英文契約書の用語、構文「Legal Jargonについて」(その2)

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1. 英文契約書の独特の用語

英文契約書を読むと、以下の例のような、通常、あまりみかけない用語や構文が眼に入ってきます。これらを契約書翻訳の観点から概説します。

“witnesseth”, “whereas”, “whereof”, “thereof”, “hereof”, “hereby”, “indemnify and hold harmless”, “without prejudice to”, “represent and warrant”, “subject to”, “implied warranty of fitness”, “as is basis”, “pari passu”, “execution of this Agreement”,  “attorney in act”, “covenants and agrees”, “escrow”, “take or pay”, “most favored customer”, “con-sequential damages”, “in lieu of”, “mutatis mutandis”。

いわゆる、リーガルジャーゴン(Legal Jargon)と称されるもので、これらはその一部です。これが使用されるようになった経緯は省きますが、これらの用語は、英文契約書(法律文書)特有の用語・言い回しの一部となり、これが英文契約書のわかりにくさを生じる原因の1つになっているとも考えられます。これは、契約社会とはいえ、時として英米人にとっても、わかりにくさを生じることがあるようです。

余談ですが、実務で英米人と共に英文契約書のドラフティングを行っていた頃、作成した、英文契約書の一文を巡って、その解釈について、米国人弁護士も交えて様々な意見が飛び交うことがよくありました。

2. わかりにくいとされる英文契約書

本来、契約書法律文書は、誰でもその内容を理解できるもの(明確に解釈可能なもの)として作られることが理想であり、そうあるべきです。ただし、現実には、長年の習慣やその他の理由で、相変わらず、英文契約書の多くは、「わかりやすさ」とほど遠い内容が多く見受けられます。米国でも、1970年代に一般人を保護する目的で「契約書をわかりやすく記載する」ことが提唱され、裁判でも支持され、また、一部で立法化もされたようですが、効果のほどは、今一つというのが実感です。特に、金銭面のことを記載した部分は、意図的にわかりにくくしてあるのかと、勘ぐりたくなる英文契約書に内容に遭遇することがあります。

わかりにくいとされる英文契約書ですが、そのわかりにくさの一部を形成するリーガルジャーゴン(Legal Jargon)の意味をとらえることで、英文契約書のわかりにくさの一部がある程度解消されるかもしれません。

3. わかりやすい英語への置き換え

多くの場合、リーガルジャーゴン(Legal Jargon)は、わかりやすい英語(Plain English)に置き換えることが可能です。例えば、「hereto」、「hereof」、「herein」、「hereby」は、辞書等では、一般に「これに・この文書に」、「これの・これに関して」、「ここに・この中に」、「これによって」等(いずれも抽象的ですが)と記載されますが、これらは、下記の例のように、置き換えられます。

「 This Agreement constitutes the entire agreement, and supersedes all prior agreements and understandings (both written and oral) of the parties hereto with respect to the subject matter hereof, and cannot be amended or otherwise modified except in writing executed by the parties hereto.」

(本契約は、最終的合意を構成し、本契約の主題に係わる本契約の当事者間のすべての以前の合意と了解(書面と口頭の双方)に優先し、また、本契約の当事者が書面により履行する場合を除き、修正、または他の方法により変更することはできない。)

上記の場合の「hereto」、「hereof」、は、いずれも「the parties hereto=「the parties to this Agreement (本契約の当事者)」および「the subject matter hereof = 「the subject matter of this Agreement.(本契約の主題)」

「This Agreement replaces and supersedes all prior agreements, documents, writings, verbal understandings and rights between the Parties in respect of the Services, and there are no oral or written understandings, representations or commitments of any kind, express or implied, which are not expressly set forth herein.」

上記の場合の「herein」は、「set forth herein=「set forth in this Agreement(本契約に規定する)」

NOW, THEREFORE, in consideration of the promises, and of the mutual covenants hereinafter set forth, and intending to be legally bound hereby, ………………..

