契約書翻訳

英文契約書の用語(単語編)di-di(No.28)

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英文契約書翻訳に携わる中で、経験上、よく目にしたり、よく使われたり、または知っておいて損はないと思われる単語と用語について、契約書翻訳の観点から簡単な例文を作成してその用例(一部ですが)を見てみます。今回は、「disciplinary」と「disclaim」について、簡単な例文を作成してその用例(一部ですが)を見てみます。

1. disciplinaryについ

英文契約書では、それほど目にする機会がある単語ではありませんが、就業規則や組織運営に関する文書またはその他法律文等で、経験上、disciplinary disposition、disciplinary measure、disciplinary action、disciplinary sanction等として「懲戒処分」、「制裁措置」等の意味で使われる場合が多く見受けられます。名詞は、「discipline」。

英文契約書での使用については、以下のような例文を作成してみました。

The customer has no disciplinary power over the contractor’s employees assigned to perform this Project.(顧客は、プロジェクトを履行するために配属された請負業者の従業員に対する、いかなる懲罰的権限も有しない。)

The contractor shall perform hiring, training, discipline, discharge, payroll, and supervision for the contractor’s employees.(請負業者は、請負業者の従業員の雇用、トレーニング、訓練、退職、給与計算、および監督を行う。)

いずれにしても知っておいて損はない単語です。

2. disclaimについて

辞書を見ると、権利放棄、責任を否認、請求権の放棄をする等の意味が記載されています。

もちろん何かについての権利放棄等の意味でも使用されますが、英文契約書では、例えば、「商品・サービス等の保証」に関する規定等で使用されます。これらは、単に「Warranty」とか「Disclaimer of Warranties」などの表題が付けられている場合があります。また、さらに広義の損害賠償についての免責を規定することに使用される場合もあり、そのものズバリで「Disclaimer」という表題の条項を設けることも見受けられます。

以下は、商品に関する免責について以前作成した例文です。

「XXX expressly disclaims any implied warranties, including implied warranties of merchantability or fitness for a particular purpose.」(XXXは、商品適格性または特定目的に対する適合性に関する黙示的保証を含む、いかなる黙示的保証も明示的に放棄する。)

「商品等の保証」に関する規定については、以前にも、「defect」と「fee from …..」等に関する項目でとりあげたことがあります。

なを、Some states do not allow exclusions of an implied warranty, so this disclaimer may not apply to the customer……….(幾つかの州においては、黙示的保証の除外を許可していないため、本免責条項は、お客様に適用されない可能性があり…….)など場合もあり、注意が必要です。

参考図書:

英和大辞典(研究社) コンパクト六法(岩波書店)、Oxford Dictionary of English

 

皆様、良い日々をお過ごしください。

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平成から令和となり、かつてない10日間の休日となっております。それでも休日返上で働いておられる多くの方たちがいらっしゃるのも事実です。いずれにしてもこの期間、皆様、良い日々をお過ごしください。

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契約書翻訳

英文契約書の用語(単語編)di-di(No.27)

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英文契約書において経験上、よく目にしたり、よく使われたり、または知っておいて損はないと思われる単語と用語について、契約書翻訳の観点から簡単な例文を作成してその用例(一部ですが)を見てみます。今回は、主に「disability」と「discharge」について、簡単な例文を作成してその用例(一部ですが)を見てみます。

1.「disability」について

意味としては、「無能、無力、(法律上の)行為無能力、障害」等、ネガティブな感じの単語です。

英文契約書の中での用いられ方に関しては、例えば、以下に作成した例文のように、契約の解除要件の1つとしてあげられる場合などがあります。

No disability, restriction or prohibition affecting its ability to execute this Agreement shall exist.

(本契約を履行する能力に影響を及ぼす障害、制限または禁止は存在しない)

ただし、個人的な印象としては(あくまでも個人的な)、通常の契約書よりも、むしろ就業規則とか労務契約あるいは保険関連の契約、その他委任状等、様々な翻訳に際して登場する単語です。以下に作成した例文で見てみます。

Disability” shall mean a condition that renders an individual unable to engage in substantial gainful activity by reason of any medically determinable physical or mental impairment.

