英文契約書の用語、構文(その9)「Force Majeure」

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1.「Force Majeure

英文契約書で見受けられラテン語やフランス語などからの用語の中で、良く眼にするものの一つに、フランス語の「force majeure」があります。いわゆる「不可抗力」と訳されるもので、これには、戦争、暴動、ストライキ等に代表される「人的災害」と政府機関の命令等、および地震、台風、洪水、水害、竜巻等の「自然災害」を含みます。「フォースマジュール」として日本語にもなっています。契約書翻訳の視点からの簡単な説明です。

2.「Force Majeure」の定義

英文契約書の中では、当事者に責任のない(当事者の管理に帰せられない、当事者の支配の範囲を超えた)理由-すなわち上記の「不可抗力」事象により、契約の履行ができなくなった、または遅延した等の状況下において、不可抗力事象が発生した場合の相手方への通知義務、当事者に対する免責の範囲、免責方法等が、不可抗力の定義、不可抗力の期間等とともに、「Force Majeure」(または時として「Force Majeure Event」)というタイトルを持つ条項にこれらの内容が記載されています。(「Force Majeure」を定義条項の中に定義する場合もあります。以下に例文を作成してみました。)

「Force Majeure means any event caused by occurrences beyond a party’s reasonable control, including, but not limited to, acts of God, fire or flood, earthquake, war, terrorism, labor dispute, pandemic, system malfunction, governmental regulations, policies or actions enacted or taken subsequent to execution of this Agreement, or any labor, telecommunications or other utility shortage, outage or curtailment.」

(不可抗力とは、天災、火災もしくは洪水、地震、戦争、テロ、労働争議、流行病、システムの機能不良、本契約の締結後に制定された、もしくは講じられた政府の規制、方針もしくは法的措置、または労働、通信もしくは他のガス電気水道等の公共事業の供給不足、供給停止もしくは供給の削減を含み、これらに限定されない、当事者の合理的な管理能力を超えて発生した事象を意味する。)

(この例では、不可抗力事由を列挙しながら、「including, but not limited to,」の構文を列挙した事由の前に置いて、列挙した事由に限定されないことを明示的に示しています。)

「Force Majeure」という用語は、多くはまず、上記の不可抗力発生時の規定を記載した条項のタイトル(不可抗力条項=Force Majeure)として使われるようです(当然、用語「force majeure」が文中に記載されることもあります。)。

3.「Force Majeure」に相当する事象(不可抗力事由)

不可抗力条項において、何を以って不可抗力とするか(不可抗力事由)の定義は、多くの場合、上記の例文ように「人的災害」と政府機関の命令等および「自然災害」などの具体例を列挙しますが、その契約において不可抗力により生じた「不履行」、「履行遅延」、および「不可抗力の期間」等についての対応は、個別の契約により異なります。また個々の契約においては、上記の「不可抗力」事由の他に、その契約固有の「不可抗力」事由、例えば、工場が被った災害(爆発、火災等)、交通途絶、港湾封鎖、政治的・社会的混乱、国家の分離・独立、これらが金融機関の及ぼす影響等、その他諸々の事由をその契約に応じて記載します。また、不可抗力の発生に関する第三者機関の証明の提出義務などが追加されることがあります。

「不可抗力の期間」が不可抗力条項にあらかじめ規定して期間を超えて継続した場合の「契約解除」を行う場合は、その旨の規定を設けることが必要とされます。(不可抗力に起因する契約解除に関する規定を設けていない英文契約書も多くあります。)

例えば、次のような例文を作成してみました。「If the Force Majeure condition continues for 90 days or more, either party may terminate this agreement upon written notice to the other party」

(不可抗力の状態が90日以上継続する場合、いずれの当事者も相手方に対する書面の通知により、本契約を解除することができる。)

4.「Force Majeure」における免責

一般には、「不可抗力」の事態が発生しても、支払に関する債務は、免責されないことになっているようですが、実際に「不可抗力」の事態が発生した場合は、(場合により債務の履行が一定期間猶予されても)、支払がなされないこともあり、また、国ごとの債権に関する法律の違いなどから、当然、債務の不履行、履行遅延に関する紛争が生じることも多いとされます。また、支払に関する債務の免責以外にも、「不可抗力」の事態が発生した際の契約の履行義務に関する責任の範囲、その他を詳細に規定する場合もあります。(このあたりについては、専門書をご覧ください。)

以下に例文を作成してみました。

「Neither Party hereto shall be liable to the other party for failure to perform its obligations hereunder due to Force Majeure.」

(本契約のいずれの当事者も、不可抗力により、本契約に基づくその義務の不履行に対して、相手方に責任を負わせることはないものとする。)

「Neither party is responsible for failure to fulfill any non-monetary obligations due to events beyond his or her reasonable control」

(いずれの当事者も、その合理的管理の範囲を超えた事由に起因する非金銭的債務不履行に対する責任を負わない。)