上記の場合の「to be legally bound hereby」は、「to be legally bound by this Agreement本契約により法的に拘束される)」

4. 文脈からの判断が求められる

なを、いずれの場合も、前後の文脈から判断する必要があります。(上記は、サンプルのため、前後の文章が存在するという前提に立っています。また、これらの例は、多くの場合、慣用的に用いられます。)

「Legal Jargon」については、以前と比べると最近は、分かりやすく説明された解説書も出版されています。体系的に把握されたい方は、解説書をご覧ください。

参考図書:

法律用語辞典(有斐閣)、英和大辞典(研究社) コンパクト六法(岩波書店)、Trend (小学館)、Oxford Dictionary of English、Collins Consise Dictionary、英文契約書の書き方 日経文庫、 ビジネス法律英語辞典 日経文庫

英文契約書の時制と厳格で網羅的な表現

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1. 当事者間の権利・義務を規定

英文契約書は、基本的に現在形で記載されています。英文契約書における多くの規定は、当事者間の将来の権利・義務の履行に関するもので、将来におこり得る様々な状況を想定して、これらを「仮定」として列挙し、当事者間の権利・義務を規定するのが一般的な様式です。契約書翻訳 の観点から概説します。

この場合、想定・仮定を述べるために、「If」、「In the event of/that」、「In case」、「In case where」等(他にもいろいろあります。)が使用されます。例えば、

Licensor may resolve this agreement in the event of proven information that:

「ライセンサーは、下記についての証拠となる情報があるときは、本契約を解除することできる。」

In the event of expiration of the present agreement, for any reason whatsoever:

「理由を問わず、本契約が解除された場合は、」

If the other party materially breaches Article 14 or any NDA;

「相手方が、第14条または何らかの機密保持契約に重大な違反を行った場合」

In case the duly authorized officer or officers of the corporation fail to call the special meeting then the special meeting may be called by the stockholder or stockholders or member or members who made the demand, by giving notice in the method provided by the articles of incorporation or bylaws of the corporation.

「本会社の正当に授権された取締役が、臨時総会の招集を履行しない場合、その時点で、臨時総会は、本会社の基本定款または付属定款に規定した方法で行われた通知により、要求を行った株主もしくは社員が召集することができる。」

2. 最近見かける例

  簡単な例ですが、いずれも将来的に想定される状況を記載しています。ただし、日本の契約書によく見られるように、以下の例ように、

Terms and Condition not provided herein shall be separately established based on consultation between the parties.「本契約に定めのない条件については、両当事者間の協議により別途定める。」という条項が記載されている場合も、最近は良く見受けられます。

3. 不確実性の増加

20世紀後半から現在に至る変化の激しい時代、英文契約書の特色の1つである「英文契約書における厳格で網羅的な表現-可能な限りすべての予測される事象を想定する」ことは、なかなか難しくなっているのかもしれません。

参考図書:法律用語辞典(有斐閣)、英和大辞典(研究社) コンパクト六法(岩波書店)、Oxford Dictionary of English、Collins Consise Dictionary 特許庁特許情報プラットホーム 

「License Agreement」の翻訳に際しての訳語の一例

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1. 英文契約書の訳語

英・日翻訳全体に言えることですが、英文契約書の翻訳において使用される語句、単語に関して、同じ語句、単語でも複数の訳語が存在する場合が多くあります。例えば、「License」の訳語は、いわゆる「知的財産権」的意味では、名詞としての範囲でも「認可」、「免許」、「許可証」、「ライセンス」、「実施権」、「使用許諾」、「「使用権の許諾」等があり、動詞として範囲では、「許可する」、「認可する」、「免許を与える」、「ライセンスする」、「ライセンスを供与する」等、多々あります。

2. License Agreementを通して見る訳語

知的財産権契約の代表格の1つ「License Agreement」も、「実施権許諾契約」、「ライセンス契約」、「使用契約」、「使用許諾契約」、「許諾契約」等の訳語があります。また、これに関連して、「Licensee」は「実施権者」または「ライセンシー」、「Licenser」には、「実施権許諾者」または「ライセンサー」いずれかの訳語がそれぞれ使用されます。