(「障害」とは、医学的に診断可能な身体的もしくは精神的欠陥事由により、実質的な報酬を受ける業務に従事することが不可能である状態を意味する。)

This power of attorney shall be exercisable notwithstanding his or her subsequent disability or incapacity.

(この委任状は、その後の障害または無能力にかかわらず、行使可能です。)

そのほか、以下のような例もあります。

With respect to any person who constantly lacks the capacity to discern right and wrong due to mental disability,(精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、)(民法

2.「discharge」について

名詞としての「discharge」は、通常「排出」、「放電」、「荷卸し」、「解雇」等の意味で用いられる場合が多いようです。

例えば、This plant discharges industrial waste into a river in violation of the laws.(この工場は、法律に違反して産業廃棄物を河川に排出しています。)

英文契約書の例文を1つ作成してみました。

Even a person who is discharged by a violation of this Agreement may seek relief based on the laws and regulation of Japan.

(本契約に違反して解雇された者でも、日本の法令に基づき救済を求めることができます。)

ただし、「discharge」には、「(義務の)履行」、「免責」等の意味でも用いられます。そのため「discharge」を「排出」、「放電」、「荷卸し」、「解雇」等の意味(何かを外に出すような感じで)のみで捉えていると和文英訳の場合、誤訳を生じる可能性もあります。ここでは、「(義務の)履行」の意味で使用されているdischargeの例文を作成してみました。

The Contractor shall perform and discharge its duties under this Agreement.

(契約者は、本契約に基づきその義務を遂行し、履行するものとします。)

The termination of this Agreement shall not discharge either of the parties from its obligations nor shall it discharge the responsibility of a party who violates the terms and conditions hereunder.

(本契約の終了は、いずれの当事者からもその義務を免除するものではなく、また本規約に違反する当事者の責任を免除するものでもありません。)

なを、この場合、「discharge」の代わりに「exempt」を使用し、「exempt from person xxxx」 というような形式を用いて書き換えることもできます。むしろ「exempt」を使用するほうが一般的かと思われます。この用例については、「exempt」、「exemption」を取り上げる際に改めて見てみたいと思います。

そのほか「discharge」は他の語と組み合わせて、以下のような用語を作ります。

discharge of duties(義務の履行)、discharge of the obligation (債務の弁済)

参考図書:

  • 法律用語辞典(有斐閣)
  • 英和大辞典(研究社)
  • コンパクト六法(岩波書店)
  • Trend (小学館)
  • Oxford Dictionary of English
  • 日本法令外国語訳データベースシステム他

 

英文契約書の用語(単語編)de-di(No.26)

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英文契約書翻訳に携わる中で、経験上、よく目にしたり、よく使われたり、または知っておいて損はないと思われる単語と用語について、契約書翻訳の観点から簡単な例文を作成してその用例(一部ですが)を見てみます。今回は、主に「destroy」、「deviation」、「diligence」について簡単な例文を作成してみました。

depredation 略奪行為、破壊、損傷
deputy 代表者、代理人、役職の代理
derivative action/derivative suit 株主代表訴訟
derivative possession 代理占有
derogate 害する、損害を与える
descendant 子孫、卑属
descent and distribution 法定相続
desegregation 人種差別撤廃、人種に基づく隔離の撤廃
desert maliciously 悪意で遺棄する
desertion 職務放棄、遺棄
design 意匠、意匠権
design patent(意匠特許)
designation 指名

designated attorney(指定弁護士)、

designated guardian (指定後見人)、designated shares in succession(指定相続分)

destroy 破壊する、滅失する、駆除する、壊す

destroy evidence (証拠を隠滅する)、destroy the proof (証拠を隠滅する)

この単語については、一例として、以下に作成した例文のような状況で使われているのをよく見かけます。

If this Agreement is terminated, the Receiving Party shall immediately return or destroy the Disclosing Party’s Confidential Information.

