英文契約書の単語・用語 同義語の併記について(その2). recognize and acknowledge他

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契約書翻訳の観点から見た英文契約書でよく見受けられる同義語の併記について、前回、*「Norman Conquest(ノルマン征服)」の視点から見てみました。起源の異なる同義語が併記については、前回の「英文契約書の単語・用語 同義語の併記について(その1)Norman Conquest(ノルマン征服)による影響」に簡単な記載があります。今回も同じ視点から引き続き見てみます。

*「1066年にノルマン人が初めてイングランドを征服し、ウィリアムI世(征服王 )となったこと。 この後上流階級 の言葉はフランス語になり、多くのフランス語が英語に流入することになった。」

  1. recognize and acknowledgeについて

to recognize and acknowledge(「認める」)も「同義語の併記として英文契約書で使用された表現」で契約書に多々見られる言い回しです。

RecognizeとAcknowledgeの使い分けとニュアンスの違いを考えてみます。

「acknowledge」は、事実を「認める」ことを意味し、物事または何かの真実や存在を受け入れ、認め、または認識することであり、acknowledgeに続く文書を事実として自ら認めることを意味します。

同様に、「recognize」は、見聞した、または以経験したことを知覚し、何かが合法的、真実、または重要であることを受け入れることであり、recognizeに続く文章を事実として自ら認めることを意味します。

以下に例文を作成してみました。

You recognize and acknowledge that you only will be entitled to receive payments from xxx under this Agreement.「本契約において、貴社のみが、xxxからの支払いを受領する権利を付与されていることを、貴社は、承認し、また認める。」

You recognize and acknowledge that all payments made by Company A to you, any failure by Company A to make such payments and/or any disputes over such payments will be governed exclusively by this Agreement.「すべての支払いが、貴社に対しCompany Aにより行われる場合、Company Aによる支払いの不履行、また/あるいは、その支払いに対する紛争は、本契約により排他的に管理される。」

「acknowledge」の場合は、事実を自ら認めたという意味の文章になるのに対し、「recognize」は、起こったことが自分にとって良いか悪いかに関わらず事実を「事実として認め」、事実だと「理解・納得する」というニュアンスをもっています。

2.「認める」の英単語は、この他にもadmit, accept, confess, concedeなどがあります。

「admit」は、物事や真実を積極的に認めるというよりも、「不本意ながら認める」、「否定しない」ことを意味する動詞です。

admitは、concedeと同様に、自分にとって不利益なことや好ましくないことをしぶしぶ「認める」ことを表現する場合によく使われます。

She admitted that he she made a mistake. 彼女は間違ったことを認めた。

「accept」は、基本的には「受け入れる」ことを意味する動詞です。

They accepted his explanation. (彼らは彼の説明を信じた)、She accepted that she had no money.(彼女はお金がないことを認めた)のように、現在の現状が真実であると「認める」という表現で使うこともできます。

「confess」は、元々、自分が犯した犯罪や過ちを正式に「告白する」という意味の動詞ですが、罪や過ちを「認める」という意味で使うこともできます。

ちなみに、あまり見かけることはありませんが、契約書でも「acknowledge and confess that」という言い回しを使うことがあります。

「concede」は、多くの場合、しぶしぶ「認める」ことを意味する硬い表現で、不本意ながら何かが真実であることを認める意味になります。

その例として、

concede a race

勝負に負けて、[自分の敗北・相手の勝利]を認める

concede an election

選挙で自分の負け[自分の敗北・相手の勝利]を認める

上記の例の様に、しぶしぶ認める意味になります。まず、契約書では使いません。

例文は契約書翻訳の観点から当方にて作成したものですが、内容を参考にされる場合は、辞書・専門書をご確認の上、ご自身の責任でお願いします。

参考図書:

The New Oxford Dictionary of English (Oxford University Press)

Merriam-Webster (Webster)他

契約書翻訳 画像

英文契約書の単語・用語 同義語の併記について(その1)Norman Conquest(ノルマン征服)による影響

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契約書翻訳に携わっていると、英文契約書には、例えば、「any and all」とか「assign and transfer」とか、1文の中に同義語の併記が併記されることが良く見受けられます。時として契約書以外にもこの傾向がみられますが、これには、様々な理由があります。その中の1つとして、今回は、このあたりについて、英語の成り立ちの1つの側面から見てみたいと思います。

Norman Conquest(ノルマン征服)による影響

1066年にノルマン人が初めてイングランドを征服し、ウィリアムI世(征服王)となったことです-1066年、フランスのノルマンジーから来た、ノルマンジー公が、征服王、ウィリアム1世としてイギリスの王になって以来、上流階級の言葉はフランス語になり、多くのフランス語が英語に流入することになり、フランス語が上流階級の言葉として定着していきました。

元々、ゲルマン語を起源とする英語ですが、先進的文化の言葉として多くのフランス語(そのオリジンのラテン語等も共に)が、英語に流入したのです。フランス語が流入したことで、英語の単語はフランス語の単語より多くなってしまいました。英語と流入した言語(フランス語)がまじりあい、その結果として、同義語が多くなり、スペリングと発音の不一致が英語に多々見られるようになりました。

そのため、誰が見てもその意味が分かるように、起源の異なる同義語が併記されるようになりました。契約書では、特に、その傾向が多々見られます。契約書では、見ていなかった、意味が分からなかったなどと言えないように、金太郎飴のように、どこを切っても同じ意味の言葉が羅列されています。

