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英文契約書の単語・用語 同義語の併記について(その3)

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契約書翻訳に際して、英文契約書でよく見受けられる起源の異なる同義語の併記(反復)について、今回は、「made and entered into」と同義語の反復とは若干異なる前置詞の併記「by and between」について契約書翻訳の視点から作成した例文を通してみてみます。

*起源の異なる同義語の併記については、「英文契約書の単語・用語 同義語の併記について(その1)Norman Conquest(ノルマン征服)による影響」に簡単な記載があります。

1. 英文契約書の構成

英文契約書の基本構成は、

契約書名    前文       本文       署名蘭    別紙(もしある場合)の順になります。

その中の前文にも、同義語の併記-反復が見られます。

2 同義語の併記と前置詞の併記

ここでは、英文契約書の前文で慣用句として使用されている同義語の併記「made and entered into」と同義語の併記とは若干異なる前置詞の併記「by and between」について触れてみます。

This AGREEMENT was made and entered into this first day of MM, DD, 2023, by and between ABC Corporation and XYZ Company.

(締結された)を「made and entered into」と併記し、また、(両社間において)の表現を「by and between」(「~により」「~の間で」)で前置詞を併記しています。

要は、ABC社とXYZ社の間に2023年xx月xx日に契約を締結したという内容が書かれているだけです。(実際の契約書では、もっと長くなりますが、例文では骨子のみを抜粋)

なを、例文で記載するように英文契約書では契約締結日を明示的に前文の中で確認する定型文言が一般的です。慣用的な言い方で、慣れればそれほど難しいものではありません。

「by and between」は、ABC社とXYZ社の間で締結されたことをABC社とXYZ社により締結された、ABC社とXYZ社の間で締結された契約書であることを強調しています。

では、3社の場合は、「by and among」A, B and Cとなるのでしょうか?

  1.  3人(または3つの事柄)以上の場合

学校で、betweenの場合は、2つの間、3つ以上の場合の間はamongと習いました。

学校では対象が2つなら between A and B、3つ以上だったら among A, B and C とする、と習いました。

(注:betweenは、3者以上(または3つの事柄について)でも用いられる場合があります。例えば、Share the responsibilities between the five of us.        A treaty between three counties.   Between us, we can finish the job in a couple of hours. これらのように分配、共有、協力:~の間で(相互関係);(人が)協力して;(お金などを)みんな合わせてなどの場合に使われます。)

ところで、契約書の場合は、当事者が3人以上の場合、どうなるのでしょうか。by and amongと言うのでしょうか。

やはり、betweenを使ってもよいという方もおります。それは、betweenが「1対1」の関係を表しているからです。甲乙丙、三者の場合、契約書では、「甲対乙」、「乙対丙」、「丙対甲」者間の権利・義務の関係が問われているからです。つまり、3組の「1対1」があるということになります。

ところが3者間以上の契約の場合は、xxx Agreement by and among A, B and Cと記載されている場合があります。下記に簡単な例文を作成してみました。

THIS PURCHASE AGREEMENT (this “Agreement“) is entered into as of MM, DD, 2023 by and among ABC (“Buyer”), and DEF and GHI.(本株式購入契約(「本契約」)はABC(「買主」)とDEFおよびGHIにより、これらの間で2023年xx月xx日に締結された。)

THIS LICENSE AGREEMENT (“Agreement”) is made and entered into as of MM, DD, 2023 (the “Effective Date”) by and among Mr. K and ZZZ Company Ltd. and ZZZ Corporation.

本ライセンス契約(「本契約」)は、Mr. KとZZZ Company Ltd.とZZZ Corporationとの間で、2023年xx月xx日(「発効日」)に締結された。

AGREEMENT AND PLAN OF MERGER dated as of MM, DD, 2023 by and among XXX, YYY, and ZZZ.(XXX、YYY、およびZZZ間における、2023年xx月xx日付の合併に関わる合意書と計画。

Escrow Agreement By and Among Alpha and Beta and Kappa(Alpha社およびBeta社およびKappa社間のエスクロー(第三者寄託金)契約)

「by and between」、「by and among」について、契約書翻訳の視点からとりあえず知っておくと便利が事柄を書いてみました。なを、内容を参考にされる場合は、辞書・専門書をご確認の上、ご自身の責任でお願いします。

参考図書:

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

カレッジライトハウス和英辞典(研究社)

英文契約書の単語・用語 (単語編)No.35  events of defaultについて

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契約書翻訳の観点から、英文契約書で経験上、よく目にしたり、よく使われたり、または知っておいて損はないと思われる英文契約書でよく使われる単語と用語を取り上げています。今回は、以前の続きで「e」から始まる用語・単語の中からいくつかとりあげてみました。記載例については、作成した例文(法律文を除く)を通してみてみます。

events of default:債務不履行事由、期限の利益の喪失

「債務不履行事由」はそのままの意味です。「期限の利益の喪失」について一応確認してみると「期限の利益」とは、「期限が定められていることによって債務者が受ける利益。例:債務の返済期限がある場合、債務者にはその期限が来るまでは債務の返済義務はなく、返済を求められることもない。」「期限の利益の喪失」とは、例えば、債務者が破産した場合、期限の利益を失い、債権者は期限の利益によって猶予されていた債務の履行を、債務者に請求できるようになります。(これについては、さらに多くの理解が必要ですが、とりあえずこのあたりで押さえておきます。)