(本契約が解除された場合、受領当事者は、開示当事者の機密情報を直ちに返還または破棄する)ただし、破棄の具体的な方法や、実際に破棄したことを示す証拠を提出する等まで書かれたものは、以外と少ない感じを受けます。

destruction 書類・物の破棄、destruction of a thing(器物損壊)、destruction or alteration of evidence(罪証隠滅)、
detainer 動産の不法留置、抑留
detention 留置、抑留、拘置
detriment 不利益、損傷、有害
deviance 逸脱行為
deviation 逸脱、偏差
良く目にする単語の1つです。例えば、以下に作成した例文のような形で使われることがあります。

Product with deviating from the specification thereof may only be delivered after obtaining a written approval of the purchaser.

(仕様外の製品は、買主の書面による承認を得た後に納品できる)

…..when there has been any deviation from said documents, assessing the contents of the deviation and taking necessary measures.(…..当該文書からの逸脱が生じた場合には、その内容を評価し、必要な措置を講ずること。)
食品衛生法施行規則

device 工夫、考案、装置
devise 遺贈、[動]工夫する
devisee 受遺者
dictum 判決の傍論、判決の付随意見
deductible 免責(保険金の免除)
diligence 注意、勤勉、注意義務
この単語には、「due diligence」、「reasonable diligence」(適切な(相当な)配慮)等の慣用的な、以下に作成した例文のような使われ方もあります。なを、「due diligence」は、「デューデリジェンス」として日本語でも使用されています。

Services under this Agreement shall be carried out based on a high level of skill and due diligence.(本契約に基づくサービスは、高度な技術と適切な注意に基づき実行される)

ここで取り上げたのは、一部の単語です。このほかにも多くの単語や用法があります。単語」の範囲も、主に、いわゆる民事、特に契約書で良く使用されるものとしました。

「単語」について正確に知る必要がある場合、辞書や専門書をご覧ください。

本ブログの参考図書:

「and/or」について

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以前、「英文契約書における「and/or」」というブログを掲載したことがあります。英文契約書の「and/or」の使用と訳し方についての、当方なりの考えを書いたものです。ご覧いただく方も、そこそこおられるようで、Google検索では、あるキーワードでは、弊社のホームページよりも、上位にあることがあります。以前にもたびたび、あるブログの記事が弊社のホームページよりも上位に来たことが何回かあり、興味深く拝見しています。

いずれにしても、「英文契約書における「and/or」」について、興味をお持ちの方がおられるようなので、改めて以下にリンクをご案内させていただきます。

英文契約書における「and/or

なを、これは、「and」と「or」の基本的概念について書いたものではありません。「英文契約書における「and/or」」の訳し方について、当方の考え方の一部を述べたものです。正確なところをお知りになりたい場合、文法書、辞書等による確認をお勧めします。

参考図書:

研究社新英和辞典(研究社)

ランダムハウス英和大辞典(小学館)他

英文契約書の用語(単語編)de-de(No.25)

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英文契約書翻訳に携わる中で、経験上、よく目にしたり、よく使われたり、または知っておいて損はないと思われる単語と用語について、契約書翻訳の観点から簡単な例文を作成してその用例(一部ですが)を見てみます。今回は、主に「Deposit」について簡単に見てみます。

demise (企業等の)活動停止、倒産、消滅、崩御、逝去、死去、賃借権の設定、財産移転・譲渡

demised premises(賃貸物件、譲渡物件)

demurrage 超過割増金、船舶停泊料金、滞船料
demurrer 妨訴抗弁、法律効果不発生答弁、異議
denial 否定、否認、拒否、
denounce 非難、契約等の破棄通告、告発する
denunciation 条約の破棄
dependent 非扶養者、従属物
deponent 供述者
deportation 国外追放
depose 宣誓証言する、証言する
deposit 手付金、預金、供託、内金、敷金、保証金、保管

deposit account(預金口座)、deposit office(供託所)、depositary(受託者、保管場所)、depositary receipt(預託証券)、deposited articles/deposited things(供託物)

certificates of deposit(預金証書)