(なを、英文契約書に不可抗力条項がない場合は、当事者間の話し合による解決のほか、ウィーン売買条約(日本では2009年8月発効)の適用が可能性としてあります(同条約の「損害賠償」、「免責」および「解除の効果」等-同条約の規定では、契約の不履行が不可抗力によることが証明できれば免責を受けられます。)。ただし、相手方の国が同条約に未加入であったり、契約に同条約を適用していない場合や、別途準拠法を定めている場合は、同条約は適用されません。)

また、ある事象が当事者の管理(または支配)範囲を超えた事由による場合でも、それらを不可抗力とはみなさない旨をあらかじめ定義する場合もあります。これについて以下に例文を作成してみました

「Neither economic downturn nor significant decline in demand for the Products manufactured by Party A shall be Force Majeure.」

(いかなる経済の悪化および当事者Aの製品の需要の深刻な低下も不可抗力としない。)

「Raw material or labor shortages shall not be considered as force majeure events.」

(原材料または労働力不足は、不可抗力事由としない。)

特に、「Neither economic~be Force Majeure.」の場合、例えば、代理店契約などで、販売数量、販売額等に関する契約上の義務がある場合など、このような取り決めは厳しいものがあります。

5.「Force Majeure」と「Act of God

「不可抗力=Force Majeure」という概念に関して、英語には、「Act of God」(辞書では、不可抗力、天災等の意味)がありますが、「Force Majeure」のように、不可抗力条項のタイトルとして使われることは、あまり見受けられず、タイトルを「Force Majeure=不可抗力条項」として、その条項の中で「天変地異」の1つとして「Act of God」を使用しているようです。理由としては、諸説あるようですが、世界には、様々な国々があり、特に宗教的配慮から「Act of God」よりも「Force Majeure」のほうが受け入れやすく、一般的に使用されるようになったという説もあるようです。“2.「Force Majeure」の定義”で作成した例文には、「including, but not limited to, acts of God, fire or flood, earthquake, ~」と「earthquake=地震」を入れましたが、経験的には、「earthquake」がない場合も多く、地震が起きた場合「acts of God=天災」の1つとして捉えるようです。

5.「Force Majeure」条項の重要性

英文契約書で「Force Majeure」条項を初めて目にしたときは、正直、漠然とした認識でした。どちらかと言えば、海外での紛争、災害、政治的な動きを想定していました。

しかし、東日本大震災により、多くの生産ラインが停止に追い込まれ、部品供給の途絶により、実際に世界規模で多くの製造業が影響を受けたことは記憶に新しい事実です。この時、各関係機関、法律事務所等に対する「Force Majeure」に関する問い合わせの件数が相当数にのぼったとのことです。現在、日本に限ってみても、例えば、地震についてだけでも、南海トラフ、首都直下型、はては富士山噴火等、可能性がとりざたされています。

その意味で、「Force Majeure」条項の重要性は増していると考えられますが、一方、日本の民法では、損害賠償について「債務者は不可抗力をもって抗弁することができない。」(第419条第3項)と定められています。英文契約書における「Force Majeure」または「Force Majeure Event」は、なかなかに多岐にわたる奥深い事柄のため、多面的に考察する必要があります。

参考図書:

法律用語辞典(有斐閣)

デジタル大辞泉(小学館)

法律英単語(自由国民社)

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

カレッジライトハウス和英辞典(研究社)

英文契約書の用語・単語

英文契約書の用語、構文(その8)「bona fide」

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 今回は、英文契約書で使われている「bona fide」について見てみます。

「bona fide」の意味

英文契約書には、その元となる英米法がローマ法を色濃く継受している関係から、ラテン語やフランス語などからの用語が使用されていることがあります。前回、in lieu of「~の代わりに」、mutatis mutandis「準用する」、pro rata「比例して、案分して、割合に応じて」について述べましたが、引き続き、いくつかの例を契約書翻訳の観点から見てみたいと思います。今回は、「bona fide」の意味についてみてみます。

bona fide(善意の)」(多く使われる意味(訳し方)では)契約書の場合は、多くは、例えば、bona fide third party「善意の第三者」、bona fide user 「善意の使用者」、bona fide employee「善意の従業員」等の意味に使われます(このほかにも数多くあります)。

「provided, however, that neither the Parent, Surviving Corporation nor the Agent shall have received notice that such Certificate has been acquired by a bona fide purchaser.」

(但し、親会社、存続会社、または代理人は、当該株券が善意の買主によって取得されている旨の通知を受け取っていないことを条件とする。)

このbona fideという言葉は、辞書には、「善意の」というより、むしろ「誠実な、誠意の、真実の、真正の」(形容詞)「誠実に、真実に」(副詞)等として紹介されており、このような意味で使われる場合も多くあります。

「No bona fide pledgee or other holder of issued shares as collateral security shall be personally liable as a shareholder.」