なを、上記はノルマン征服による言語としての英語に対する影響の観点からです。一方、別の側面から見れば、英米法(英国法と米国法を英国法と英米法として一括して論ずることはできませんが)は、法の継受の点で歴史的にローマ法の影響を受けているため、英米法に関する文書には、ラテン語が使われることがある他、上記の理由でフランス語なども使われます。ノルマン征服はその後の英国の法制度に影響を及ぼし、それは現在にまで至っていま。ちなみにラテン語は,ノルマン人とともに到来し、12世紀ころまで法律用語として用いられ、フランス語は、13世紀末から15世紀末にかけて制定法に用いられています。なを、ラテン語は、1731年、フランス語は、1362年から制定法に関してそれぞれ英語に代えられたようです。このあたりは、興味があれば専門書等をご覧ください。個人的にはかなり面白味のある分野です。

今回は、その同義語の併記を英文契約書で使用された表現、作成した例文を通して見てみます。

1. all and every「すべての」「いっさいの」

同様な例で、any and allがあります。これも同様に、英文契約書では、「すべての」「いっさいの」という意味で使用されます。

A liquidator may perform any and all acts in order to perform his/her duties listed in the preceding paragraph. (清算人は、前項に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。)

Anyもallもすべてのあらゆるものを含むという意味で使用するのですが、おそらく、すべてを含むという点を念のため強調したいという思いから,同種の意味をもつ単語を同時に使うということなのだと思います。

anyの単体では、「どれでも…、だれでも…、無限の、いくらでも、いくつでも、すべての」という意味で、allの単体でも「全部の、全…、あらゆる、すべての、みな」となり、実際には、any and allで使用しても、any単独、all単独で使用しても、その意味は変わりません。

Each and everyもその例で、どちらか一方だけを使用しても、同じ意味を表します。

each and every employee needs to understand corporate ethics and to practice them. (従業員一人ひとりが企業倫理を理解し、それらを実践する必要があります。)

2. alter、amend、modify、 change:

これらの意味はいずれも「変更する」ですが、翻訳する場合、全部まとめて「変更する」と訳すのではなく、それなりに対応する訳文を抽出します。

例えば、You agree that we may alter, amend, modify or change in any other way these Terms and Conditions at any time at our sole discretion.(お客様は、当社が独自の裁量でいつでも本利用規約を変更、修正、改変、またはその他の方法で変えることができることに同意するものとします。)

3. assign、transfer「譲渡する」「移転する」

The parties hereto party shall not assign, transfer, charge or otherwise deal with all or any of its rights and/or obligations under this Agreement. (本契約の当事者は、本契約に基づく権利および/または義務のすべてまたは一部を譲渡、移転、請求、またはその他の方法で処理することはできない。)

4. costs and expenses「費用」

Purchaser shall pay all reasonable costs and expenses, including reasonable attorneys’ fees, incurred by the Purchaser in connection with entering into this Agreement. (購入者は、本契約の締結に関連して購入者が負担した、合理的な弁護士費用を含む、すべての合理的な費用および経費を支払うものとします。)

英文契約書に見られる同義語の併記の幾つかの例を作成した例文を通して見てみました。

英文契約書では、例示した言葉以外にも多くの同義語の併記をみることができます。今回は、ここまでとします。なを、例文は契約書翻訳の観点から当方にて作成したものですが、内容を参考にされる場合は、辞書・専門書をご確認の上、ご自身の責任でお願いします。

参考図書:

The New Oxford Dictionary of English (Oxford University Press)

Merriam-Webster (Webster)

イギリス法の基礎(文久書林)他

英文契約書の単語・用語  日本語の「被~」という表現についての追記

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契約書・法律文書に限らず、一般的な文章でも「被~」という表現が使われています。何気なく使っていますが、なじみがない言葉だと、「被~」という表現を目にしたとき、「はて、この意味は・・・?」と一瞬考えてしまう経験があります。「被」という言葉の意味を国語辞典で調べてみると、色々な意味があります。今回とりあげるのは、「被」の意味のなかでも、「他人から、行為や恩恵などを受ける」、「行為を表す漢語に付いて、他から…される、他からその行為をこうむる」の意味の部分です。例えば、「被害」をいう言葉があります。意味としては、「損害や危害をこうむること」、「受けた損害や危害」とあります。当然ですが、被害を受けた人は、「被害者」です。

日本語だと「他から…される、他からその行為をこうむる」人や対象を表す場合、単純に「被」に後に行為の対象となる事柄をくわえるだけですが(「被~」を使わない場合、使う必要がない場合も多くあります。なを、契約書・法律文書では「被~」の表現が多くみられます)。英語の場合はどうでしょうか。契約書翻訳の観点から見てみます。

1. 単純に「被~」と英訳できない

契約書翻訳も含めて「被~」を日本語から英語にする場合に「被+~」とするわけにはいきません。

英語は、日本語の様に、ひとつひとつの文字が意味を表す表意文字でないため、文字自体にidea(意図、考え方)がありません。そのため、日本語の「被」にあたる英単語を付けて、「~を受ける、~される、~こうむる」の意味を持たせることはできません。