「deposit」についての説明をブログの終わりに記載しました。

deposition 宣誓証言、宣誓証書、証言録取、罷免、廃位、
depositor 寄託者、供託者
depository 保管所、貯蔵所、倉庫、保管人

「Deposit」について

1. 「Deposit」は、いろいろな場面で使用されます。

「Deposit」は、例えば、銀行に預金する(I deposit my money in the bank)や敷金2か月分の家賃をして支払う(I deposit a rent of two months)など、日常生活でも使用される用語です。

2. 英文契約書でも、「Deposit」は、供託、内金、敷金、保証金等の意味でいろいろな場面で使用されます。以下に例文を作成しました。

Cash equivalents shall consist primarily of money market instruments and certificates of deposit.(現金相当物は、主として、金融市場証券及び預金証書で構成される)

If Party A fails to hand over the land to Party B after Party B has transferred the Deposit, Party A shall be imposed the penalty in the amount twice as much as the Deposit paid by Party B to Party A,

(BがDepositを振り込んだ後、Aが土地を引き渡さない場合、Aは、BがAに支払ったDepositの2倍の額のペナルティを科される)

す。

The Deposit will be automatically converted into the first payment of the land rent.(Depositは、自動的に土地の賃料の最初の支払いに充当される)

3. 「Deposit」の訳出には、注意が必要

上記に作成した例文にように、経験的には、不動産の賃貸借契約で見え受けられるケースが多いのですが、金融商品その他投資に関する契約ほかでも多くの場合に使用されています。特に、金融商品その他投資等に関する契約では、「Deposit」についての記述内容は、複雑なケースが多く、注意が必要です。率直なところ、一読しただけでは、わかりにくい表現をしている場合が多いということです。

ここに記載してない単語、用例も多くあります。さらに詳しくお知りになりたい場合は、辞書、専門書をご覧ください。
「単語」の範囲も、主に、いわゆる民事、特に契約書で良く使用されるものとしました。

参考図書

  • 法律用語辞典(有斐閣)
  • 英和大辞典(研究社)
  • コンパクト六法(岩波書店)
  • Trend (小学館)
  • Oxford Dictionary of English
  • 日本法令外国語訳データベースシステム他

英文契約書の用語(単語編)de-de(No.24)

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英文契約書翻訳に携わる中で、経験上、よく目にしたり、よく使われたり、または知っておいて損はないと思われる単語と用語について、契約書翻訳の観点から簡単な例文を作成してその用例(一部ですが)を見てみます。今回は、主に「Delivery」と「Demand」について簡単に見てみます。

deliberate 故意の、熟慮した、熟慮する、審議する

印象的には、deliberate inaction(故意の不作為)、deliberate crime(故意の犯罪)、 deliberate behavior(意図的な行為)などの形でも良く使われているようです。

例えば、「After the subject matter is delivered to XXX, YYY shall be only liable for damages to it if it is caused by gross negligence or deliberate behavior of YYY」(目的物がXXXに引き渡された後、YYYは、それがYYYの重大な過失または故意の行動によって引き起こされた場合に限り、それに対する損害について責任を負う。)

deliberation 審議、熟慮
delinquency 滞納、支払の遅滞、不履行、過失、義務違反、懈怠、非行

tax delinquency(税金の滞納)、
disposition of delinquency(滞納処分)、delinquency charges(延滞金)など債務不履行に関する意味で良く使われています。

Demand and Disposition for Delinquency(督促および滞納処分)

delinquent 滞納者

delinquent charge(延滞金)、delinquent debt(滞納債務、延滞債務)

delivery 引き渡し、明け渡し、納品、配達、提供、交付、出産、放出、発射

delivery of asset/delivery of movable property (資産の引渡し)、delivery of subject-matter(目的物の引渡し)、cash on delivery(代金引換払い:COD)