(担保株式として発行された株式の正式な質権者またはその他の所持人が、株主として個人的責任を負うことはない。)などと使われることもあります。

「If the Parties are unable to resolve their dispute through bona fide negotiations, all disputes, controversies or claims arising out of this Agreement shall be finally settled by arbitration in accordance with the Rules of the Arbitration Institute of the Chamber of Commerce.」

(両当事者が、誠実な交渉による係争の解決をなし得ない場合、本契約から生ずるすべての係争、論争もしくは申し立ては、商業会議所仲裁裁判所の規則に基づく仲裁により最終的に解決される。

少し面白いと思った例は、bona fide leave「正式な休暇」と訳す必要がある例がありました。

なを、「善意の」という意味ですが、日本の法律の英訳を見ると、

「理事の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。」(民法)

No limitation on a director’s authority may be asserted against a third party without knowledge.

「前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。」(民法)

The nullity of the manifestation of intention pursuant to the provision of the preceding paragraph may not be asserted against a third party without knowledge.

前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。(会社法)

No limitation on the authority under the preceding paragraph may be asserted against a third party without knowledge of such limitation.となり、多くの場合において「善意」の意味を、without knowledge「知らなかった」を使って表す場合もあります。

そのほか、「善意の占有者は、占有物から生ずる果実を取得する。」では、A possessor in good faith shall acquire fruits derived from Thing in his/her possession.のように「善意」=「good faith」が使われている場合もあります。

なを、調べてみると、「善意取得」をBona Fide Acquisition(地球温暖化対策の推進に関する法律 )等もあり、Bona Fideが使われています。

ついでに、「善意」の反対の「悪意」について、日本の法律の英訳を見ると

「ただし、債務者に悪意又は重大な過失があるときは、その弁済は、無効とする。」

provided, however, that the performance of the applicable obligation shall be void if the obligor has knowledge or is grossly negligent.

この場合、「悪意」をknowledge 「知っている」を使って表しています。

「法律用語辞典」を見ると、「善意」とは、「ある事実を知らないことで、悪意に対する」とあり、「日常用語とは異なる」と記載されています。なを、「ある事実を疑わしいと思っている場合も、占有の場合を除き、通常は善意にあたる」旨の記載があります。

そのため、「善意の占有者が本権の訴えにおいて敗訴したときは、その訴えの提起の時から悪意の占有者とみなす」。では、

「If a possessor in good faith is defeated in an action on the title, he/she shall be deemed to be a possessor in bad faith as from the time when such action was brought.」

この場合は、「悪意」=bad faith (不誠実)とされ、「善意」=good faith(誠実)が使用されています。

同じ「善意」と「悪意」でも、訳出時の使い分け(どれを使うか)を行うには、文章(この場合は法文)の意味正確に把握する必要があり、このあたりが翻訳に際してのむずかしさ(日本語から英語、英語から日本語への翻訳を問わず)がある思うところです。

bona fideに関してざっと見るだけで終わってしまいました。詳しくお知りになりたい場合は、専門書をご覧になるのがよろしいかと思います。bona fide以外にも、いくつか見てみたいラテン語やフランス語などに由来する用語がありますが、次の機会にしたいと思います。

参考図書:

研究社新英和辞典(研究社)

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

JFK-その生涯と遺産展

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国立公文書館において、-ジョンFケネディ大統領の生涯と遺産を160点の貴重な資料と映像でたどる-「JFK-その生涯と遺産」展が3月6日(金)から5月10日(日)まで開催されます。(会期中無休)無料です。開館時間は、午前10時~午後5時30分(金曜日のみ午後8時まで)

桜が咲く時期に、地下鉄竹橋駅から出発して、国立公文書館に入り、ジョンFケネディ大統領の足跡をたどり、その後、皇居東御苑を散策する予定です。

暖かい日もありますが、寒い日がぶり返す時もあり、その後、三寒四温を経て、私の好きな桜の花の季節がやってきます。桜の花をみると、「胸が苦しく」なります。それを聞いた友人が「花粉症だったんだ?」と誤解しましたが、花粉症ではないのです。桜のあまりの美しさ、散り際の良さに感激している私です。

英文契約書の用語、構文(その7)「in lieu of」、「mutatis mutandis」、「pro rata」

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英文契約書(法律文書)の特有の用語・言い回しの一部をなす、いわゆる、リーガルジャーゴン(Legal Jargon)と称されるものの中には(これらの言葉は契約書に限らず、他の分野でもそれなりに使用されますが)、ラテン語やフランス語などからの用語が使われていることがあります。例えば、“pari passu”、“mutatis mutandis”、“in lieu of”、“ipso fact”、“per annum”、“pro rata”、”inter alia”、”force majeure”、“bona fide”等、そのほかにも種々あります。契約書翻訳の観点から見てみます。

今回は、英文契約書でよくみかける「in lieu of」、「mutatis mutandis」、「pro rata」の意味や使われ方についてみてみます。

1. in lieu of(~の代わりに)

英語で言えば「instead of(まれに、in stead ofもあります)」に相当します。英文契約書では、いろいろな場面でかなり見受けられる用語です。

The warranty is in lieu of all implied warranties.