英語では、日本語のさまざまな「被+~」の言葉のそれぞれ対応する英単語・句があります。例えば、動詞の場合、過去分詞のみ、過去分詞+人またはもの、あるいは、ある言葉の後ろに「ee」を付けて、「被…」とする場合もあります。

上記の例には、下記に表にあるように被保険者(insured、assured)、被害者(injured parson)、被許諾者(grantee、licensee)等があります。

以下に、「被+~」に対応する英単語の幾つかとそれらに対比する英単語を記載しました(以下に記載した単語以外のものも多くあります)。

 

被裏書人 indorsee、endorsee 裏書人 endorser
被開示者 discloser; receiving party; receiving person他 開示者 disclose; disclosing party; disclosing person他
被害者 Injured; injured parson;、sufferer;

victim他

加害者 party at fault;、wrongdoer; assaulter;  murderer 他
被許諾者 Grantee; licensee 許諾者 grantor
被後見 wardship 後見
被後見人 ward 後見人 guardian
被上訴人 respondent、appellee 上訴人 appellant
被相続人 *decedent 相続人 heir
被保険者 Insured,

Insured person、assured

保険者 insurer
被保証人 guarantee 保証人 guarantor
被用者 employee 雇用者 employer
被選択権者 optionor 選択権者 optionoee

 

*「被」が付いても、「被相続人」は、「相続人が相続によって承継する財産や権利義務のもとの所有者(「財産を残して亡くなった人」)」で、「相続人(heir)」は、「被相続人の財産上の地位を承継する人(被相続人の財産を相続する人)」The child of a decedent shall be an heir.「被相続人の子は、相続人となる。」(民法)

これらの他にも「被+~」に対応する英単語は、例えば、被害者:Injured; injured parson;

victim. 被害届: incident report. 被告: defendant. 被収容者:  inmat. 被担保債権:

claim secured.など様々のもがあります。

 

2. 「被~」の言葉の意味を把握した上で、適切な英単語やフレーズを作成する

上記のように、「被~」の言葉の多くは、辞書等に記載がありますが、そうでない場合も多く、また定訳がない場合もあります。その場合、その「被~」の言葉の意味を把握した上で、適切な英単語やフレーズを作成する必要があります。

以下に上記の例を使った例文を作成してみました。

The act or omission of one insured will not invalidate the policy as to the other insured.

(いずれかの被保険者の作為または不作為によって他の被保険者に対する証券の効力が失われない。)

A copy of the insured amounts and the receipt of payment shall be provided each year.

(保険総額と領収書のコピーは、毎年、提供されるものとする。)

Premiums are determined in accordance with an insured person’s salary.(保険料は、被保険者の給与に応じて決定されます。)

In the Agreement, it shall clarify where responsibility lies before deciding the final repair cost to be paid to the insured.(契約では、被保険者に支払う最終的な修理費用を決定する前に、責任がどこにあるかを明確にするものとします。)

 

3. 英文契約書でよく目にする「被~」の意味を持つ言葉

 

被+~」という表現ではありませんが、これに類するものとして。例えば、上記の「「被+~」に対応する英単語の幾つか」の例として「disclosee(被開示者)」、「discloser(開示者)」をあげています。下記に作成した例文にあるように、いずれも「情報のdisclose(開示する)、disclosure (開示・公開)に関連した用語です。「被+~」という表現ではありませんが、情報を開示する側-開示者、情報を受け取る側-受領者などとして、それぞれ「Disclosing Party」、「Receiving Party;Recipient」などが使用されています。

Receiving Party shall undertake not to use or disclose to the Disclosing Party’s Confidential Information without a written approval of the Disclosing Party and shall only use such Confidential Information for the purposes of this Agreement.(開示当事者は、受領当事者の書面による承認なしに受領当事者の機密情報を使用または開示しないことを約束し、本契約の目的のためにのみに当該機密情報を使用する)

Recipient shall maintain in confidence all information obtained in the course of business and shall not publish or otherwise disclose such information to third party provided, however, that…………….(受領者は、事業の過程で得られたすべての情報を秘密として保持し、当該情報を第三者に公表または開示してはならない。ただし、…………..)

こられの言葉は、「情報をdisclose:開示する」、「情報の、disclosure (開示・公開)」と関連して情報の機密保持に関係する記述等に頻繁に登場します。

例文は契約書翻訳の観点から当方にて作成したものですが、内容を参考にされる場合は、辞書・専門書をご確認の上、ご自身の責任でお願いします。

 

参考図書

大辞泉(小学館)

法律英単語(自由国民社)

ランダムハウス英和大辞典

ビジネス法律英語辞典(日経文庫)

日本法令英訳プロジェクト

英文契約書の単語・用語「従う」または「遵守する・順守する・守る」(その2)

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前回、英文契約書で「従う」または「遵守する・順守する・守る」という意味に対応する用語・単語のいくつかについて見てみました。前回の述べたことですが、ここで取り上げるのは、「決めたことや規則に従う」とい意味です。「遵守する・順守する」を除き、日常的には「従う」や「守る」は同じ意味にとして使用される場合ほとんどかもしれません。翻訳の場合は、どのような言葉を使うか文脈的に厳密に解釈する必要がある場合もあり、いずれにも解釈して問題がないか、いずれにも解釈できることもあります。