「破産した場合」と仮定していますが、一般に喪失の理由は、契約ごとに定められています。

作成した例文で見てみます。

債務不履行事由の例:(契約違反としても可)

Upon the occurrence of Events of Default, Party A may, at its sole option, give to Party B the notice of termination of this Agreement. (債務不履行事由の発生時、当事者Aは、その独自の選択により、当事者Bに本契約の終了通知を与えることができます)

「events of default」としましたが、周知のように「default」だけでも、義務の「不履行」、「債務不履行」の意味があり、「events of default」としなくても、例えば、Neither party shall be liable for any default or delay in performance of any obligation under this Agreement caused by Act of God, war, riot, fire, beyond the reasonable control of such party. (いずれの当事者も、当事者の合理的な制御を超えた天災、戦争、暴動、火災によって引き起こされた本契約に基づく義務の不履行または履行の遅延については責任を負わない)

If a party hereto fails to perform the services under this Agreement such party shall justifiably lose the events of default and immediately liquidate all monetary liabilities borne by such party to the other party. (本契約の当事者が本契約に基づくサービスの履行を行わない場合、当該当事者は不履行事由を当然に失い、当該当事者が相手方当事者に対して負担するすべての金銭債務を直ちに清算するものとする)

「期限の利益の喪失」に相当する用語は、そのほかにも、「Forfeiture of Benefit of Time」などがあります。契約書を起草する場合、これを使うほうが分かりやすいかもしれません。

If either party falls under any of the events of default provided in this Agreement, such party shall forfeit the Benefit of Term regarding any and all liabilities. (いずれかの当事者が本契約に規定されているいずれかの債務不履行事由に該当した場合、当該当事者はあらゆる債務に関する期間の利益を失うものとする)

The benefit of time stipulation may be waived. (期限の利益は、放棄することができる。)(民法

今回は、「e」から始まる用語・単語の中から「events of default」について思いつくままに書いてきました。なを、内容を参考にされる場合は、辞書・専門書をご確認の上、ご自身の責任でお願いします。

 

参考図書:

法律用語辞典(有斐閣)

カレッジライトハウス和英辞典(研究社)

法律英単語ハンドブック(自由国民社)

日本法令外国語訳データベースシステム

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英文契約書の単語・用語 同義語の併記について(その4)act and deed「行動・行為」

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契約書翻訳に際して、英文契約書でよく見受けられる起源の異なる同義語の併記について、今回は、「act and deed」です。

*起源の異なる同義語の併記については、前々回の「英文契約書の単語・用語 同義語の併記について(その1)Norman Conquest(ノルマン征服)による影響」に簡単な記載があります。

英文契約書において、act and deedとして一緒に用いられ、契約書に関わって完結した行動・行為を強調して表現します。

本来の言葉としての意味は、actは成し遂げられた「行動・行為」に焦点が置かれ、deedは意図的に行われた「行動・行為」を意味します。特に、deedは「偉業、業績」など、偉大な特筆すべき行為について使われる場合が多く見られます。一方、deedにはその反対に非常に悪いことを表す言葉としても使います。例えば、evil deed(悪事・悪魔の所業)となります。

これらの例を契約書翻訳の視点から以下に作成した例文で見てみます。

to do or refrain from doing any further act or deed in the name, place and stead of and on behalf of each Selling Party that the Designated Representative deems necessary or appropriate.

(指定代理人が必要または適切とみなした各販売当事者の名義で、その立場において、その代わりに、および、その代理としてさらなる行為を行うこと、またはさらなる行為を行うこと控えること)

That any actions taken by such officers prior to the date of the foregoing resolutions adopted hereby that are within the authority conferred thereby are hereby ratified, confirmed and approved as the acts and deeds of the Company.

(それに従い授与された権限の範囲内で、本状により採択された前述の決議の日付以前に、当該役員により講じられたいかなる措置も、本状により、会社の行為として裁可され、承認され、また、許可される)

その他、deedには、契約の公式記録としての法律文書、または誰かが土地または建物を所有していることの公式な証明である法律文書としての意味があります。

以下に作成した例文で見てみます。

The guarantor waives all rights as surety inconsistent with any of the terms of this Deed to the detriment or disadvantage of the contractor.(保証人は、契約者の損害または不利益となる本証書のいずれかの条項に違反する保証人としてのすべての権利を放棄します)