(本保証は、すべての黙示的保証に代わるものである。)

上記のように、損害賠償の規定において、他の救済に代わるすべてであることを確認する場合に、好んで使われることがあるようですが、実際には、すでに述べたようにいろいろな場面で使われます(下記参照、ほんの一例です)。

Order in Lieu of Settlement 和解に代わる決定(民事訴訟法)

Action By Written Consent of the Stockholders in Lieu of Special Meeting

(特別会合に代わる株主の書面による同意による措置)

In lieu of such payment, the Reseller may, at the time the order is submitted, provide the Seller with an exemption certificate satisfactory to the authority imposing the tax, fee or charge.

(当該支払いの代わりに、再販売業者は、注文を行う時点で、売主に税金、料金または科料を課す当局が納得する免責証明書を提出することができる。)

2. mutatis mutandis(準用する)

経験的には、どちらかと言えば契約書よりも、法律やその他の法律文書でよく見かけます。辞書によっては、「必要な変更を加えて」などと記載されていることもあります。

The meetings and proceedings of each committee of directors consisting of 2 or more directors shall be governed mutatis mutandis by the provisions of the Articles regulating me proceedings of directors so far as the same are not superseded by any provisions in the Resolution of Directors establishing the committee.

(2名またはそれ以上で構成される各取締役委員会の会議と手続きは、当該委員会を設置した取締役の決議の条項により、同様な事項が破棄されない限り、取締役(会)の手続きを規律する会社定款の条項を準用する。)

The provisions of the preceding two paragraphs shall apply mutatis mutandis to the cases where the delivery of the currency of a foreign state is the subject of the claim.

前二項の規定は、外国の通貨の給付を債権の目的とした場合について準用する。(民法

Mutatis Mutandis Application of Provisions regarding Gifts and Bequests

贈与又は遺贈に関する規定の準用(民法

3.pro rata(比例して、案分して、割合に応じて)

英語では「proportionally」に相当します。pro rata allocation 「比例配分」のように使われることもあります。

Sellers acknowledge and agree that, each Seller selling Shares and/or Options to Buyer will receive its pro rata portion of the Purchase Price.

以上、契約書翻訳の観点から見てきました。その他のラテン語やフランス語などに由来する用語については、別の機会に見てみたいと思います。

参考図書:

参考図書:

法律用語辞典(有斐閣)、英和大辞典(研究社)、コンパクト六法(岩波書店)、 法令データベース

英文契約書の用語・単語

英文契約書の用語、構文「indemnify and hold someone harmless from」(その6)

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前回取り上げた「indemnify and hold someone harmless from」の続きです。今回は、「indemnify and hold someone harmless from」の意味や使い方について契約書翻訳の観点から簡単にみてみます。

売主「ABC Company (Seller)」と買主「XYZ Company (Purchaser)」間の売買契約における知的財産(例えば、特許、商標等)の保護に関して、「売主の立場」から、売主「ABC Company」が、「販売区域」における知的財産権の侵害に関する責任を負わない場合、例えば「ABC Company shall not be responsible for any infringement regarding patent, utility model, trademark, copyright, or other intellectual property rights in the designated sales territory (hereinafter referred to as “Territory”).」のように記載することがあります。

さらに踏み込んで、売主が「販売区域」における知的財産権の侵害に関する責任を負わないだけでなく、売主「ABC Company」が知的財産権の侵害に関して被った損失を補償する責任までも買主に負担させたい場合、文言、「indemnify and hold someone harmless」の形式(「~から(人)を補償しかつ無害に保つとか、迷惑を一切かけない; 補償する」等の意味)を使い、例えば「XYZ Company (買主) shall indemnify and hold ABC Company (売主) harmless against any infringement regarding patent, utility model, trademark, copyright, or other intellectual property rights in the designated sales territory (hereinafter referred to as “Territory”」とすることがあります。

当然のことながら、このことに関して、買主「XYZ Company」の立場に立って規定する場合もあります。

上記の、売主「ABC Company」と買主「XYZ Company」を入れ替えて、「ABC Company」(売主) shall indemnify and hold XYZ Company (買主) harmless against any infringement regarding patent, utility model, trademark, copyright, or other intellectual property rights in the designated sales territory (hereinafter referred to as “Territory”」とするだけで、売主は、「販売区域」において買主が被った知的財産権の侵害についての損失を補償する責任より広い範囲で負担します。

参考図書:

法律用語辞典(有斐閣)、英和大辞典(研究社)、Oxford Dictionary of English、Collins Consise Dictionary、ビジネス法律英語辞典 (日経文庫)