前回は、「従う」についての表現を中心にこれに対応する以下の用語・単語「obey:(命令・法律などに)従う、observe(命令・法律などに)従うfollow:「(忠告・命令・慣習などに)従う」

comply with:「(命令・規則・要求などに)従う」、abide by :「(法律・協定。規則などに)従う」、be in accordance with:(~に従う)、conform to:「(慣習・しきたりなど)従う」について見てみました。これらはいずれも、「従う」または「遵守する・順守する・守る」としてそのまま使えるものです。今回は、前回とりあげなかった用語・単語や文脈的に「従う」として訳せる言葉について作成した例文を通して少し触れてみます。

1.  前回、とりあげなかったいくつかの用語・単語の例

If you do not accept our instruction specified in the separate agreement, you may not renew the basic agreement. (別途規約に定める当社の指示に従わない場合には、基本契約を更新することはできない)  指示に従わない=「を受諾しない・に同意しない・を受け入れないなどでも可」。

The employees shall accept the workplace policies and procedures, instruction and supervising as well as the existing internally or externally code of conduct. (従業員は、職場の方針と手順、指示と監督、および既存の社内または社外の行動規範に従うものとする。)

「accept」は、主として受け取る、(申し出などを)受諾する・引き受ける、~に応じるなどとされる場合がありますが、英~日の翻訳では文脈的に「従う」とすることもあります。

If Party X fails to perform its obligations under this Agreement, Party Y may terminate this Agreement pursuant to the termination clause hereof. (当事者Xが本契約に基づく義務を履行できない場合、当事者Yは本契約の解除条項に従って本契約を解除できる)

The Contractor shall reimburse the expenses borne by the Customer to the Customer the pursuant to the provision under this Agreement. (契約者は、本契約の規定に従い、お客様が負担した費用をお客様に弁済する。)

「pursuant to」は、契約書や法律文の常套句です。良く知られているように「従う」の他に「~に応じて」、「~により」などとされる場合もあります。例えば、上記の例文も文脈的に「契約者は、本契約の規定により」とする場合もあります。

2.文脈的に「従う」として訳せる言葉の例:

「subject」を使った例

This Agreement is subject to all applicable federal, state and local laws.

本契約は、適用される連邦法、州法および地域法に従います。

「subject」のその他の用法については、

The prices of Products shall be reviewed periodically in accordance with prevailing market conditions and are subject to change or withdrawal without any prior notification at the sole discretion of manufacture.(製品の価格は、一般的な市場の状態に従って定期的に再検討を行い、事前の通告なしに、メーカーの単独の裁量により、変更撤回されることがある。

「subject」そのものは様々な意味に使われ、なじみのあるところでは、「主題・事柄・(書物や作品などの)標題」ですが、「be subject to」は文脈的に「~に従って」とされることがあります。ブログの内容とは外れますが、The specifications of this Product are subject to change without prior notice.(本製品の仕様は予告なく変更される場合があります。)これなどは日常的によくみかけます。

「submit」を使った例

The parties hereto shall submit any dispute arising from this Agreement to the exclusive jurisdiction of the Tokyo District Court of Japan.(本契約の当事者は、本契約に起因する紛争については日本の東京地方裁判所の専属管轄権に従う。)「submit」には「~に服従する」の意味もあり。文脈的に「~に従う」としてみました。「専属管轄権に服する」などとすることもあります。

例文は契約書翻訳の観点から当方にて作成したものですが、内容を参考にされる場合は、辞書・専門書をご確認の上、ご自身の責任でお願いします。

弊社では、豊富な経験と知識に基づき原文に忠実かつ適格な翻訳を適正価格でお届けします。英日翻訳、日英翻訳のいずれにも対応しております。

参考図書:

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

ビジネス法律英語辞典(日経文庫)

カレッジライトハウス英和辞典(研究社)

英文契約書の単語・用語「従う」または「遵守する・順守する・守る」(その1)

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契約書翻訳に際して、「従う」については。日本語としても様々な意味がありますが、その中で、ここで取り上げる「従う」の対応する意味は、「他からの働きに順応する。法律・慣習・意見などに逆らわないでそのとおりにする。服従する。例:法の定めるところに従う」「指示に従って行動する」「意向に従う」等になるかと思われます。

「遵守する・順守する」については、「法律や道徳・習慣を守り、従うこと」とあります。

また、「守る」についても様々な意味がありますが、ここで取り上げるのは、「決めたことや規則に従う」とい意味です。「遵守する・順守する」を除き、日常的には「従う」や「守る」は同じ意味にとして使用される場合ほとんどでしょう。

翻訳の場合は、どのような言葉を使うか文脈的に厳密に解釈する必要がある場合もあり、いずれにも解釈して問題がないか、いずれにも解釈できることもあります。

英語から日本語への翻訳でも、文脈に応じて、同じ単語を、適宜、これら意味に振り分けて訳出する場合が多くあります。同様に日本語から英語への翻訳場合も、文章の内容と意図に応じて、「従う」、「遵守する・順守する・守る」に対応する単語を、適宜使い分けます。

「従う」について

上記のような背景があり、また辞書を見ると「従う」という言葉には多くの対応した用語・単語がありますが、ここでは、とりあえず知っておくと良いいくつかの単語・用語を英文契約書翻訳の視点から見てみます。

すでに述べたように「従う」などは、日常的な用語です。

I follow his advice.  Most people follow customs in this local community.