*「License Agreement」を「License Agreement」ならしめているいくつかの条項があります。中でも重要な条項の1つである「Grant of License」は、「実施権許諾」条項または「ライセンスの許諾」条項として訳されます。この条項では、(1)「ライセンスを供与する実施対象の権利の明示と共に、当該許諾が、(2)「Exclusive(独占的(排他的))」または「Non-exclusive(非独占的(非排他的))」-「Exclusive license(専用実施権)」または「Non-exclusive license(通常実施権)」-、また、(3)当該許諾の対象に関する「Sublicense」―「再実施権」または「サブライセンス」と訳される-の有無等がありますが (これらについては、多くの出版物、解説書等に記載されています)、翻訳の観点からは、いずれの訳語を使用するかを決める必要あります。

3. Grant of Licenseから見た例

この条項「Grant of License」では、
(1)「ライセンスを供与する実施対象の権利の明示と共に、
当該「Grant of License」が、
(2)「Exclusive(独占的(排他的))」である「Exclusive license(専用実施権)」
または「Non-exclusive(非独占的(非排他的))」である「Non-exclusive license(通常実施権)」、また、
(3)当該許諾の対象に関する「Sublicense」―「再実施権」または「サブライセンス」と訳される-の有無等がありますが
(これらについては、多くの出版物、解説書等に記載されています)、翻訳の観点からは、いずれの訳語を使用するかを決める必要あります。

4. 多様な訳語の存在

最近では、内閣府の法令対訳辞書が整備され、この中でNon-exclusive license(通常実施権)とExclusive license(専用実施権)と訳されるように、「License」=実施権として、「License Agreement」は、「実施権契約」とし、「Licensing Agreement」を「実施権許諾契約」とするのが適当かもしれません。

ただし、「License Agreement」=「ライセンス契約」の名称も広く使われ、ことに、長年「License Agreement」=「ライセンス契約」の名称を使用してきたお客様も多く、この場合、契約書本文中でも、「ライセンス」、「ライセンスを供与する」、「ライセンスを許諾する」、「Licensee」=「ライセンシー」、「Licenser」=「ライセンサー」等の表記となることがあります。

また、End User 向けの「Software License AgreementまたはSoftware Licensing Agreement」は、「ソフトウェアライセンス契約」、「ソフトウェア利用許諾契約」または「ソフトウェア使用許諾契約」等の表記が多く使用されていますが、企業ごとに異なります。

そのため、翻訳開始前に、お客様には「License」を「ライセンス」、「実施権」または「使用許諾」等から、どの表記を使用するかを確認させていただいております。なを、「Licensee」、「Licenser」は、日本語化しているようで、多くの場合、「ライセンシー」、「ライセンサー」として使用しています。

参考図書:法律用語辞典(有斐閣)、英和大辞典(研究社) コンパクト六法(岩波書店)、Trend (小学館)、Oxford Dictionary of English、Collins Consise Dictionary   ビジネス法律英語辞典、 特許庁特許情報プラットホーム日本法令外国語訳データベースシステム、他

英文契約書の用語(Proprietary RightsとIntellectual Property Rights)その1

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1. 拡大する知的財産権の適用範囲

近年、周知のようにライセンス契約において法的保護の対象となる知的財産権の範囲は、拡大傾向にあり、その代表格である、Patents(特許権)に加え、Copy rights(著作権)、Trademarks(商標権)、Designs(意匠権)、Trade Secret (トレードシークレット)等、その他多くの分野に拡大されています。当然、英文契約書にも知的財産権に関する記述が多く含まれています。例えば、、(Patents(特許権)に代表される)「Intellectual Property Rights」(知的財産権)は、定義条項において定義されます(その都度の定義する場合もあります。)。

「Intellectual Property Rights」の他に、近年、知的財産権に関して多く使用される用語に「Proprietary Rights」があります。辞書を見ると「所有権」となっている場合が多く(実際「所有権」なのですが)、この「Proprietary Rights」という用語、「知的財産に関する法律により保護される、ありとあらゆる種類のその物に対する財産的権利(登録済みまたは出願中にかかわらず)を含みます。」

2. 具体的ないくつかの例および訳語について

例えば、

例1)Intellectual Property means all proprietary rights, including patents, copyrights, trade secrets and proprietary information.