その他、法律用語として、正式に捺印された証書,権利証書等の意味があります。

assignment deed of the priority right     優先権の譲渡証書

deed of real estate                 不動産の権利書

deed of assignment               譲渡証書

deed of cession                     譲渡証書

deed of conveyance               譲渡証書

deed of covenant                  捺印証書

deed of hypothecation           担保契約証書

deed of purchase                   購入証書

deed of release                     権利譲渡証書

deed of sale for real estate      不動産売買証書

deed of subordination            《契約》劣位協定書

deed of title                         権利証書

deed of transfer                    譲渡証書

deed of trust                         信託証書

deed of warranty              担保保証書

Singed as a Deed                  証書の署名

Deedが行動を表す例として、Deeds, not wordsというフレーズがあります。「言葉でなく行動を」と言う意味になります。辞書によっては「不言実行」などともされます。

例文は契約書翻訳の観点から当方にて作成したものですが、内容を参考にされる場合は、辞書・専門書をご確認の上、ご自身の責任でお願いします。

参考図書:

The New Oxford Dictionary of English (Oxford University Press)

Merriam-Webster (Webster)他

英文契約書の単語・用語 同義語の併記について(その2). recognize and acknowledge他

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前回、契約書翻訳の観点から見た英文契約書でよく見受けられる同義語の併記について、前回、*「Norman Conquest(ノルマン征服)」の視点から見てみました。起源の異なる同義語が併記については、前回の「英文契約書の単語・用語 同義語の併記について(その1)Norman Conquest(ノルマン征服)による影響」に簡単な記載があります。今回も同じ視点から引き続き見てみます。

*「1066年にノルマン人が初めてイングランドを征服し、ウィリアムI世(征服王 )となったこと。 この後上流階級 の言葉はフランス語になり、多くのフランス語が英語に流入することになった。」

  1. recognize and acknowledgeについて

to recognize and acknowledge(「認める」)も「同義語の併記として英文契約書で使用された表現」で契約書に多々見られる言い回しです。

RecognizeとAcknowledgeの使い分けとニュアンスの違いを考えてみます。

「acknowledge」は、事実を「認める」ことを意味し、物事または何かの真実や存在を受け入れ、認め、または認識することであり、acknowledgeに続く文書を事実として自ら認めることを意味します。

同様に、「recognize」は、見聞した、または以経験したことを知覚し、何かが合法的、真実、または重要であることを受け入れることであり、recognizeに続く文章を事実として自ら認めることを意味します。

以下に例文を作成してみました。

You recognize and acknowledge that you only will be entitled to receive payments from xxx under this Agreement.「本契約において、貴社のみが、xxxからの支払いを受領する権利を付与されていることを、貴社は、承認し、また認める。」

You recognize and acknowledge that all payments made by Company A to you, any failure by Company A to make such payments and/or any disputes over such payments will be governed exclusively by this Agreement.「すべての支払いが、貴社に対しCompany Aにより行われる場合、Company Aによる支払いの不履行、また/あるいは、その支払いに対する紛争は、本契約により排他的に管理される。」

「acknowledge」の場合は、事実を自ら認めたという意味の文章になるのに対し、「recognize」は、起こったことが自分にとって良いか悪いかに関わらず事実を「事実として認め」、事実だと「理解・納得する」というニュアンスをもっています。

2.「認める」の英単語は、この他にもadmit, accept, confess, concedeなどがあります。

「admit」は、物事や真実を積極的に認めるというよりも、「不本意ながら認める」、「否定しない」ことを意味する動詞です。

admitは、concedeと同様に、自分にとって不利益なことや好ましくないことをしぶしぶ「認める」ことを表現する場合によく使われます。

She admitted that he she made a mistake. 彼女は間違ったことを認めた。

「accept」は、基本的には「受け入れる」ことを意味する動詞です。

They accepted his explanation. (彼らは彼の説明を信じた)、She accepted that she had no money.(彼女はお金がないことを認めた)のように、現在の現状が真実であると「認める」という表現で使うこともできます。

「confess」は、元々、自分が犯した犯罪や過ちを正式に「告白する」という意味の動詞ですが、罪や過ちを「認める」という意味で使うこともできます。

ちなみに、あまり見かけることはありませんが、契約書でも「acknowledge and confess that」という言い回しを使うことがあります。

「concede」は、多くの場合、しぶしぶ「認める」ことを意味する硬い表現で、不本意ながら何かが真実であることを認める意味になります。

その例として、

concede a race

勝負に負けて、[自分の敗北・相手の勝利]を認める

concede an election

選挙で自分の負け[自分の敗北・相手の勝利]を認める

上記の例の様に、しぶしぶ認める意味になります。まず、契約書では使いません。

例文は契約書翻訳の観点から当方にて作成したものですが、内容を参考にされる場合は、辞書・専門書をご確認の上、ご自身の責任でお願いします。

参考図書:

The New Oxford Dictionary of English (Oxford University Press)

Merriam-Webster (Webster)他

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英文契約書の単語・用語 同義語の併記について(その1)Norman Conquest(ノルマン征服)による影響