(イメージは、高知県仁淀川の「にこ淵)

 

 

 

英文契約書の用語、構文「 indemnify and hold someone harmless」 (その5)

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1. 日本の契約書との違い

日本の契約書の違いについて 契約書翻訳の観点から概説します。

日本の契約書では、「本契約に定めなき事項については、甲乙別途協議してこれを定める」等の文章を良く見かけます。もちろん同様の表記が英文契約書でなされていることもあります。

以前にも触れたことがありますが、良く知られているように英文契約書は、書面重視です。その契約に関して、例外事項も含めてすべての事柄を可能な限り、規定し、文章化する傾向があります。

これは、1つには、英米法の「口頭証拠排除の原則(Parol Evidence Rule)」や「最終性条項あるいは完全合意条項(Entire Agreement)」の概念に見られる書面契約-書面の作成を成立の要件とする契約の考え方があるためと言われます。契約における当事者間の権利義務の関係が、かなり厳格に明確化される傾向があります。

契約書にある状況を記載する場合、同じことを書く場合でも、そこに使用されている文言や表見が異なると、その状況に関する権利・義務について、その意味があいまいになったり、明瞭になったり、厳格になったり、その範囲が限定されたり、あるいは、拡張されたり、といったことが起こります。

2. 具体例

売主「ABC Company (Seller)」と買主「XYZ Company (Purchaser)」間の売買契約における当事者間のある知的財産権について記載する場合の一例を作成してみます。

ABC Company shall not be responsible for any infringement regarding patent, utility model, trademark, copyright, or other intellectual property rights in the designated sales territory (hereinafter referred to as “Territory”).

この場合、売主「ABC Company」は、単に「Territory」=「販売区域」における知的財産権についての侵害に関する責任を負わないことになっています。

ところで、英文契約書で良くみかける文言「indemnify and hold harmless」があります。(「indemnify and hold someone harmless」の形式で使われます)辞書を見ると、ざっくりと「~から(人)を補償しかつ無害に保つとか、迷惑を一切かけない」等の意味が書かれています。「hold someone harmless」の部分が単独で使われる場合もあります。これも、「英文契約書における独特の用語、構文」の一例です。

上記の例に、この表現「indemnify and hold someone harmless」を使用してみると、

XYZ Company (買主) shall indemnify and hold ABC Company (売主) harmless against any infringement regarding patent, utility model, trademark, copyright, or other intellectual property rights in the designated sales territory (hereinafter referred to as “Territory”).

となり、買主「XYZ Company」による売主「ABC Company」に対する免責がより明確化され、売主「ABC Company」は、単に「Territory」=「販売区域」における知的財産権についての侵害に関する責任を負わないだけでなく、特に、hold ABC Company harmlessを使用したことで、買主「XYZ Company」は、売主「ABC Company」が知的財産権についての侵害に関して被った損失を補償する責任までも負担することが明文化されます。

これは、売主「ABC Company」の立場に立つ規定です。

当然、逆の場合、買主「XYZ Company」の立場に立った規定の仕方もあります。このあたりは、次で考えて行きたいと思います。

参考図書:

法律用語辞典(有斐閣)、英和大辞典(研究社) コンパクト六法(岩波書店)、Trend (小
学館)、Oxford Dictionary of English、Collins Consise Dictionary、英文契約書の書き
方 (日経文庫)、 ビジネス法律英語辞典 (日経文庫)

英文契約書の用語、構文 「including, but not limited to、subject to等」(その4)

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英文契約書(法律文書)特有の用語・言い回し、いわゆる、リーガルジャーゴン(Legal Jargon)について簡単に述べてきましたが、今回は、慣用句的なものについて簡単に触れてみます。なを、近年、この分野については、優れた専門書も見受けられます。体系的な知識を得たい場合は、専門書を一読されるのが良いと思います。ここでは契約書翻訳の観点から概説します。

今回、例として挙げる「including, but not limited to / include, but is not limited to」または「including without limitation」、「subject to」、「due and payable」、「indemnity hold harmless」 は、英文契約書中でも慣用句的に多く使用されるもののいくつかです。以下に、いくつかの例文を作成してみました。

a.「including, but not limited to / include, but is not limited to」または「including without limitation /including, without limitation 」他

これらは、「~を含み、これらに限定されない」または単に「~等」などと訳されます(訳者により、相違しますが)。

いずれも、ある事柄が適用される状況を例示的に列挙する文章において、例示的に列挙した事例以外の状況が発生した場合に、ある事柄の適用を、列挙した事例のみに限定されることを防ぐ目的です。 例:Confidential information may include, but is not limited to; (i) ABC, (ii) EFG, (iii)HIJ and (iv) KLM. (機密情報とは、以下を含み、これらに限定されないものとする。= 機密情報とは、ABC、EFG、HIJおよびKLMを含み、これらに限定されないものとする。)

