と言うように、XXXがないと生きていけないなどの表現もあります。絶対、何か欲しいとき、何かしてほしいときなどに使用します。

例えば、音楽好きなら、「No music, No life.」 お菓子が好きなら、「No cookies, No life.」、「No chocolates, No life.」などとなります。 英文契約書に目を移してみるとこの表現のスタイル(文章(または言葉)の先頭に否定を意味する語句を使う)は、契約上、例えば「あれをしてはいけない」、「これをしてはいけない」との意味で、契約の当事者、相手方、関係者に対してなんらかの規制をかける場合、良く使われます。

2. 文頭の否定と普通の否定文

NonやNoで始まるもの 通常の否定文にした場合
In no event shall ABC Corporation be liable for any damages caused by or in relation to this Service. In any events, ABC Corporation shall be liable for any damages caused by or in relation to this Service.
(いかなる場合も、ABC Corporationは、「サービス」に起因する、または関連する損害賠償に対して責任を負わない。)
Neither we nor you will be prevented from disclosing the confidential information; Both we and you will not be prevented from disclosing the confidential information;
(当社と貴社のいずれも、以下の機密情報の開示を妨げられない。)
No party shall be responsible for ~ Any party shall not be responsible for ~
(いかなる当事者も~に責任を負わない)
None of the parties may assign or transfer any of its or their rights or obligations under this Agreement. Any of both parties may not assign or transfer any of its or their rights or obligations under this Agreement.
(いずれの当事者も、本契約に基づく当事者、もしくは各当事者の権利と義務を、譲渡または移転することはできない。)

例えば、チケットの変更ができない場合「チケットの変更はできない「We can make no changes~」の様に、言い切ってしまうといささか相手に対して強い調子になり、これを「No changes can be made to the tickets.」とすると一見事務的ですが、「チケットの変更はできないことになっています」事実関係を述べているだけで、「決まりですので、ご了承の程、お願いします。」というニュアンスがあります

  1. 「Non」が付いた用語の例(ごく一部の例です)
例文 訳語 使用例 訳語
Non-affiliated 系列外の、非加入の nonaffiliated company

cf. affiliated company

Associated company

Subsidiary company

系列外の会社

関係会社/系列会社

関連会社

子会社

non-approved 非承認の、非認定の、未承認の Non-approved use of the Mark マークの認可適用外の使用
non-audit 監査外の non-audit services 監査外業務
Non-disclosure 非開示の Non-disclosure of Confidential Information 機密情報の非開示
Non-commercial 非商業的な only use the Software for your private, non-commercial use. 貴方個人の、非商業的な使用のみのために、本ソフトウェアを使用する
Non-confidential 非機密の It was in its possession on a non-confidential basis before receipt from the other 相手方から受領する前に、非機密として所有していたもの
Non-Conforming 不適格な、

準拠していない

Non-Conforming Products 不適格な製品/不良品
Non-disclosure 非開示の Mutual Non-Disclosure Agreement

Divulgation of the Non-Disclosure Agreement

相互非開示契約

 

非開示契約の漏洩

Non-life insurance 非生命保険/傷害保険/損害保険 Overview of the Non-Life Insurance Business in xxx Xxxにおける傷害保険業界の概説
Non-returnable 返却できない Products are non-returnable except as provided in this Section 9 本製品は、本第9条に規定される場合を除き、返却することができない。
Non-refundable 返金できない

この場合は金銭のみに関する言及

Except as otherwise provided in this Article, all fees are non-refundable. 本条においてその他特段の定めのある場合を除き、すべての料金は、返金できないものとする。
Non-refundable 返金できない

この場合は金銭のみに関する言及

Except as otherwise provided in this Article, all fees are non-refundable. 本条においてその他特段の定めのある場合を除き、すべての料金は、返金できないものとする。

この他にも、Nonbinding(拘束力のない) Noncommittal(言質を与えない)

Noncompliance((法律、規則などに)準拠しない)、不履行)

Nonconfidence(不信任)Nonconformance(従わないこと、順応(適合)しないこと)Nonconforming(従わない、順奉しない)、Non-Use-Obligations(不使用の義務)

このほかにも、多々あります。

4.その他「Non~以外の例」: 「Nothing~」、「None of ~」、「Neither~nor」、「Neither~nor」、「No someone shall~」、「In no case ~」

Nothing~
Nothing in this Agreement shall be construed as creating ……….(本契約のいかなる内容も、……….を生じると解釈されることはない。)

Nothing in this Agreement shall require ……….(本契約のいかなる内容も、……….を求めないものとする。)

「None of ~
None of the parties may assign or transfer any of its or their rights or obligations under this Agreement.(いずれの当事者も、本契約に基づく当事者、もしくは各当事者の権利と義務を、譲渡または移転することはできない。)
Neither~nor
Neither we nor you will be prevented from disclosing confidential information; (当社と貴社のいずれも、以下の機密情報の開示を妨げられない。)
No someone shall~
No party shall be responsible for ~(いかなる当事者も~に責任を負わない)
In no case ~
In no case may this agreement be transferred by the Company

(会社は、(決して)本契約を譲渡してはならない。)

文頭の否定に関していくつかの類型を見てきましたが、前回も書きましたが、自分で否定内容の文章を起草する場合、なれないうちは、文頭に否定の形式ではなく、いわゆる「普通の否定文」を使うのが良いかと思われます。

参考図書:

研究社新英和辞典(研究社)

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

カレッジライトハウス和英辞典(研究社)

Oxford Dictionary of English他