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契約書翻訳に携わっていると、英文契約書には、例えば、「any and all」とか「assign and transfer」とか、1文の中に同義語の併記が併記されることが良く見受けられます。時として契約書以外にもこの傾向がみられますが、これには、様々な理由があります。その中の1つとして、今回は、このあたりについて、英語の成り立ちの1つの側面から見てみたいと思います。

Norman Conquest(ノルマン征服)による影響

1066年にノルマン人が初めてイングランドを征服し、ウィリアムI世(征服王)となったことです-1066年、フランスのノルマンジーから来た、ノルマンジー公が、征服王、ウィリアム1世としてイギリスの王になって以来、上流階級の言葉はフランス語になり、多くのフランス語が英語に流入することになり、フランス語が上流階級の言葉として定着していきました。

元々、ゲルマン語を起源とする英語ですが、先進的文化の言葉として多くのフランス語(そのオリジンのラテン語等も共に)が、英語に流入したのです。フランス語が流入したことで、英語の単語はフランス語の単語より多くなってしまいました。英語と流入した言語(フランス語)がまじりあい、その結果として、同義語が多くなり、スペリングと発音の不一致が英語に多々見られるようになりました。

そのため、誰が見てもその意味が分かるように、起源の異なる同義語が併記されるようになりました。契約書では、特に、その傾向が多々見られます。契約書では、見ていなかった、意味が分からなかったなどと言えないように、金太郎飴のように、どこを切っても同じ意味の言葉が羅列されています。

なを、上記はノルマン征服による言語としての英語に対する影響の観点からです。一方、別の側面から見れば、英米法(英国法と米国法を英国法と英米法として一括して論ずることはできませんが)は、法の継受の点で歴史的にローマ法の影響を受けているため、英米法に関する文書には、ラテン語が使われることがある他、上記の理由でフランス語なども使われます。ノルマン征服はその後の英国の法制度に影響を及ぼし、それは現在にまで至っていま。ちなみにラテン語は,ノルマン人とともに到来し、12世紀ころまで法律用語として用いられ、フランス語は、13世紀末から15世紀末にかけて制定法に用いられています。なを、ラテン語は、1731年、フランス語は、1362年から制定法に関してそれぞれ英語に代えられたようです。このあたりは、興味があれば専門書等をご覧ください。個人的にはかなり面白味のある分野です。

今回は、その同義語の併記を英文契約書で使用された表現、作成した例文を通して見てみます。

1. all and every「すべての」「いっさいの」

同様な例で、any and allがあります。これも同様に、英文契約書では、「すべての」「いっさいの」という意味で使用されます。

A liquidator may perform any and all acts in order to perform his/her duties listed in the preceding paragraph. (清算人は、前項に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。)

Anyもallもすべてのあらゆるものを含むという意味で使用するのですが、おそらく、すべてを含むという点を念のため強調したいという思いから,同種の意味をもつ単語を同時に使うということなのだと思います。

anyの単体では、「どれでも…、だれでも…、無限の、いくらでも、いくつでも、すべての」という意味で、allの単体でも「全部の、全…、あらゆる、すべての、みな」となり、実際には、any and allで使用しても、any単独、all単独で使用しても、その意味は変わりません。

Each and everyもその例で、どちらか一方だけを使用しても、同じ意味を表します。

each and every employee needs to understand corporate ethics and to practice them. (従業員一人ひとりが企業倫理を理解し、それらを実践する必要があります。)

2. alter、amend、modify、 change:

これらの意味はいずれも「変更する」ですが、翻訳する場合、全部まとめて「変更する」と訳すのではなく、それなりに対応する訳文を抽出します。

例えば、You agree that we may alter, amend, modify or change in any other way these Terms and Conditions at any time at our sole discretion.(お客様は、当社が独自の裁量でいつでも本利用規約を変更、修正、改変、またはその他の方法で変えることができることに同意するものとします。)

3. assign、transfer「譲渡する」「移転する」

The parties hereto party shall not assign, transfer, charge or otherwise deal with all or any of its rights and/or obligations under this Agreement. (本契約の当事者は、本契約に基づく権利および/または義務のすべてまたは一部を譲渡、移転、請求、またはその他の方法で処理することはできない。)

4. costs and expenses「費用」

Purchaser shall pay all reasonable costs and expenses, including reasonable attorneys’ fees, incurred by the Purchaser in connection with entering into this Agreement. (購入者は、本契約の締結に関連して購入者が負担した、合理的な弁護士費用を含む、すべての合理的な費用および経費を支払うものとします。)

英文契約書に見られる同義語の併記の幾つかの例を作成した例文を通して見てみました。

英文契約書では、例示した言葉以外にも多くの同義語の併記をみることができます。今回は、ここまでとします。なを、例文は契約書翻訳の観点から当方にて作成したものですが、内容を参考にされる場合は、辞書・専門書をご確認の上、ご自身の責任でお願いします。

参考図書:

The New Oxford Dictionary of English (Oxford University Press)