「知的財産とは、特許、著作権、トレードシークレットおよび機密情報を含む、すべての所有権を意味する。」

別の例では、

例2)In this agreement, Intellectual Property means statutory and other proprietary rights in respect of copyright and neighboring rights, all rights in relation to inventions (whether patentable or not), patents, plant varieties, registered and unregistered trademarks, registered and unregistered designs, circuit layouts and Confidential Information and other rights arising from intellectual activity in the industrial, scientific, literary or artistic fields but does not include moral rights that are not transferable.

「本契約においては、「知的財産」とは、著作権と隣接権、発明(特許性のある、なしを問わず)、特許、植物種、登録済みと未登録の商標、登録済みと未登録の意匠、回路レイアウトと機密情報に関連するすべての権利、および工業、科学、文学または芸術分野における知的活動から生じたその他の権利に係る制定法上の権利とその他の財産権を意味するが、これには、譲渡可能でない著作者人格権は含まれない。」

(以前は、Patents それ自体を「知的財産権」として定義した契約も見受けられました。)

また、以下のような例もあります。

例3)copyrights, trade secrets, trademarks, patents, inventions, designs, logos and trade dress, moral rights, mask works, rights of personality, publicity, and privacy, rights in customer information, rights (if any) in domain names, and any other intellectual property and proprietary rights;

「著作権、トレードシークレット、商標、特許権、発明、意匠、ロゴとトレードドレス、著作者人格権、マスクワーク、人格権、広報、プライバシー、顧客情報の権利、(該当する場合)ドメイン名に関する権利、および他のすべての知的財産権と所有権」

この場合は「proprietary rights」=「所有権」と訳し、問題はないのですが、すでに述べたように「Proprietary」は、「知的財産に関するあらゆる種類の財産的権利」の意味を含んでいます。その意味では、他に何か適切な訳語、例えば、例3)の場合など、分かりやすさという観点から、文脈により「あらゆる種類の財産的権利」等もあながち誤ってはいないかもしれません。

その他「Proprietary」自体の訳語としては、辞書によっては、形容詞として「独占の」、「専売の」、「占有の」、「特許で保護された」、「著作権のある」などとされます。辞書を見ると、「proprietary name (特許登録名、商標名)」、「proprietary technology(特許技術)」等の例が見られます。

なを、IT関連などでは、「proprietary(プロプライエタリ)」= 製品、システムの仕様、規格、構造等が独占的に保持され、公開されていないものとして、「Open」の反意語として、例えば、「proprietary software(プロプライエタリソフトウェア)」などとして、カタカナ読みで用いられる場合もあります。

英文契約書に記載される知的財産権の内容は多岐にわたり、上記の内容はごく一部に触れただけです。機会があれば、知的財産権に関するその時々のトピックスも吐露上げてみたいと思います。

 

参考図書

  • 法律用語辞典(有斐閣)
  • 英和大辞典(研究社)
  • コンパクト六法(岩波書店)
  • Trend (小学館)
  • Oxford Dictionary of English
  • Collins Consise Dictionary
  • ビジネス法律英語辞典
  • 特許庁特許情報プラットホーム

英文契約書の知的財産権契約

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1. さまざまな知的財産権契約

ここ数年、弊社で扱う契約書翻訳で多いのが、知的財産権契約に関する翻訳です。知的財産権契約の代表格は、ライセンス契約ですが、ライセンス契約の他にも知的財産権契約には様々な種類があります。

ちなみに弊社で扱った知的財産権契約関連の翻訳でも、様々な契約があり、その一部を見ると、例えば、ライセンス契約を含めて、以下のようなものがありました。(知的財産権に関する契約は、下記のほかにも多々あります。)

  • ライセンス契約(ソフトウェア、特許、商標、意匠、ノウハウ、ソフトウェア、  ウェッブサイト、トレードシークレット等に関する契約)
  • 新製品の研究開発に関する受託、委託、共同研究・開発契約等
  • 映画、TV、音楽の放映権、放送権、その他に関する契約
  • 映画、TV、音楽、ゲーム等の事業に対する投資、資本提携に関連する契約
  • 映画、TV、ゲーム等のキャラクターに関する契約(商品化、ライセンス等)
  • 知的財産権の譲渡契約
  • 知的財産権のエスクロウ契約
  • 知的財産権に関する機密保持契約
  • 出版に関する契約