技術マニュアルなどでもよく使われます。

Operator must follow the proper procedure to turn off the machine in order to prevent data corruption on the machine hard drive. (オペレーターは、装置のハードドライブのデータの破損を防ぐために、装置をOFFにする場合、適切な電源OFF手順に必ず従ってください。)

ここでとりあげる英文契約書で使われる「従う」を意味するいくつかの用語・単語として以下の用語・単語について見てみます。

obey:(命令・法律などに)従う

observe: (命令・法律などに)従うfollow:(忠告・命令・慣習などに)従う

comply with:(命令・規則・要求などに)従う

abide by :(法律・協定。規則などに)従う

be in accordance with:(~に従う)

conform to:(慣習・しきたりなど)従う

これらの単語の中には、どれを使用しても意味としては同じになるものもあります。また、「conform to(慣習・しきたりなど)従う」とありますが、実際には、以下のように使われる場合も多くみられます。

The finishing works shall conform to the specification

If the Minister for Internal Affairs and Communications finds the application to conform to the standards set forth in the items of the preceding paragraph as a result of examination pursuant to the same paragraph, the minister must approve the incorporation.(総務大臣は、前項の規定により審査した結果、その申請が同項各号に掲げる基準に適合していると認めるときは、設立の認可をしなければならない。)(株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構法

英文契約書で使われる例を作成した例文を通していくつか見てみます。

The employees shall obey and observe all rules and regulations reasonably established by the Company from time to time.(従業員は、会社が合理的に定めたすべての規則および規定を随時遵守しなければな)

The Licensee shall operate fully to comply with the liabilities arising from this Agreement. (ライセンシーは、本契約から生じる責任を遵守するためにその義務を完全に遂行する)

Each party hereto agrees to comply with its obligations under this Agreement. (本契約の各当事者は、本契約に基づく義務を遵守することに同意する)

The Contractor will abide by all laws applicable to its provision under this Agreement and is responsible for any fees or permits necessary therefore. (契約者は、本契約に基づく規定に適用されるすべての法律を遵守し、そのために必要な料金または許可について責任を負う)

The Licensor grants to the Licensee for the duration of this this License Agreement a non-exclusive license to use the Mark as a trade mark on or in relation to the Products in Sales Territory in accordance with the terms thereof. (ライセンサーは、本ライセンス契約の有効期間中、本契約の条件に従って販売地域内の製品または製品に関連してマークを商標として使用する非独占的ライセンスをライセンシーに付与する)

英文契約書で使われる例を作成した例文をいくつかあげてみましたが、今回は、主に「従う(遵守)する」について見てみました。ところで「従う・遵守する・順守する・守る」の表現にはこれら以外にも様々な用語・単語使用されます。用語によっては、入れ替えが可能なものもあります。これらも含めて「従う・遵守する・順守する・守る」については、引き続き次の機会にみてゆきます。例文は契約書翻訳の観点から当方にて作成したものですが、内容を参考にされる場合は、辞書・専門書をご確認の上、ご自身の責任でお願いします。

弊社では、豊富な経験と知識に基づき原文に忠実かつ適格な翻訳を適正価格でお届けします。英日翻訳、日英翻訳のいずれにも対応しております。

参考図書:

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

ビジネス法律英語辞典(日経文庫)

カレッジライトハウス英和辞典(研究社)

日本法令外国語訳データベースシステム

英文契約書の単語・用語、including, but not limited to、including without limitation等の短い説明

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契約書翻訳に携わっていると、英文契約書でお目にかかる定番のフレーズとして「including, but not limited to」、「including without limitation」があります。いずれも「~を含み、~に限定されない」という意味です。

例えば、ある事柄に対して、相手方に対して責任を負わない、もしくは責任を負わせる、または当事者双方が責任を負わない場合等の規定について、適用する事例を列挙する場合に使われます。相手方に対して責任を負わない、負わせる事柄を列挙するわけですが、列挙した以外の事象が発生した場合、例えばそれが列挙した事例に類似する事柄でも、時としてその規定が適用されないおそれもあります。なぜかというところに関する英米法の説明は、ここでは行いませんが、例えば、相手方に対して責任を負わない-自己に対する免責を例にとれば、その条項に免責適用事例が「include」されるだけでは、不十分で「but not limited to」を追加することで、適用事例を「include」しただけで、ある意味、制限的列挙を回避するといわれますが、「but not limited to」が入っていたとしても、実際には当該条項について紛争が生じることもあります。

いずれにしても、ここではとりあえず覚えておくと便利でという視点で、作成した例文を通して契約書翻訳の視点から簡単に見てゆきます。

1.  不可抗力条項で使用される例

「including, but not limited to」、「including without limitation」が使用される代表的な例と1つとして不可抗力条項があります。ここでは、以前、「不可抗力条項」を取り上げた際に作成した例文を振り返ってみてみます。

Force Majeure means any event caused by occurrences beyond a party’s reasonable control, including, but not limited to, acts of God, fire or flood, earthquake, war, terrorism, labor dispute, pandemic, system malfunction, governmental regulations, policies or actions enacted or taken subsequent to execution of this Agreement, or any labor, telecommunications or other utility shortage, outage or curtailment.