例:       The Company shall comply with all applicable laws, rules, statutes, ordinances, and regulations, including without limitation those dealing with consumer transactions.

b. 「subject to」

通常、「~を条件とする」ですが、文章の冒頭、途中、最後で使用します。

いろいろな使い方ができる反面、(日本語にする場合)訳しにくいことがあります。辞書を見るとわかるように「~を条件とする」の他に「~より」、「~に従い」その他、いろいろな言い回しがあります。

例:Subject to the provisions of Section XX of this Agreement, the term of this Agreement shall commence on the Effective Date hereof. (本契約の第21条の条項に従い、本契約の期間は、「発効日」から開始する。) 例:Subject to the termination provisions of Article XX of this Agreement, the term of this Agreement shall commence on the Effective Date and shall remain in effect for three (3) years. (本契約の第XX条の解除規定により、本契約の期間は、「発効日」から開始し、3年間引き続き有効とする。)

例:Renewal of this Agreement shall be subjected to the written agreement of parties hereto. (本契約の更新は、両当事者間の書面による合意を条件とする。)

例:if the obligor has become subject to the ruling of the commencement of bankruptcy procedures, (債務者が破産手続開始の決定を受けた場合、) この場合の「subject to」は、~にさらされている、~に処されている、~を科されている等の用法で、「subject to criminal proceedings」(刑事訴訟を受けている)等、いろいろな場面でつかわれます。

以上、「リーガルジャーゴンの慣用的表現」について簡単に見てみました。なを、 冒頭に記した「due and payable」、「indemnity hold harmless」 につていは、あらためて見て行きたいとおもいます。

参考図書:

法律用語辞典(有斐閣)、英和大辞典(研究社) コンパクト六法(岩波書店)、Trend (小
学館)、Oxford Dictionary of English、Collins Consise Dictionary、英文契約書の書き
方 (日経文庫)、 ビジネス法律英語辞典 (日経文庫)、英文契約書の書き方(日経文庫)他

英文契約書の用語、構文「thereof, thereafter,therein, thereto等」(その3)

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英文契約書で使用される「リーガルジャーゴン」について、契約書翻訳 の観点から概説します。

1. thatにかかわるリーガルジャーゴン

前回、英文契約書(法律文書)特有の用語・言い回しの中から、いわゆる、リーガルジャーゴン(Legal Jargon)と称される用語の内、多く使用されることが多い、「hereto」、「hereof」、「herein」、「hereby」等について書いてみました。これらは、もともとが、「this」の意味を持っています。「this」と比較される言葉として、「that」があります。英文契約書で、「hereof」、「herein」、「hereby」等とともに、頻繁に使われるのが、この「that」の意味を持つ、「thereof」、「thereafter」、「therein」、「thereto」、「thereby」等です。

(ちなみに基本的には「this」は、近くにあるもの(人)を指して「この」、「that」は、離れているもの(人)を指して「その」「あの」の意味があります。)

2. 注意すべきこと

注意することは、「there―」は、前にある言葉や文章を受けて使われるため、どの言葉や文章を受けているのかを確認する必要があります。そのため、自分で英文契約書を作成する場合、なれないうちは、一般的な平易な表現を使うことが良いと思われます。

3. 例文

いくつかの例文を作ってみました。

This Agreement constitutes the entire agreement of the parties with respect to the subject matter of this Agreement and supersedes and replaces all written and oral agreements in respect thereof.

この場合、「thereof」は、前にある「This Agreement」を受け、「 in respect」とつながり「in respect thereof」=「in respect of this Agreement」=「本契約に関する」の意味となります。

(本契約は、本契約の主題に関して各当事者の最終的合意を構成し、本契約に関するすべての書面および口頭による合意に優先し、これらに代わるものとする。)

The effective term of this Agreement shall be the one (1) year period from MM DD 20XX; provided, however, that, if neither of the parties hereto notifies the other party, in writing, of its intent to terminate this Agreement at least six (6) months prior to the expiration of the term hereof, this Agreement shall be renewed for another one (1)-year period and the same shall apply thereafter.

「本契約の有効期間は、200XX年XX月XX日から1年間とする。ただし、本契約の両当事者のいずれも、本契約の期間に満了の少なくとも6ヵ月前に、本契約を解除したい旨を書面により相手方に通知しない場合、本契約は、さらに1年間更新され、その後も同様とする。」

「thereafter」は、辞書にあるように、そのものズバリ「その後(は)」、「それ以降」等となります。

なお、「the parties hereto」と「the term hereof」は、それぞれ「the parties to this Agreement」、「the term of this Agreement」となります。

From the Effective Date and thereafter at all times during the Term, Licensee shall provide and maintain insurance as described in Exhibit A attached hereto and made a part hereof.