2. 最近の知的財産権契約

その他、ブランドの使用にかかわる契約、サービス契約、知的財産の産学共同開発など、近年における知的財産権の強化、保護の傾向が、弊社で扱う契約書翻訳の種類・内容にも表れているかもしれません。例えば、近年、販売店契約、代理店契約、業務委託契約等、直接、知的財産権にかかわらない契約でも、知的財産権の保護に関する記載がより詳細になり、また、知的財産権の保護に関するいくつかの条項が設けられています。

知的財産権に関連する契約分野は、一般に、他の契約分野と比較すると複雑かつ多彩な内容から構成される場合も多く見られ、また、その時々の最新の技術、製品等を扱うもの等、翻訳に際しても、より一層の注意が必要とされます。

参考図書:法律用語辞典(有斐閣)、英和大辞典(研究社) コンパクト六法(岩波書店)、Trend (小学館)、Oxford Dictionary of English、Collins Consise Dictionary   ビジネス法律英語辞典、特許庁 特許情報プラットホーム

 

口頭排除の原則(Parol evidence rule)と最終性条項(Entire Agreement)

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1. 書面重視の考え方

英文契約書では、口頭排除の原則(Parol evidence rule)、最終性条項または完全なる合意といわれる(Entire Agreement)における書面重視の考え方、習慣等から、一般に、その内容は厳格かつ網羅的になる傾向(考え得るすべての事項を可能な限り取り決める)があります。契約書翻訳の視点から簡単に見てみます。

そのため、契約書作成に至るまでの文書、口頭における当事者間の了解事項は、すべて契約書に集約され、当事者間の最終的な合意を記載した唯一ものとして契約書が作成されます。

2. 書面重視の考え方の一例

「Entire Agreement」に関する記載の様式は、様々ですが、以下は、基本的な一例です。

This Agreement constitutes the entire agreement between the parties with respect to the subject matter hereof.
(本契約は、その主題に関して両当事者間の最終的合意を形成する。)

また、以下の例文は、口頭排除の原則(Parol evidence ruleを確認する記載のある1例です。

This Agreement constitutes the entire agreement between the parties pertaining to the subject matter hereof, and supersedes in its entirety any prior or oral agreements between the parties.

(本契約は、本契約の主題に関して、両当事者間の最終的合意ならびに了解を形成し、あらゆる種類の、口頭もしくは書面によるいかなる表明、条件、了解もしくは合意も、本契約に明示的に規定される以外、両当事者を拘束することはない。)

3. 当事者間の合意による変更

当然、これを変更する場合、当事者間の書面による合意が必要です。その場合、1例として通常、下記のような内容が追加されます。

No modification of this Agreement shall be binding unless executed in writing by both parties.

(本契約のいかなる変更も、両当事者の署名のある書面によりなされない限り、拘束力を有しない。)

上記については、各契約により、また起草者により書き方は様々ですが、基本的な考え方は同じです。

参考図書:法律用語辞典(有斐閣)、英和大辞典(研究社) コンパクト六法(岩波書店)、Trend (小学館)、Oxford Dictionary of English、Collins Consise Dictionary   ビジネス法律英語辞典 他

 

英文契約書における厳格で網羅的な表現

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1. 英文契約書に多く見らえる厳格で網羅的な表現

英文契約書を日本語に翻訳する場合、日本語の契約書とはその性質が基本的に異なります。英文契約書の性格の1つとして、すべての事柄について、あらゆる状況を想定し、例外の状況にも対応した文章とし、あいまいさを避けるために複数の同じ意味合いの言葉を使用し、さらに、一文にいろいろな条件・状況の設定を盛り込んでいる場合があります。

これらは、英米法の口頭排除の原則(Parol evidence rule)、最終性条項または完全なる合意といわれる(Entire Agreement)における書面重視の考え方、習慣等によるされます。一般に、英文契約書において可能な限り、考えられるすべての事項につき文章化することを行います。そのため、表現が厳格で網羅的な内容になるため、1つの文、条文が長くなり、契約書全体も長いものになります。

2. 日本の契約書の例

一方、日本で通常作成される国内用の契約書では、多くの場合、「本契約に特段の規定がない場合、別途協議の上取り決める。」等の1文を加えることでこの問題に対応しています。