Merriam-Webster (Webster)

イギリス法の基礎(文久書林)他

英文契約書の単語・用語  日本語の「被~」という表現についての追記

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契約書・法律文書に限らず、一般的な文章でも「被~」という表現が使われています。何気なく使っていますが、なじみがない言葉だと、「被~」という表現を目にしたとき、「はて、この意味は・・・?」と一瞬考えてしまう経験があります。「被」という言葉の意味を国語辞典で調べてみると、色々な意味があります。今回とりあげるのは、「被」の意味のなかでも、「他人から、行為や恩恵などを受ける」、「行為を表す漢語に付いて、他から…される、他からその行為をこうむる」の意味の部分です。例えば、「被害」をいう言葉があります。意味としては、「損害や危害をこうむること」、「受けた損害や危害」とあります。当然ですが、被害を受けた人は、「被害者」です。

日本語だと「他から…される、他からその行為をこうむる」人や対象を表す場合、単純に「被」に後に行為の対象となる事柄をくわえるだけですが(「被~」を使わない場合、使う必要がない場合も多くあります。なを、契約書・法律文書では「被~」の表現が多くみられます)。英語の場合はどうでしょうか。契約書翻訳の観点から見てみます。

1. 単純に「被~」と英訳できない

契約書翻訳も含めて「被~」を日本語から英語にする場合に「被+~」とするわけにはいきません。

英語は、日本語の様に、ひとつひとつの文字が意味を表す表意文字でないため、文字自体にidea(意図、考え方)がありません。そのため、日本語の「被」にあたる英単語を付けて、「~を受ける、~される、~こうむる」の意味を持たせることはできません。

英語では、日本語のさまざまな「被+~」の言葉のそれぞれ対応する英単語・句があります。例えば、動詞の場合、過去分詞のみ、過去分詞+人またはもの、あるいは、ある言葉の後ろに「ee」を付けて、「被…」とする場合もあります。

上記の例には、下記に表にあるように被保険者(insured、assured)、被害者(injured parson)、被許諾者(grantee、licensee)等があります。

以下に、「被+~」に対応する英単語の幾つかとそれらに対比する英単語を記載しました(以下に記載した単語以外のものも多くあります)。

 

被裏書人 indorsee、endorsee 裏書人 endorser
被開示者 discloser; receiving party; receiving person他 開示者 disclose; disclosing party; disclosing person他
被害者 Injured; injured parson;、sufferer;

victim他

加害者 party at fault;、wrongdoer; assaulter;  murderer 他
被許諾者 Grantee; licensee 許諾者 grantor
被後見 wardship 後見
被後見人 ward 後見人 guardian
被上訴人 respondent、appellee 上訴人 appellant
被相続人 *decedent 相続人 heir
被保険者 Insured,

Insured person、assured

保険者 insurer
被保証人 guarantee 保証人 guarantor
被用者 employee 雇用者 employer
被選択権者 optionor 選択権者 optionoee

 

*「被」が付いても、「被相続人」は、「相続人が相続によって承継する財産や権利義務のもとの所有者(「財産を残して亡くなった人」)」で、「相続人(heir)」は、「被相続人の財産上の地位を承継する人(被相続人の財産を相続する人)」The child of a decedent shall be an heir.「被相続人の子は、相続人となる。」(民法)

これらの他にも「被+~」に対応する英単語は、例えば、被害者:Injured; injured parson;

victim. 被害届: incident report. 被告: defendant. 被収容者:  inmat. 被担保債権:

claim secured.など様々のもがあります。

 

2. 「被~」の言葉の意味を把握した上で、適切な英単語やフレーズを作成する

上記のように、「被~」の言葉の多くは、辞書等に記載がありますが、そうでない場合も多く、また定訳がない場合もあります。その場合、その「被~」の言葉の意味を把握した上で、適切な英単語やフレーズを作成する必要があります。

以下に上記の例を使った例文を作成してみました。

The act or omission of one insured will not invalidate the policy as to the other insured.

(いずれかの被保険者の作為または不作為によって他の被保険者に対する証券の効力が失われない。)

A copy of the insured amounts and the receipt of payment shall be provided each year.

(保険総額と領収書のコピーは、毎年、提供されるものとする。)

Premiums are determined in accordance with an insured person’s salary.(保険料は、被保険者の給与に応じて決定されます。)

In the Agreement, it shall clarify where responsibility lies before deciding the final repair cost to be paid to the insured.(契約では、被保険者に支払う最終的な修理費用を決定する前に、責任がどこにあるかを明確にするものとします。)

 

3. 英文契約書でよく目にする「被~」の意味を持つ言葉

 

被+~」という表現ではありませんが、これに類するものとして。例えば、上記の「「被+~」に対応する英単語の幾つか」の例として「disclosee(被開示者)」、「discloser(開示者)」をあげています。下記に作成した例文にあるように、いずれも「情報のdisclose(開示する)、disclosure (開示・公開)に関連した用語です。「被+~」という表現ではありませんが、情報を開示する側-開示者、情報を受け取る側-受領者などとして、それぞれ「Disclosing Party」、「Receiving Party;Recipient」などが使用されています。