「Delivery」について

「Delivery」は、物品やサービスの引き渡しをはじめとして、色々な局面で使用されます。

いくつか例文を作成してみました。

Deliver/Delivery means delivery of the Products to the Buyer’s warehouse.(引き渡す/引き渡しとは、製品を買主の倉庫に納入することである)
The Seller shall be responsible for any loss and damage to the Product until the Buyer complete to accept it.(売主は、買主がその納品をの受け入れを完了するまで、製品のいかなる損失および損傷に対しても責任を負う。)

Methods of Delivery of Dividend Property(配当財産の交付の方法)

AAA shall have full corporate power and lawful authority to execute and deliver this Agreement(AAAは、本契約を履行し、提供するための全社的権限と合法的権限を有する)等、様々な形で使用されます。

このほかにも様々な例がありますが、今回は、別の機会にゆずります。

demand 要求、申立て、需要、催告、請求

要求する、請求する、催告する、必要とする
demand for buying shares(株式買取請求権)
demand for performance(履行の請求)
demand forcibly(強要する)、demand note (一覧約束手形)、demand transfer(一覧払手形)、on demand(要求あり次第、要求に応じて)

Demandについて

1. この単語は、supply and demand(需要と供給(日本語では反対に記述される))というような意味合いで理解される場合が多いようです。

例えば、Increasing consumer demand for mobile media in markets around the world.(世界市場におけるモバイルメディアに対する消費者の需要の増加。)

2. 契約書や法律文に関する文章における使用

契約書や法律の場合、催告(催告する)、要求(要求する)、請求(請求する)の意味で使われるケースが多くみられます。

Upon any disclosure of Confidential Information in response to such subpoena or demand(召喚状ないし催告に応じる機密情報の開示において)、

On demand by ABC Company, the XYZ must immediately terminate the use of trademark of XXX(ABC社の要求に応じて、XYZはXXXの商標の使用を直ちに終了しなければならない)

The customer may demand compensation for damages from the company.(顧客は会社に損害賠償を請求することができます。)

The notices or demands referred to in the preceding paragraph shall be deemed to have arrived at the time when such notice or demand should normally have arrived.(前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。)(会社法

General Electricity Business: Business supplying electricity to meet general demand.(一般電気事業 一般の需要に応じ電気を供給する事業をいう。)(電気事業法

3. 同じような意味を表す他の単語http://www.kl.i.is.nagoya-u.ac.jp/koyori_web/index.html

要求(要求する)、請求(請求する)の意味では、「Demand」と同じような意味を表す用語として、例えば、「claim」があります。

辞書を見ると「demand」は、権利として要求する(または命令・権力に基づいて要求する)。「claim」は、自分の当然の権利として要求するとあります。ここでは特に「demand」と「claim」との対比は行いません。

(「claim」については、英文契約書の用語(単語編)br-cl (No.10)および英文契約書の用語(単語編)cl- co (No.11)で触れています。)

なを、The customer may demand compensation for damages from the company.は、文脈により、意味合いは多少ことなりますが、「The company shall be required to compensate damages to the customer.」などとされることもあります。
(「require」も権利として、権力によって…を)要求する、…を命ずる、命令する、という意味があります。)

 

「Demand」も含めて、同じような意味を表わしていても、使用する場面が、それぞれ異なります。そのためそれぞれの場面に応じてこれらの単語の使い分けを理解することも大事です。

ここに記載してない単語、用例も多くあります。さらに詳しくお知りになりたい場合は、辞書、専門書をご覧ください。
「単語」の範囲も、主に、いわゆる民事、特に契約書で良く使用されるものとしました。

参考図書:法律用語辞典(有斐閣)、英和大辞典(研究社) コンパクト六法(岩波書店)、Trend (小学館)、Oxford Dictionary of English、日本法令外国語訳データベースシステム

 

英文契約書の用語、構文 No.23 ネコとCreditについての話

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英文契約書において経験上、よく目にしたり、よく使われたり、または知っておいて損はないと思われる単語と用語について、契約書翻訳の観点から見ていますが、今回は、ネコとCreditについての話です。