(不可抗力とは、天災、火災もしくは洪水、地震、戦争、テロ、労働争議、流行病、システムの機能不良、本契約の締結後に制定された、もしくは講じられた政府の規制、方針もしくは法的措置、または労働、通信もしくは他のガス電気水道等の公共事業の供給不足、供給停止もしくは供給の削減を含み、これらに限定されない、当事者の合理的な管理能力を超えて発生した事象を意味する。)

この例では、不可抗力事由を列挙しながら、「including, but not limited to,」の構文を列挙した事由の前に置いて、列挙した事由に限定されないことを明示的に示しています。

2. その他の例

The Confidential Information shall mean any information relating to the marketing plans and business plans or methods or any other confidential information furnished by the Disclosing Party to the Receiving Party including written materials and oral discussions relating to the foregoing, but not limited to marketing plans and technical information, know-how, documentation, systems specifications, application information, quantity control specifications, equipment specifications, database information, user data, test data, financial forecasts, business methods, customers or current or prospective activities of Disclosing Party.(「機密情報」とは、開示当事者が受領当事者に提供したマーケッティング計画および事業計画もしくはそれらの方法、またはその他の機密情報であり、上記に記載の文献資料もしくは口頭による協議を含むが、開示当事者のマーケティング計画および技術情報、ノウハウ、文書、システム仕様、アプリケーション情報、数量管理仕様、機器仕様、データベース情報、ユーザーデータ、テストデータ、財務予測、ビジネス方法、顧客または現在または将来の活動に限定されないものとする。

Residuals means information in non-tangible form; which may be retained by persons who have had access to the Confidential Information, including ideas, concepts, know-how or techniques contained therein, but not limited thereto. (残存記憶情報(残滓情報)とは、無形の形態による情報で、これらは、機密情報に含まれるアイデア、概念、ノウハウ、または技術を含み、これらに限定されない機密情報にアクセスした人物が保持する可能性があるものを意味する。)

この他にも様々な場面で使用されます。

「including, but not limited to」、「including without limitation」の表現が用いられるは、英米法に特有な概念、「consideration:「約因」または時として「対価」」が記載される英米法による契約書にみられるもので、当然ですが、依頼される日本語から英語の契約書では、ほとんど目にすること経験上はありません(個人の感想)。

英米法の概念については、専門書等を参照してください。最近は、様々な優れた文献が提供されています。内容を参考にされる場合は、辞書・専門書をご確認の上、ご自身の責任でお願いします。

参考図書:

研究社新英和辞典(研究社)

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

法律英単語ハンドブック(自由国民社)

英文契約書の書き方(日経文庫)

契約書翻訳 のブログ写真

英文契約書の用語・単語 unlessとexceptの簡単なまとめ

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契約書翻訳の観点から「例外」を表す一般的な単語・用語について簡単にまとめてみました。英文契約書で「例外」を表す場合に用いられる一般的な単語・用語として「unless」と「except」があります。いずれも以前とりあげた内容ですが、「unless」と「except」を個別にとりあげ、また各々を取り上げた時期に相当な開きがあります。

1. unlessについて

例外を表す単語として単体に使われるほか(例:「~でない限り」、「もし~でなければ」、「〜を除いては」、「ただし〜の場合を除く」等)、特にotherwiseと組み合わされて成句を作り、独特の使われ方をする場合があります。

Unless the context otherwise requires, words importing the singular include the plural and vice versa, words importing a gender include every gender. (文脈上他の意味に解すべき場合を除き、単数を意味する文言は、複数を含み、逆も同様であり、性別を意味する文言は、すべてのその他の性別を含む。)

Payment shall be made in US Dollars unless otherwise stated in the Purchase Order. (注文書にその他記載する場合を除き、支払いは米ドルとする)

Unless otherwise provided for by the laws and regulations, shareholders shall have the stock purchase right.(株主は、法令に定める場合を除いて、新株について引受権を有する)

2. exceptについて

unlessとともに「例外」を表す場合に用いられます。「except〜(〜を除いて)」のほか、他の語と組み合わされて成句として使われます(例:except + 動詞の原形「~する以外は」、except + to 動詞の原形~「~する以外は」、except for:「~を別にすれば、~以外の点では」、except from「~から除外する」、except that~「ただし、~を除いて=unless」、except where~「~の場合を除き」、except when「~の時以外は、~の時を除き」except as「〜を除き」等)

Except as set forth in this Article, the Seller shall not disclose any and all information provided by the Buyer. (本条に規定する場合を除き、売主は買主から提供されたあらゆる情報を開示しない)

そのほか、よく目にするのは、「Except as otherwise」のパターンです。

Except as otherwise provided herein, neither party may unilaterally terminate this Agreement.(本契約によりその他特段の定めがある場合を除き、いずれの当事者も、一方的に、本契約を解除することはできない。)

Except as otherwise provided for in this Agreement, either party hereto may continue to hold its own title for its existing rights, privileges, powers, licenses, permits and intellectual property rights of whatever nature. (本契約に別段の定めがある場合を除き、本契約のいずれの当事者も、既存の権利、特権、権限、ライセンス、許可、およびいかなる性質の知的財産権についても引き続き独自の所有権を保持することができる)

これは、「unless otherwise」を使い「Unless otherwise provided for in this Agreement,」とすることもできます。

「unless」と「except」については、冒頭でのべたように以前、「英文契約書の用語・単語  unlessについて」「英文契約書の単語・用語  exceptについて」にやや詳しく取り上げています。例文は契約書翻訳の観点から当方にて作成したものですが、内容を参考にされる場合は、辞書・専門書をご確認の上、ご自身の責任でお願いします。