Receiving Party shall undertake not to use or disclose to the Disclosing Party’s Confidential Information without a written approval of the Disclosing Party and shall only use such Confidential Information for the purposes of this Agreement.(開示当事者は、受領当事者の書面による承認なしに受領当事者の機密情報を使用または開示しないことを約束し、本契約の目的のためにのみに当該機密情報を使用する)

Recipient shall maintain in confidence all information obtained in the course of business and shall not publish or otherwise disclose such information to third party provided, however, that…………….(受領者は、事業の過程で得られたすべての情報を秘密として保持し、当該情報を第三者に公表または開示してはならない。ただし、…………..)

こられの言葉は、「情報をdisclose:開示する」、「情報の、disclosure (開示・公開)」と関連して情報の機密保持に関係する記述等に頻繁に登場します。

例文は契約書翻訳の観点から当方にて作成したものですが、内容を参考にされる場合は、辞書・専門書をご確認の上、ご自身の責任でお願いします。

 

参考図書

大辞泉(小学館)

法律英単語(自由国民社)

ランダムハウス英和大辞典

ビジネス法律英語辞典(日経文庫)

日本法令英訳プロジェクト

英文契約書の単語・用語「従う」または「遵守する・順守する・守る」(その2)

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前回、英文契約書で「従う」または「遵守する・順守する・守る」という意味に対応する用語・単語のいくつかについて見てみました。前回の述べたことですが、ここで取り上げるのは、「決めたことや規則に従う」とい意味です。「遵守する・順守する」を除き、日常的には「従う」や「守る」は同じ意味にとして使用される場合ほとんどかもしれません。翻訳の場合は、どのような言葉を使うか文脈的に厳密に解釈する必要がある場合もあり、いずれにも解釈して問題がないか、いずれにも解釈できることもあります。

前回は、「従う」についての表現を中心にこれに対応する以下の用語・単語「obey:(命令・法律などに)従う、observe(命令・法律などに)従うfollow:「(忠告・命令・慣習などに)従う」

comply with:「(命令・規則・要求などに)従う」、abide by :「(法律・協定。規則などに)従う」、be in accordance with:(~に従う)、conform to:「(慣習・しきたりなど)従う」について見てみました。これらはいずれも、「従う」または「遵守する・順守する・守る」としてそのまま使えるものです。今回は、前回とりあげなかった用語・単語や文脈的に「従う」として訳せる言葉について作成した例文を通して少し触れてみます。

1.  前回、とりあげなかったいくつかの用語・単語の例

If you do not accept our instruction specified in the separate agreement, you may not renew the basic agreement. (別途規約に定める当社の指示に従わない場合には、基本契約を更新することはできない)  指示に従わない=「を受諾しない・に同意しない・を受け入れないなどでも可」。

The employees shall accept the workplace policies and procedures, instruction and supervising as well as the existing internally or externally code of conduct. (従業員は、職場の方針と手順、指示と監督、および既存の社内または社外の行動規範に従うものとする。)

「accept」は、主として受け取る、(申し出などを)受諾する・引き受ける、~に応じるなどとされる場合がありますが、英~日の翻訳では文脈的に「従う」とすることもあります。

If Party X fails to perform its obligations under this Agreement, Party Y may terminate this Agreement pursuant to the termination clause hereof. (当事者Xが本契約に基づく義務を履行できない場合、当事者Yは本契約の解除条項に従って本契約を解除できる)

The Contractor shall reimburse the expenses borne by the Customer to the Customer the pursuant to the provision under this Agreement. (契約者は、本契約の規定に従い、お客様が負担した費用をお客様に弁済する。)

「pursuant to」は、契約書や法律文の常套句です。良く知られているように「従う」の他に「~に応じて」、「~により」などとされる場合もあります。例えば、上記の例文も文脈的に「契約者は、本契約の規定により」とする場合もあります。

 

2.文脈的に「従う」として訳せる言葉の例:

「subject」を使った例

This Agreement is subject to all applicable federal, state and local laws.

本契約は、適用される連邦法、州法および地域法に従います。

「subject」のその他の用法については、

The prices of Products shall be reviewed periodically in accordance with prevailing market conditions and are subject to change or withdrawal without any prior notification at the sole discretion of manufacture.(製品の価格は、一般的な市場の状態に従って定期的に再検討を行い、事前の通告なしに、メーカーの単独の裁量により、変更撤回されることがある。

「subject」そのものは様々な意味に使われ、なじみのあるところでは、「主題・事柄・(書物や作品などの)標題」ですが、「be subject to」は文脈的に「~に従って」とされることがあります。ブログの内容とは外れますが、The specifications of this Product are subject to change without prior notice.(本製品の仕様は予告なく変更される場合があります。)これなどは日常的によくみかけます。