3. 厳格で網羅的な表現と包括的表現

契約書ではありませんが、1つの例として、古代ローマのクィンクテウス法の中にある水道の棄損と修復の関する規定は、「何人も、悪意により、水あるいは水の一部分がローマ市に通じ、落下し、流入し、到達し、導入すること等を不可能にする目的をもって…(中略)…穴をあけ、または破壊し、もしくは穴を開けさせ、または破壊せしめ、あるいは損害を加えたものは…(中略)…および何であれこれを行った者は、修理、改造、修復、建築、建設、建造、[建てたもの]の破壊等の行為等をすべて行うべき責を負わなければならない。」とあります。

一方、日本の、刑法第147条は、「公衆に供給する飲料水の水道を損壊し、又は閉塞した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。」となっています。

前者の考え方は、考えられる具体的な例示、事由の列挙、義務・責任範囲の明示等を予め規定することで、物事を円滑に進めることができるかもしれません。一方、文章としては、複雑で平明さを欠きます。

後者は、一般的かつ包括的表現をとっていますが、抽象的であるため、個々の具体的な事件については、相応な解釈を必要とされることがあります。

ただし、いずれが良いのかは、判断できません。

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販売店契約と代理店契約

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販売店契約と代理店契約の違い

1. リスク負担による違い

弊社で取り扱う英文契約書翻訳の中で、知的財産権関連の翻訳に次いで多く取り扱っている分野です。

一般に、海外で商品を販売する場合、輸出先の国に現地法人、現地営業所または販売代理店を置きます。海外の企業が日本で商品を販売する場合も同様です。

この時、「販売代理店契約」と総称される契約を締結しますが、一般には、販売店契約(Distributorship Agreement)と代理店契約(Agency Agreement)の2種類があります。この違いは、主としてリスク負担の問題です。

2.代理店契約とは

一般に、代理店契約(Agency Agreement)は、海外で商品の販売を意図する企業(本人:Principal)のリスク負担により、顧客に商品が販売され、当然、商品の売買契約は、その企業(本人:Principal)と顧客の間に締結されます。

代理店(Agent)は、販売実績に応じて、販売手数料(Commission)を受け取りますが、販売代金の回収責任や販売した商品に問題がある場合の責任も、その企業(Principal)が負担し、代理店(Agent)は、取次を行うだけです。従って、代理店(Agent)が商品の顧客と売買契約を結ぶ場合も、代理店(Agent)は、on behalf of Principal (本人を代理して)として契約に署名します。

3. 販売店契約とは

販売店契約(Distributorship Agreement)では、商品に関して、その企業(Principal)と販売店(Distributor)間で売買契約が締結され、販売店(Distributor)は、顧客と売買契約を結んで、その商品を顧客に販売します。販売代金の回収責任は、販売店(Distributor)が負います。

販売手数料(Commission)の収受方法の取り決め、その他法的規制を課せられる場合がある販売代金の価格設定(再販価格)の問題等、調整が必要な部分も多々ありますが、いずれにしても、「代理店」と「販売店」は明確に区別されます。(日本の、販売代理店、代理店、特約店等は、「代理店」なのか「販売店」なのか、性格があいまいな場合があります。)

なを、販売店契約(Distributorship Agreement)と代理店契約(Agency Agreement)において、当該販売地域における代理店(Agent)または販売店(Distributor)が独占的な場合、それぞれ、Exclusive Distributor(一手販売店)とSole Agent(総代理店)と称するのは、ご存じのとおりです。また、両者には、それぞれいくつかの特有な条項があります。

販売店契約と代理店契約の「リスク負担による違い」を簡単に見てみました。販売店契約と代理店契約の法律的な見方による違い」については、こちらをご覧ください。

 

参考図書:法律用語辞典(有斐閣)、英和大辞典(研究社) コンパクト六法(岩波書店)、Trend (小学館)、Oxford Dictionary of English、Collins Consise Dictionary   ビジネス法律英語辞典 他

英文契約書の前文

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1. 英文契約書の形式

英文契約書は、レター形式等のインフォーマルなものから、伝統的なフォーマルな形式のものまで様々です。

2. 英文契約書の前文

フォーマルな形式の英文契約書の前文に関してよく目にするものとして、例えば、以下の様なものがあります。(ここでは売買契約書を例にとります。)