Creditという単語については、今までも

等でいろいろと思いつくまま、英文契約書にかかわる事柄を書いてきました。

数日前、「Credit」という単語についてツイッター上のやり取りの中で面白い体験をしました。

経緯としては、「ネコがワニにパンチをし、ワニが逃げ出す動画」が面白かったので、リツィートしたところ、米国人のフォロワーさんからコメントが送られてきました。内容は、「なんて勇敢なネコだろう!!ネコは素晴らしい!!ネコが大好きです」と綴られ、その後に、「Cats aren’t given enough credit.」という一文がありました。日常の文章の中で使われた面白い例なのでとりあげてみました。直訳すれば「ネコは、十分に認められていない」、「ネコは、十分な信用を与えられていない」等になりますが、文脈的(書いた方の心情)に「ネコは、正当な評価を受けていない」とでも言うのでしょうか。

いままで、Creditについては、英文契約書の翻訳の観点から、例えば、credit(債権、信用、信用貸し、貸方)、credit to the capital(資本への組入れ)、credit $ to(ドルを~の口座に入金する)等、主に「債権」、「債務」の問題として書いてきました。辞書を見ると、たしかに「信用、名声、評判」もあります。その点からすると「Credit」という単語は、慣れないととらえどころがないようにも思えます。

話は「ネコ」にもどり、コメントを頂いた方の意見に同意する旨の返事を送りました。ただし、コメントを送ってきた方が、このやり取りをツイッターのタイムラインに投稿したため、別の方からもコメントが送られてきました。

内容は、It’s true they aren’t given enough credit, から始まる内容で、「ネコが正当な評価を受けていないことは真実であるが、鳥を殺すので、ネコに鈴を付けろ、云々」という内容でした(ネコに鳥を殺された経験がある人のようです)。ここでも、「Credit」という単語を使っています。

いずれにしても、ネイティブの方は、当然ですが、日常会話の中で普通に使います。「Credit」の使い方の実例として参考になればと書いてみました。

なを、ネコに鳥を殺された経験がある人に何か書いて返信すると、いろいろと議論が起りそうなので、そのままにさせていただきました。

なを、私見ですが、今にして思えば、ネコとワニとの戦いを撮影するのではなく、ネコをワニから遠ざけるのが先ではないかと思いました。幸い、この動画では、ネコにやられてワニは池に逃げて行きましたが。たしかに勇敢なネコでした。

(記載の手紙の文章は、一部当方で相手先に配慮して、意味を反映しながらも変更した部分があります。)

 

参考図書:

カレッジライトハウス和英辞典(研究社)

研究社新英和辞典(研究社)

契約書の用語

英文契約書の用語(単語編)de-de(No.22)

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英文契約書翻訳に携わる中で、経験上、よく目にしたり、よく使われたり、または知っておいて損はないと思われる単語と用語について、契約書翻訳の観点から簡単な例文を作成してその用例(一部ですが)を見てみます。今回は、主に「delivery」について契約書翻訳の観点から簡単に見てみます。

deliberate 故意の、熟慮した、熟慮する、審議する

印象的には、deliberate inaction(故意の不作為)、deliberate crime(故意の犯罪)、 deliberate behavior(意図的な行為)などの形でも良く使われているようです。

例えば、「After the subject matter is delivered to XXX, YYY shall be only liable for damages to it if it is caused by gross negligence or deliberate behavior of YYY」(目的物がXXXに引き渡された後、YYYは、それがYYYの重大な過失または故意の行動によって引き起こされた場合に限り、それに対する損害について責任を負う。)

deliberation 審議、熟慮
delinquency 滞納、支払の遅滞、不履行、過失、義務違反、懈怠、非行

tax delinquency(税金の滞納)、
disposition of delinquency(滞納処分)、delinquency charges(延滞金)など債務不履行に関する意味で良く使われています。