「submit」を使った例

The parties hereto shall submit any dispute arising from this Agreement to the exclusive jurisdiction of the Tokyo District Court of Japan.(本契約の当事者は、本契約に起因する紛争については日本の東京地方裁判所の専属管轄権に従う。)「submit」には「~に服従する」の意味もあり。文脈的に「~に従う」としてみました。「専属管轄権に服する」などとすることもあります。

例文は契約書翻訳の観点から当方にて作成したものですが、内容を参考にされる場合は、辞書・専門書をご確認の上、ご自身の責任でお願いします。

参考図書:

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

ビジネス法律英語辞典(日経文庫)

カレッジライトハウス英和辞典(研究社)

英文契約書の単語・用語「従う」または「遵守する・順守する・守る」(その1)

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契約書翻訳に際して、「従う」については。日本語としても様々な意味がありますが、その中で、ここで取り上げる「従う」の対応する意味は、「他からの働きに順応する。法律・慣習・意見などに逆らわないでそのとおりにする。服従する。例:法の定めるところに従う」「指示に従って行動する」「意向に従う」等になるかと思われます。

「遵守する・順守する」については、「法律や道徳・習慣を守り、従うこと」とあります。

また、「守る」についても様々な意味がありますが、ここで取り上げるのは、「決めたことや規則に従う」とい意味です。「遵守する・順守する」を除き、日常的には「従う」や「守る」は同じ意味にとして使用される場合ほとんどでしょう。

翻訳の場合は、どのような言葉を使うか文脈的に厳密に解釈する必要がある場合もあり、いずれにも解釈して問題がないか、いずれにも解釈できることもあります。

英語から日本語への翻訳でも、文脈に応じて、同じ単語を、適宜、これら意味に振り分けて訳出する場合が多くあります。同様に日本語から英語への翻訳場合も、文章の内容と意図に応じて、「従う」、「遵守する・順守する・守る」に対応する単語を、適宜使い分けます。

「従う」について

上記のような背景があり、また辞書を見ると「従う」という言葉には多くの対応した用語・単語がありますが、ここでは、とりあえず知っておくと良いいくつかの単語・用語を英文契約書翻訳の視点から見てみます。

すでに述べたように「従う」などは、日常的な用語です。

I follow his advice.  Most people follow customs in this local community.

技術マニュアルなどでもよく使われます。

Operator must follow the proper procedure to turn off the machine in order to prevent data corruption on the machine hard drive. (オペレーターは、装置のハードドライブのデータの破損を防ぐために、装置をOFFにする場合、適切な電源OFF手順に必ず従ってください。)

ここでとりあげる英文契約書で使われる「従う」を意味するいくつかの用語・単語として以下の用語・単語について見てみます。

obey:(命令・法律などに)従う

observe: (命令・法律などに)従うfollow:(忠告・命令・慣習などに)従う

comply with:(命令・規則・要求などに)従う

abide by :(法律・協定。規則などに)従う

be in accordance with:(~に従う)

conform to:(慣習・しきたりなど)従う

これらの単語の中には、どれを使用しても意味としては同じになるものもあります。また、「conform to(慣習・しきたりなど)従う」とありますが、実際には、以下のように使われる場合も多くみられます。

The finishing works shall conform to the specification

If the Minister for Internal Affairs and Communications finds the application to conform to the standards set forth in the items of the preceding paragraph as a result of examination pursuant to the same paragraph, the minister must approve the incorporation.(総務大臣は、前項の規定により審査した結果、その申請が同項各号に掲げる基準に適合していると認めるときは、設立の認可をしなければならない。)(株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構法

英文契約書で使われる例を作成した例文を通していくつか見てみます。

The employees shall obey and observe all rules and regulations reasonably established by the Company from time to time.(従業員は、会社が合理的に定めたすべての規則および規定を随時遵守しなければな)

The Licensee shall operate fully to comply with the liabilities arising from this Agreement. (ライセンシーは、本契約から生じる責任を遵守するためにその義務を完全に遂行する)

Each party hereto agrees to comply with its obligations under this Agreement. (本契約の各当事者は、本契約に基づく義務を遵守することに同意する)

The Contractor will abide by all laws applicable to its provision under this Agreement and is responsible for any fees or permits necessary therefore. (契約者は、本契約に基づく規定に適用されるすべての法律を遵守し、そのために必要な料金または許可について責任を負う)

The Licensor grants to the Licensee for the duration of this this License Agreement a non-exclusive license to use the Mark as a trade mark on or in relation to the Products in Sales Territory in accordance with the terms thereof. (ライセンサーは、本ライセンス契約の有効期間中、本契約の条件に従って販売地域内の製品または製品に関連してマークを商標として使用する非独占的ライセンスをライセンシーに付与する)