This AGREEMENT, made and entered into this first day of June, 2014, by and between:
(1) ABC Corporation, a company organized and existing under the laws of the state of California, and having its principal office at xxx, Los Angeles, California 94100, U.S.A. (hereinafter called “ABC”), and
(2) XYZ Company, a company organized and existing under the laws of Japan, and having its principal office at xxx, 1-chome, Kunitachi City, Tokyo 186-0001, Japan (hereinafter called “XYZ”),

WITNESSETH:

WHEREAS, ABC desires to sell to XYZ certain products hereinafter set forth; and
WHEREAS, XYZ is willing to purchase from ABC such products.
NOW, THEREFORE, in consideration of the mutual agreements contained herein, the parties hereto agree as follows:

通常の英文とは趣を異にする部分もありますが、この場合は、頭書、契約日付、当事者名、その所在地、説明条項(これは、WITNESSETH 以下の部分です。)など基本的な事柄を記載してあるだけです。

なじみがないため、読みにくいと思われます。その理由は、例えば、「made and entered into」と「by and between」のような慣用句があります。簡単に言えば、「made and entered into」(締結された)と「by and between」(両社間において)という意味です。要は、ABC社とXYZ社の間に2014年6月1日に契約を締結したという内容が書かれているだけです。

なお、各社名の後ろには、例えば、ABC社の場合、「カリフォルニア州法により設立され、存続しており、記載の住所に主たる事業所(または、営業所)を有する」旨が記載されています。XYZ社も同様です。

いずれも慣用的な言い方で、慣れればそれほど難しいものではありません。

3. 「WITNESSETH」について

「WITNESSETH」は、以下を証する(証明する)の意味です。これは、「WHEREAS」と結びついて、その契約を締結するに至った経緯と契約が何を意図しているかを記載しています。一般的に「説明条項」と言われています。

この中で、「Consideration」という言葉は、一般に、約因と訳されます。ご存知の方も多いと思いますが、改めて確認のために申しあげれば、英米法に特有な概念で、契約が有効に成立するためには、契約が捺印証書(Deed)により作成されているか、あるいはその約束が「Consideration」によって支えられている必要があります。(「Consideration」とは、約束者がその約束の交換に、受約者から受け取る利益、または受約者が約束者からの約束と交換に負担する不利益とされます。)

Give and takeの関係が契約書に明示されている場合は、その契約書(レター形式の場合など)に「in consideration of」という文言が使用されていなくても問題はないとされます。

参考図書:法律用語辞典(有斐閣)、英和大辞典(研究社) コンパクト六法(岩波書店)、Trend (小学館)、Oxford Dictionary of English、日本法令外国語訳データベースシステム他

 

正確な翻訳について

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1. 原文に忠実で正確な翻訳

契約書、技術文書の場合、あくまでも「原文に忠実で正確な翻訳」が求められます。理由の1つとして、基本的に、特に、契約書、技術文書では、翻訳会社は、内容の解釈を行わないと考えるからです。

2. 他の翻訳分野との相違

この点が、他の翻訳分野、例えば、文学作品等とは異なる部分です。これは、文学作品等の翻訳が、「原文に忠実で正確」でないという意味ではありません。契約書、技術文書の場合、一例をあげれば

  • 翻訳者のイマジネーション
  • 創造力
  • 人生観

等が介在する余地がないという意味です(これについて、深く掘り下げることはしません)。

原文に忠実で正確な翻訳」といっても、契約書、技術文書の中には、原文自体に誤記、文章の欠落、不完全な内容等、原文自体に問題がある場合が、時として、見受けられます。特に、草稿段階の契約書、中でも、同じ契約書を相手方、地域により微妙に修正して使い分けているものや、契約書の起草者自身の考えがまとまっていない内容のもの、全体の整合性がないもの等、色々なパターンに遭遇します。実際、よほど慣れていないと、注意しても、これらに気が付かないような事案があります。

このような場合、問題がある部分を「原文に忠実で正確な翻訳」した上、問題部分をお客様にお知らせしております。

その他 FAQその他のご質問、Q3」もご覧ください。