「発効日とその後の期間中常に、ライセンシーは、本契約に添付の別紙A(Exhibit A)に記載され、本契約の一部である保険を提供し、維持するものとする。」

If the Premises are totally damaged and are thereby rendered wholly untenantable,

「thereby」=「それにより」、「その結果」、「従って」の意味があります。

この場合、「thereby」は、前にある文章「If the Premises are totally damaged」を受けて、以下のような意味になります。

(本物件が全壊し、また、それにより、全体的に賃貸に適さない場合、………………..)

This Agreement will be governed by and construed in accordance with the laws of the State of California and the federal U.S. laws applicable therein, ………………

「therein」=「その中に」、「その場所に」、「そのときに」等の意味があります。

この場合「therein」は、「その場所において」の意味で使用され、「カリフォルニア州法および同地で適用される米国連邦法に準拠し、解釈されるものとする。」となります。

上記の例は、準拠法条項=契約の解釈のもととなる法律を規定する条項です。

4. 準拠法

準拠法については、契約の当事者間において、各当事者が自国の法律を準拠法とすることを主張するのが一般的ですが、双方の力関係で決定される場合が多く、また、第三国の法律を準拠法として選択する場合など、様々です。

特に、知的財産権(特許、商標、その他)の登録に関する内容を持つ契約では、登録が行われる国の知的財産権に関する法律、会社設立、M&Aに関連する契約の場合など、それらの行為が行われる国の会社法、証券取引に関する法律等が当然に適用されます。

知的財産権に関する法律では、一応、ベルヌ条約(The Berne Convention for the Protection of Literary and Artistic Works)があり、ベルヌ条約に加盟していなくても、世界貿易機関(WTO)加盟国であれば、ベルヌ条約の主要な部分を順守する必要があります(実務的には相当複雑で、色々な問題が起きていますが)。

会社設立、M&Aの場合、適用される会社法、証券取引に関する法律等では、国により、例えば、「会社設立」という同じ種類の行為をするのでも、それに対する規定が日本と異なる場合があり-「時として、ある国の商慣行や言葉(または法律用語等)の概念(意味)が、世界的な商慣行や言葉(または法律用語等)の概念(意味)と異なり、その国独特のものとして存在するなど」-、注意が必要なことがあります。

5. 平易な表現でも可

すでに述べていますが、なれないうちは、一般的な平易な表現を使うことをお勧めします。

リーガルジャーゴン(Legal Jargon)についての内容から、それてしまいましたが、次は、英文契約書における独特の構文について、契約書翻訳の観点から触れてみたいと思います。

参考図書:

法律用語辞典(有斐閣)、英和大辞典(研究社)、 コンパクト六法(岩波書店)、Oxford Dictionary of English、英文契約書の書き方 日経文庫、 ビジネス法律英語辞典 日経文庫、他

 

英文契約書の用語、構文「Legal Jargonについて」(その2)

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1. 英文契約書の独特の用語

英文契約書を読むと、以下の例のような、通常、あまりみかけない用語や構文が眼に入ってきます。これらを契約書翻訳の観点から概説します。

“witnesseth”, “whereas”, “whereof”, “thereof”, “hereof”, “hereby”, “indemnify and hold harmless”, “without prejudice to”, “represent and warrant”, “subject to”, “implied warranty of fitness”, “as is basis”, “pari passu”, “execution of this Agreement”,  “attorney in act”, “covenants and agrees”, “escrow”, “take or pay”, “most favored customer”, “con-sequential damages”, “in lieu of”, “mutatis mutandis”。

いわゆる、リーガルジャーゴン(Legal Jargon)と称されるもので、これらはその一部です。これが使用されるようになった経緯は省きますが、これらの用語は、英文契約書(法律文書)特有の用語・言い回しの一部となり、これが英文契約書のわかりにくさを生じる原因の1つになっているとも考えられます。これは、契約社会とはいえ、時として英米人にとっても、わかりにくさを生じることがあるようです。

余談ですが、実務で英米人と共に英文契約書のドラフティングを行っていた頃、作成した、英文契約書の一文を巡って、その解釈について、米国人弁護士も交えて様々な意見が飛び交うことがよくありました。

2. わかりにくいとされる英文契約書

本来、契約書法律文書は、誰でもその内容を理解できるもの(明確に解釈可能なもの)として作られることが理想であり、そうあるべきです。ただし、現実には、長年の習慣やその他の理由で、相変わらず、英文契約書の多くは、「わかりやすさ」とほど遠い内容が多く見受けられます。米国でも、1970年代に一般人を保護する目的で「契約書をわかりやすく記載する」ことが提唱され、裁判でも支持され、また、一部で立法化もされたようですが、効果のほどは、今一つというのが実感です。特に、金銭面のことを記載した部分は、意図的にわかりにくくしてあるのかと、勘ぐりたくなる英文契約書に内容に遭遇することがあります。