参考図書:

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

法律英単語(自由国民社)

ビジネス法律英語辞典(日経文庫)

契約書翻訳 のブログ

英文契約書の単語・用語 日にち、期日および期間の表現の簡単な説明

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契約書翻訳の視点から基本的な単語・用語を使って作成した例文を通して(法律文を除く)、英文契約書で使われる日にち、期日および期間についての使いかたを簡単に見てみます。。

英文契約書に限らず、契約書では、日にち、期日および期間が重要な要素です。例えば、ある契約がいつから開始して、いつ終了するのか、契約期間が終了した後、その契約を延長することがあるのか、その方法とは、代金の支払い日はいつか、代金をいつまでに振り込むか等、日にちについて、これらを含め、さまざまな重要な事柄があります。

1. 日にち、期日および期間の表わす単語・用語のいくつか

accounting year: 会計年度

accounting period:会計期間

base date:基準日

business day:営業日

calendar day:暦日

calendar year: 暦年

calculation date: 算定基準日、起算日

commencement date:開始日;start date

due date:支払い期日、債務履行期日、納期、弁済期、期日、期限

effective date:発効日

effective period: 有効期間

expiration date: 満了日

fixed date: 確定日

holiday:休日

maturity date:償還期日

payment date:支払日

ここにある言葉と他の言葉を組み合わせたものを含め、これらのほかにも、さまざまな日にちや期間を表す言葉があります。(例:due date for the payment:弁済期限、claim with a due date:期限付債権、uncertain due date:不確定期限 the delivery due date:納品期日)

2. 契約の開始日および契約期間の例

英文契約書に限ら、契約書で期日および期間の例として、思い浮かぶのは「契約開始日と満了日」についての記載です。

The effective period of this Agreement shall be from xx xx, 2023 to xx xx, 2024.

This Agreement shall last for one (1) year from the date of the execution of this Agreement.

This Agreement shall commence from the effective date and expire after three (3) years therefrom.

This Agreement shall come to in effect on xx xx, 20xx and shall remain in effect for three (3) years unless sooner terminated pursuant to the terms hereof.

This Agreement shall be effective from the 1st of January, 20xx and remain in full force for the period of xx years from that date.

This agreement shall be in effect for a period of five (5) years, from xx xx, 20xx to xx xx, 20xx.

契約の期間については、以前、英文契約書の条項 一般条項:「Definition(定義)」と「Term(期間)」で取り上げことがあります。

3. 支払い期日等についての例のいくつか

The Seller shall deliver the Products to the Buyer’s warehouse by the delivery due date and the Buyer shall pay the prices of the Products specified in the Exhibit of this Agreement by the due date after inspecting the Products. (売主は納品期日までに製品を買主の倉庫に引き渡すものとし、買主は製品を検査した後、期日までに本契約の別紙に指定された製品の代金を支払う)

If this Agreement is terminated, all sum of due by the Buyer to the Seller shall be immediately due and payable regardless of the due date specified in this Agreement and the Buyer shall immediately pay them. (本契約が終了した場合、本契約に指定されている期日に関係なく、買主が売主に支払うべき全額が直ちに支払われるものとし、買主は直ちにこれらを支払う)

In this case, the date of the public notice is deemed to be the fixed date.

(この場合においては、当該公告の日付をもって確定日付とする)(保険業法

4. その他の日にちの例のいくつか

The User shall pay the Fee of subscription under this Agreement within ten (10) business days after receipt of the invoice issued by the Service Provider.

The business day means Monday through Friday excluding the Japanese national holidays.

The calculation date for the payment of the service rendered shall be started form the

A special remuneration may be paid on the second anniversary of this Agreement if applicable.

The terms of office of the board of directors shall expire in the first 4 anniversaries of the initial date of its appointment. (取締役会の任期は、当初の任命日から最初の4年以内に満了する)

Reserves shall be liquidated within the next accounting period. (準備金は次の会計期間内に清算する)

日にち、期日および期間に関する単語と用語について覚えておくと便利な事柄を簡単に取り上げてみました。契約の開始日および契約期間等も含めて、もう少し掘り下げることがある内容ですが、いずれかの機会にしたいと思います。このブログはメモ的な感覚で書いています。内容を参考にされる場合は、辞書・専門書をご確認の上、ご自身の責任でお願いします。

参考図書:

研究社新英和辞典(研究社)

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

カレッジライトハウス和英辞典(研究社)

契約書翻訳のブログの季節の花

英文契約書の用語・単語 「権利者」と「義務者」を表す用語

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契約書翻訳の視点から知っておくと便利な良く目にする言葉を取り上げています。契約書は当事者間の権利と義務を規定します。以前、「「責任」や「義務」を意味する用語の例として、Responsibility、Obligation、Liability、Dutyについて取り上げましたが、今回は、権利者と義務者を表す用語について見てみます。

「権利者」と「義務者」という言葉というタイトルで書いていますが、「権利者」と「義務者」という言葉は単体で目にするよりも、多くの場合「~の権利者」、「~の義務者」のような使われ方をします。また、直接的に「権利者」と「義務者」という表現でなくても、例えば、債権者、債務者等のようにその言葉自体にその者や存在が「権利者」と「義務者」であることの意味をもっている場合も多くあります。