英文契約書で使われる例を作成した例文をいくつかあげてみましたが、今回は、主に「従う(遵守)する」について見てみました。ところで「従う・遵守する・順守する・守る」の表現にはこれら以外にも様々な用語・単語使用されます。用語によっては、入れ替えが可能なものもあります。これらも含めて「従う・遵守する・順守する・守る」については、引き続き次の機会にみてゆきます。例文は契約書翻訳の観点から当方にて作成したものですが、内容を参考にされる場合は、辞書・専門書をご確認の上、ご自身の責任でお願いします。

参考図書:

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

ビジネス法律英語辞典(日経文庫)

カレッジライトハウス英和辞典(研究社)

日本法令外国語訳データベースシステム

英文契約書の単語・用語、including, but not limited to、including without limitation等の短い説明

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契約書翻訳に携わっていると、英文契約書でお目にかかる定番のフレーズとして「including, but not limited to」、「including without limitation」があります。いずれも「~を含み、~に限定されない」という意味です。

例えば、ある事柄に対して、相手方に対して責任を負わない、もしくは責任を負わせる、または当事者双方が責任を負わない場合等の規定について、適用する事例を列挙する場合に使われます。相手方に対して責任を負わない、負わせる事柄を列挙するわけですが、列挙した以外の事象が発生した場合、例えばそれが列挙した事例に類似する事柄でも、時としてその規定が適用されないおそれもあります。なぜかというところに関する英米法の説明は、ここでは行いませんが、例えば、相手方に対して責任を負わない-自己に対する免責を例にとれば、その条項に免責適用事例が「include」されるだけでは、不十分で「but not limited to」を追加することで、適用事例を「include」しただけで、ある意味、制限的列挙を回避するといわれますが、「but not limited to」が入っていたとしても、実際には当該条項について紛争が生じることもあります。

いずれにしても、ここではとりあえず覚えておくと便利でという視点で、作成した例文を通して契約書翻訳の視点から簡単に見てゆきます。

1.  不可抗力条項で使用される例

「including, but not limited to」、「including without limitation」が使用される代表的な例と1つとして不可抗力条項があります。ここでは、以前、「不可抗力条項」を取り上げた際に作成した例文を振り返ってみてみます。

Force Majeure means any event caused by occurrences beyond a party’s reasonable control, including, but not limited to, acts of God, fire or flood, earthquake, war, terrorism, labor dispute, pandemic, system malfunction, governmental regulations, policies or actions enacted or taken subsequent to execution of this Agreement, or any labor, telecommunications or other utility shortage, outage or curtailment.

(不可抗力とは、天災、火災もしくは洪水、地震、戦争、テロ、労働争議、流行病、システムの機能不良、本契約の締結後に制定された、もしくは講じられた政府の規制、方針もしくは法的措置、または労働、通信もしくは他のガス電気水道等の公共事業の供給不足、供給停止もしくは供給の削減を含み、これらに限定されない、当事者の合理的な管理能力を超えて発生した事象を意味する。)

この例では、不可抗力事由を列挙しながら、「including, but not limited to,」の構文を列挙した事由の前に置いて、列挙した事由に限定されないことを明示的に示しています。

2. その他の例

The Confidential Information shall mean any information relating to the marketing plans and business plans or methods or any other confidential information furnished by the Disclosing Party to the Receiving Party including written materials and oral discussions relating to the foregoing, but not limited to marketing plans and technical information, know-how, documentation, systems specifications, application information, quantity control specifications, equipment specifications, database information, user data, test data, financial forecasts, business methods, customers or current or prospective activities of Disclosing Party.(「機密情報」とは、開示当事者が受領当事者に提供したマーケッティング計画および事業計画もしくはそれらの方法、またはその他の機密情報であり、上記に記載の文献資料もしくは口頭による協議を含むが、開示当事者のマーケティング計画および技術情報、ノウハウ、文書、システム仕様、アプリケーション情報、数量管理仕様、機器仕様、データベース情報、ユーザーデータ、テストデータ、財務予測、ビジネス方法、顧客または現在または将来の活動に限定されないものとする。

Residuals means information in non-tangible form; which may be retained by persons who have had access to the Confidential Information, including ideas, concepts, know-how or techniques contained therein, but not limited thereto. (残存記憶情報(残滓情報)とは、無形の形態による情報で、これらは、機密情報に含まれるアイデア、概念、ノウハウ、または技術を含み、これらに限定されない機密情報にアクセスした人物が保持する可能性があるものを意味する。)

この他にも様々な場面で使用されます。

「including, but not limited to」、「including without limitation」の表現が用いられるは、英米法に特有な概念、「consideration:「約因」または時として「対価」」が記載される英米法による契約書にみられるもので、当然ですが、依頼される日本語から英語の契約書では、ほとんど目にすること経験上はありません(個人の感想)。

英米法の概念については、専門書等を参照してください。最近は、様々な優れた文献が提供されています。内容を参考にされる場合は、辞書・専門書をご確認の上、ご自身の責任でお願いします。

参考図書:

研究社新英和辞典(研究社)

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

法律英単語ハンドブック(自由国民社)

英文契約書の書き方(日経文庫)