わかりにくいとされる英文契約書ですが、そのわかりにくさの一部を形成するリーガルジャーゴン(Legal Jargon)の意味をとらえることで、英文契約書のわかりにくさの一部がある程度解消されるかもしれません。

3. わかりやすい英語への置き換え

多くの場合、リーガルジャーゴン(Legal Jargon)は、わかりやすい英語(Plain English)に置き換えることが可能です。例えば、「hereto」、「hereof」、「herein」、「hereby」は、辞書等では、一般に「これに・この文書に」、「これの・これに関して」、「ここに・この中に」、「これによって」等(いずれも抽象的ですが)と記載されますが、これらは、下記の例のように、置き換えられます。

「 This Agreement constitutes the entire agreement, and supersedes all prior agreements and understandings (both written and oral) of the parties hereto with respect to the subject matter hereof, and cannot be amended or otherwise modified except in writing executed by the parties hereto.」

(本契約は、最終的合意を構成し、本契約の主題に係わる本契約の当事者間のすべての以前の合意と了解(書面と口頭の双方)に優先し、また、本契約の当事者が書面により履行する場合を除き、修正、または他の方法により変更することはできない。)

上記の場合の「hereto」、「hereof」、は、いずれも「the parties hereto=「the parties to this Agreement (本契約の当事者)」および「the subject matter hereof = 「the subject matter of this Agreement.(本契約の主題)」

「This Agreement replaces and supersedes all prior agreements, documents, writings, verbal understandings and rights between the Parties in respect of the Services, and there are no oral or written understandings, representations or commitments of any kind, express or implied, which are not expressly set forth herein.」

上記の場合の「herein」は、「set forth herein=「set forth in this Agreement(本契約に規定する)」

NOW, THEREFORE, in consideration of the promises, and of the mutual covenants hereinafter set forth, and intending to be legally bound hereby, ………………..

上記の場合の「to be legally bound hereby」は、「to be legally bound by this Agreement本契約により法的に拘束される)」

4. 文脈からの判断が求められる

なを、いずれの場合も、前後の文脈から判断する必要があります。(上記は、サンプルのため、前後の文章が存在するという前提に立っています。また、これらの例は、多くの場合、慣用的に用いられます。)

「Legal Jargon」については、以前と比べると最近は、分かりやすく説明された解説書も出版されています。体系的に把握されたい方は、解説書をご覧ください。

参考図書:

法律用語辞典(有斐閣)、英和大辞典(研究社) コンパクト六法(岩波書店)、Trend (小学館)、Oxford Dictionary of English、Collins Consise Dictionary、英文契約書の書き方 日経文庫、 ビジネス法律英語辞典 日経文庫

英文契約書の時制と厳格で網羅的な表現

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1. 当事者間の権利・義務を規定

英文契約書は、基本的に現在形で記載されています。英文契約書における多くの規定は、当事者間の将来の権利・義務の履行に関するもので、将来におこり得る様々な状況を想定して、これらを「仮定」として列挙し、当事者間の権利・義務を規定するのが一般的な様式です。契約書翻訳 の観点から概説します。

この場合、想定・仮定を述べるために、「If」、「In the event of/that」、「In case」、「In case where」等(他にもいろいろあります。)が使用されます。例えば、

Licensor may resolve this agreement in the event of proven information that:

「ライセンサーは、下記についての証拠となる情報があるときは、本契約を解除することできる。」

In the event of expiration of the present agreement, for any reason whatsoever:

「理由を問わず、本契約が解除された場合は、」

If the other party materially breaches Article 14 or any NDA;

「相手方が、第14条または何らかの機密保持契約に重大な違反を行った場合」

In case the duly authorized officer or officers of the corporation fail to call the special meeting then the special meeting may be called by the stockholder or stockholders or member or members who made the demand, by giving notice in the method provided by the articles of incorporation or bylaws of the corporation.

「本会社の正当に授権された取締役が、臨時総会の招集を履行しない場合、その時点で、臨時総会は、本会社の基本定款または付属定款に規定した方法で行われた通知により、要求を行った株主もしくは社員が召集することができる。」

2. 最近見かける例

  簡単な例ですが、いずれも将来的に想定される状況を記載しています。ただし、日本の契約書によく見られるように、以下の例ように、

Terms and Condition not provided herein shall be separately established based on consultation between the parties.「本契約に定めのない条件については、両当事者間の協議により別途定める。」という条項が記載されている場合も、最近は良く見受けられます。

3. 不確実性の増加

20世紀後半から現在に至る変化の激しい時代、英文契約書の特色の1つである「英文契約書における厳格で網羅的な表現-可能な限りすべての予測される事象を想定する」ことは、なかなか難しくなっているのかもしれません。

参考図書:法律用語辞典(有斐閣)、英和大辞典(研究社) コンパクト六法(岩波書店)、Oxford Dictionary of English、Collins Consise Dictionary 特許庁特許情報プラットホーム