ところで「権利」とは、「一定の利益を追求し、主張し、享受することができる力。相手方に対して作為または不作為を求めることができる権能。相手方はこれに対応する義務を負う」(法律用語辞典)とあります。例えば、obligeeは、債権者ですが、AがBに対して一定の行為(給付)を請求できる権利を持つAを指し、Bはその給付義務を負う者である債務者: obligorとなります。債権者、債務者を表す英単語は、これら以外にも、例えば債権者であれば、creditorとか、債務者であればdebtorなどがあります。

1.  「権利者」、「~の権利者」またはそれに類する意味を持つ用語のいくつかの例:

rightful claimant:正当な権利者

the person who holds the right:権利者(権利を有する人)

a rightful person:正当な権利者

proprietor:所有者

person entitled:権利者、権利を有する者

right holder:権利者

Beneficiary Certificate holders:受益証券の権利者

right holder:権利者

electronically recorded claim holder:電子記録権利者

execution creditor: 差押権者

garnisher: 差押債権者

obligee:債権者

 All intellectual property rights of this Product shall belong to the proprietor who holds a patent right thereof.

A person entitled to call a meeting of shareholders may at any time call an extraordinary general meeting of shareholders for any purpose.

If an obligor voluntarily fails to perform any obligation, the obligee may request the enforcement of specific performance from the court

(債務者が任意に債務の履行をしないときは、債権者は、その強制履行を裁判所に請求することができる)

2.  「義務者」、「~の権利者」またはそれに類する意味を持つ用語のいくつかの例:

義務者は、法律上、特定の義務を負うべき人のことです。

obligor:債務者;義務者

debtor:債務者

Taxpayer:納税義務者

the person obliged to disclose:開示義務者

Person Liable to Pay Customs Duties:納税義務者

electronically recorded claim obligor:電子記録義務者

Person Responsible for Payment:支払い義務者

the person obliged to register:登記義務者

If an obligor voluntarily fails to perform any obligation, the obligee may request the enforcement of specific performance from the court; (債務者が任意に債務の履行をしないときは、債権者は、その強制履行を裁判所に請求することができる。)

Where a party makes a taxable supply to another party, the recipient must pay to the suppler an additional amount equal to the Consumption Tax based on the tax invoice received by the Recipient.(一方当事者が他方当事者に対して課税対象物を提供した場合、受領者は、受領者が受領したタックスインボイスに基づく「消費税」に相当する追加額を提供者に支払わなければならない)

Even after the obligee has made a demand to the principal obligor in accordance with the provisions of the preceding Article, the obligee must first execute on the property of the principal obligor if the guarantor proves that the principal obligor has the financial resources to pay the obligation and that the execution can be easily performed. (債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない)(民法

「権利者」、「~の権利者」、「義務者」、「~の権利者」または「それら類する意味を持つ言葉」について簡単に触れてみました。これらに関するいくつかの例をあげましたが、ほんの一例であり、ある特定の分野で用いられる言葉‐用語はこれら以外にも多くあります。

参考図書:

法律用語辞典(有斐閣)

研究社新英和辞典(研究社)

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

カレッジライトハウス和英辞典(研究社)

法令翻訳データベース

契約書翻訳のブログ

英文契約書の単語・用語  Survivalについての短い説明

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契約書翻訳をしていると英文契約書に「Survival」、「Survival of Certain Provision」、「Survival of Terms」、「Survival Provisions」などと題された条項を目にすることがあります。「存続条項」とか「Survival条項」とか称されています。呼称の仕方はともかくも、契約が解除されたり、または満了した場合でも、ある特定の条項の効力を存続させたい場合などに記載されます。存続させる条項について良く目にするのは、守秘義務とか機密保持、義務、表明とか保証に関するものですが、契約によりさまざまなものがあります。また、特に「Survival」と題する条項がない場合でも、ある条項に内容の一部として契約の解除・満了後もその条項の効力を存続させる旨の記載があることがあります。作成した簡単な例文を通していくつかの用例をみてみます。

1. 機密保持義務の存続

The obligations of the Confidentiality of the Receiving Party under this Agreement shall survive the expiration or termination of this Agreement.

2. 義務の存続

All obligations set forth in this Article shall survive the termination or expiration of this Agreement for any reason whatsoever.

上記、1,2とも、存続させる対象が異なるだけで、内容的は似たようなものです。

3. 表明や保証の存続

The representations and warranties of the parties hereto contained in or made pursuant to this Agreement shall survive the termination or expiration of this Agreement.

All warranties hereunder will survive the manufacturer’s Products and/or any products incorporating the manufacturer’s Products after change, termination or expiration of this Agreement.

4. 存続させる特定の条項や事柄を項目ごとに列記

The following terms will survive termination or expiration of this Agreement:

  1. xxxxxxx,
  2. xxxxxxx, and
  3. xxxxxxx

本題とは関係ないのですが、上記例文に、「shall」と「will」を使いましたが、基本的に効力に差はないとされていますが、「will」よりも「shall」が好まれる傾向があるようです。

とりあえずこれも覚えておいて損はない事柄について簡単に見てみました。契約によりさまざまなものがあります。英文契約書について「Survival」に関連する実際の記述は、例文のように簡単な内容もありますが、時としてかなり複雑な構成の構文を目にすることがあります。翻訳に際しては経験や能力が問われる部分です。

参考図書:

カレッジライトハウス和英辞典(研究社)

研究社新英和辞典(研究社)