Demand and Disposition for Delinquency(督促および滞納処分)

delinquent 滞納者

delinquent charge(延滞金)、delinquent debt(滞納債務、延滞債務)

delivery 引き渡し、明け渡し、納品、配達、提供、交付、出産、放出、発射

delivery of asset/delivery of movable property (資産の引渡し)、delivery of subject-matter(目的物の引渡し)、cash on delivery(代金引換払い:COD)

deliveryについて

「delivery」は、物品やサービスの引き渡しをはじめとして、色々な局面で使用されます。

いくつか例文を作成してみました。

Deliver/Delivery means delivery of the Products to the Buyer’s warehouse.(引き渡す/引き渡しとは、製品を買主の倉庫に納入することである)
The Seller shall be responsible for any loss and damage to the Product until the Buyer accepts the delivery thereof(売主は、買主がその製品の納品を受領するまで、いかなる損失および損傷に対しても責任を負う。)

Methods of Delivery of Dividend Property(配当財産の交付の方法)(会社法)

AAA shall have full corporate power and lawful authority to execute and deliver this Agreement(AAAは、本契約を履行し、提供するための全社的権限と合法的権限を有する)等、様々な形で使用されます

。このほかにも様々な例がありますが、別の機会にゆずります。

ここに記載してない単語、用例も多くあります。さらに詳しくお知りになりたい場合は、辞書、専門書をご覧ください。
「単語」の範囲も、主に、いわゆる民事、特に契約書で良く使用されるものとしました。

参考図書

英文契約書の用語

英文契約書の用語(単語編)de-de(No.21)

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英文契約書において経験上、よく目にしたり、よく使われたり、または知っておいて損はないと思われる単語と用語について、契約書翻訳の観点から簡単な例文を作成してその用例(一部ですが)を見てみます。今回は、「delay」(遅延、遅滞)について簡単に見てみます。

delay 遅延、遅滞
delay」について

1. 「delay」とは

日常語でも、しばしば受け身で使われ、「遅れる」の意味を表します。例えば、The Shinkansen was delayed by the snow. (雪で新幹線が遅れた。)名詞で使われる場合は、例えば、The delay in the arrival of the train caused a lot of confusion(列車の遅延は多くの混乱を生んだ。)

契約書の場合、「delay=遅れる」は、多くの場合、金銭の支払いが遅れた、サービスの提供が遅れた、商品が納期に納品されない等の状況で使われています。いわゆる債務不履行(default)に関する条文等でもよく見かけます。

2. 「delay」の使用の例

民法などでも債務不履行の一つの様態である「履行遅滞」などに使われています。「履行期と履行遅滞」(Time for Performance and Delay in Performance) (民法420条)、その他の法律でも、例えば「下請代金支払遅延等防止法」(Act against Delay in Payment of Subcontract Proceeds, Etc. to Subcontractors)等として使われています。

3. 英文契約書における例

英文契約書の場合の例文を参考までに1例、作ってみました。

If Party A fails to pay a penalty by operation of law, Party A shall pay the amount of the additional penalty in addition to such penalty due to such delay in the payment.

(当事者Aが法の適用によるペナルティの支払を履行しない場合、当事者Aは、当該支払遅延に起因する追加的ペナルティを当該ペナルティに加えて支払う)

これは、支払の遅延についての架空の状況ですが、例えば、自然災害等の起因する「不可効力:Force Majeure」についての条項などで使われることもある単語です。

以前、「英文契約書の用語、構文(その9)「Force Majeure」で触れたことがあります。ただし、この例文では、「delay」を使っていなかったので、不可効力について「delay」を使った簡単な例文を作成してみました。

Any force majeure delay or non-performance as defined herein shall be considered an excusable delay or non-performance, and neither Party shall be entitled to any additional compensation as a result thereof.

(本契約に記載の不可効力による遅延もしくは不履行は、正当な(許される)遅延もしくは不履行とみなされ、いずれの当事者も、その結果としての追加的な補償の権利を与えられることはない)

「delay」は、債務の履行が遅れる=債務不履行=お金の支払にかかわるという意味で、契約において大きなインパクトを持つ用語です。

参考図書

法律用語辞典 有斐閣
英和中辞典 研究社
コンパクト六法 岩波書店
Oxford Dictionary of English 他